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動体視力が良くてもいいことばかりじゃない
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それにしてもユズはハナさんと何を話していたんだろう?
「ユズ、ハナさんが頑張ってって言ってたけど何なんだ?」
俺は2人の話が気になったのでユズに問いかけてみる。
「べ、別に兄さんには関係ありません!」
「関係ない言うには焦りすぎじゃないか?」
「そんなことありませんから。ただ⋯⋯高校生活を頑張れって言われただけです」
「そうか。確かにうちの学校は少し特殊だから大変かもかもしれないが頑張れよ」
「う、うん」
ユズは自分のことで兄を頼るのが恥ずかしいのか、俯きながら頷く。
今日のユズはいつもより素直だな。
この時の俺はユズの様子に少し驚きながらも嬉しく思っていたことで油断していたのか、商店街にあるドラッグストアーから出てきた人とぶつかってしまう。
「キャッ!」
俺は倒れることはなかったが、相手は可愛らしい声をあげ地面に尻餅をついてしまった。
どうやら声からして女の子とぶつかってしまったようだ。
「すみません! 大丈夫ですか?」
俺は慌てて女の子に手を差し伸べるが、よく見ると制服が俺達と同じ羽ヶ鷺学園の物だった。
そして女の子で俺達と同じ羽ヶ鷺学園の制服ということは⋯⋯俺は鍛え上げられた動体視力で無意識に視線がスカートの下へと向かってしまった。
「あ、天城くんどこを見ているんですか!」
女の子は素早くスカートを抑えながら大きな声を上げ、この時俺は初めて押し倒してしまった子が誰か気づいた。
「か、神奈さん⋯⋯」
そう⋯⋯俺とぶつかってしまったのはクラスメートの神奈 結さんだった。
「天城くん⋯⋯見た?」
神奈さんが言う見たはスカートの中をということだろう。答えはもちろんイエスだがここはとぼけるべきかそれとも⋯⋯。
「す、少しな」
見てないというと「うそをつかないで!」と問い質される可能性があるので、ここは無難な答えを返答しておく。
「どんな下着だった?」
「水色と白のストライプで、両脇に白いリボンが付いているのが特徴だったな」
「どこが少しですか!」
はっ! つい聞かれたことを正直に答えてしまった!
神奈さんは怒りを露にすると、右手からスナップの効いたビンタがこちらに向かって飛んでくる。俺はまともに左頬にくらうと吹き飛ばされ、地面を転がってしまう。
「やっぱり天城くんは最低ですね」
神奈さんは地面に倒れた俺を上から見下ろし、蔑んだ目で言葉を放ちこの場を立ち去っていった。
くそっ! 自分の動体視力が恨めしい。だって見えた物は見えたんだから仕方ないじゃないか。
そして俺はこの時、蔑んだ目が1つではないことに気づいた。
「兄さん⋯⋯いえもう兄と呼ぶのもおぞましいです。性欲に犯された変態は死んでください」
もし俺がドMだったらここは大喜びする所だが、残念ながら俺にはそのような趣向はないため、ユズの冷徹な視線に震えるだけだった。
「いや、嘘をつくのも誠実ではないし、ここは正直に言った俺を褒める所じゃないか」
「変態が誠実とか正直とか綺麗な言葉を使わないで下さい。さよなら」
そしてユズは俺をおいて、1人自宅の方へと歩いていく。
ユズに嫌われてしまったか。本当に自分の動体視力が憎いぜ。
こうして俺は同級生の下着を見るというラッキースケベに遭遇することが出来たが、代わりに妹からの信頼を失い1人寂しく帰路に着くのであった。
「ユズ、ハナさんが頑張ってって言ってたけど何なんだ?」
俺は2人の話が気になったのでユズに問いかけてみる。
「べ、別に兄さんには関係ありません!」
「関係ない言うには焦りすぎじゃないか?」
「そんなことありませんから。ただ⋯⋯高校生活を頑張れって言われただけです」
「そうか。確かにうちの学校は少し特殊だから大変かもかもしれないが頑張れよ」
「う、うん」
ユズは自分のことで兄を頼るのが恥ずかしいのか、俯きながら頷く。
今日のユズはいつもより素直だな。
この時の俺はユズの様子に少し驚きながらも嬉しく思っていたことで油断していたのか、商店街にあるドラッグストアーから出てきた人とぶつかってしまう。
「キャッ!」
俺は倒れることはなかったが、相手は可愛らしい声をあげ地面に尻餅をついてしまった。
どうやら声からして女の子とぶつかってしまったようだ。
「すみません! 大丈夫ですか?」
俺は慌てて女の子に手を差し伸べるが、よく見ると制服が俺達と同じ羽ヶ鷺学園の物だった。
そして女の子で俺達と同じ羽ヶ鷺学園の制服ということは⋯⋯俺は鍛え上げられた動体視力で無意識に視線がスカートの下へと向かってしまった。
「あ、天城くんどこを見ているんですか!」
女の子は素早くスカートを抑えながら大きな声を上げ、この時俺は初めて押し倒してしまった子が誰か気づいた。
「か、神奈さん⋯⋯」
そう⋯⋯俺とぶつかってしまったのはクラスメートの神奈 結さんだった。
「天城くん⋯⋯見た?」
神奈さんが言う見たはスカートの中をということだろう。答えはもちろんイエスだがここはとぼけるべきかそれとも⋯⋯。
「す、少しな」
見てないというと「うそをつかないで!」と問い質される可能性があるので、ここは無難な答えを返答しておく。
「どんな下着だった?」
「水色と白のストライプで、両脇に白いリボンが付いているのが特徴だったな」
「どこが少しですか!」
はっ! つい聞かれたことを正直に答えてしまった!
神奈さんは怒りを露にすると、右手からスナップの効いたビンタがこちらに向かって飛んでくる。俺はまともに左頬にくらうと吹き飛ばされ、地面を転がってしまう。
「やっぱり天城くんは最低ですね」
神奈さんは地面に倒れた俺を上から見下ろし、蔑んだ目で言葉を放ちこの場を立ち去っていった。
くそっ! 自分の動体視力が恨めしい。だって見えた物は見えたんだから仕方ないじゃないか。
そして俺はこの時、蔑んだ目が1つではないことに気づいた。
「兄さん⋯⋯いえもう兄と呼ぶのもおぞましいです。性欲に犯された変態は死んでください」
もし俺がドMだったらここは大喜びする所だが、残念ながら俺にはそのような趣向はないため、ユズの冷徹な視線に震えるだけだった。
「いや、嘘をつくのも誠実ではないし、ここは正直に言った俺を褒める所じゃないか」
「変態が誠実とか正直とか綺麗な言葉を使わないで下さい。さよなら」
そしてユズは俺をおいて、1人自宅の方へと歩いていく。
ユズに嫌われてしまったか。本当に自分の動体視力が憎いぜ。
こうして俺は同級生の下着を見るというラッキースケベに遭遇することが出来たが、代わりに妹からの信頼を失い1人寂しく帰路に着くのであった。
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