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ちひろ・・・恐ろしい子
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10人程いる人達を神奈さんから引き離すにはどうしたものか。下手なことをすると神奈さんはもちろんのこと、クラスメート達からも反感を買いそうだな。
取り敢えず1つ考えは浮かんだ。まずは男どもを神奈さんから引き離すとするか。
「そういえばコト姉が、休み時間に生徒会の仕事を手伝ってくれる人はいないか探していたな」
俺は少し声高に宣言すると、忽ちクラスのほとんどの男子が教室を出ていく。
「琴音さん今いきます」
「誰かが俺の助けを待っている」
「ちょっと生徒会室に行ってくるかな」
自分で言ったことだが、こいつらはどれだけコト姉のことが好きなんだ。ちゃんと授業が始まるまでに戻ってくればいいが。まあ生徒会は常に忙しく人手を求めているし嘘は言ってないからいいか。
後は女子達だが変なことを言って好感度を下げたくないしなあ。
俺はどうやって女子達を神奈さんから引き離すか考えていると、ちひろが突然手を叩いた。
「いいこと思いついた」
ちひろが下衆な笑みを浮かべて俺の耳元に唇を近づけてくる。
何だか俺に取っては嫌な予感がするような⋯⋯。
「リウト⋯⋯昔取った杵柄であの子達のスカートを捲ってきなさい。そうすればあの子達はこの場からいなくなるわ」
「そんなことすれば俺が警察に捕まって学園からいなくなるわ!」
俺は即座にちひろの言葉に反応する。それにしてもかつてスカート捲りのプロと呼ばれた俺のことをなぜ知っている? 俺はちひろの情報網の広さに驚きを隠せない。
「冗談よ。ここは私に任せなさい。あんたの手は借りないわ」
ちひろはたまに笑えない冗談を言うから安心できない。だが今はちひろのやることを信じて俺はその行動を見守ることにする。
「ねえねえさっちん、かおりん、あかね」
ちひろは神奈さんの周りにいた女子⋯⋯水本 幸子、迫田 かおり、世良 あかねに話しかける。
「何?」
そして三人を代表してか、水本 幸子がちひろの問いに答える。
「三人共春休みの宿題やった?」
ちひろの言葉に三人は苦笑いを浮かべる。
宿題? 確か俺のデータでは三人は勉強があまり得意ではなく、一年の学力はD判定だ。
しかしちひろは何故今宿題の話をしたのだろう。
「数学の提出って今日だったよね。もし終わってないならリウトが見せてくれるらしいから、一緒に写さない?」
「えっ?」
俺はちひろの提案に思わずまぬけな声を上げてしまう。
「見る見る~」
「わからないところがあったんだよね」
「ありがとう天城くん」
そしていつの間にか俺が宿題を見せる流れになっていた。
「ほらリウト、数学の宿題を早く出して。あの子達がここにくれば神奈さんはゆっくり休めるでしょ」
「あ、ああ⋯⋯」
腑に落ちないこともあるが、確かにちひろの言うとおりあの三人が宿題を写している内は、神奈さんの元に行くことはないだろう。
俺は仕方ないなと思いつつ、三人に数学のノートを渡す。
「ありがとう」
「この恩は忘れないよ」
「感謝感謝」
理由は何にせよ、女の子に感謝されるのは悪くない。だが俺は少しだけ良い気になっていたが、この後のちひろの言葉に愕然とする。
「いや~私もわからない所があったから助かったわ」
「お前も終わってないのかよ!」
「けどこれで神奈さんは休める、私の宿題も終わる、一石二鳥じゃない?」
「まさかちひろ⋯⋯最初からこれが目的で⋯⋯」
「ふふ⋯⋯どうかな」
何となくちひろが神奈さんを助けると言い出して違和感を感じたが、まさか自分が宿題を写すためだったとは。
俺は嵌められたと思いつつも、周囲に誰もいなくなってホッとため息をついている神奈さんを見て、これで良かったんだと納得することにした。
だが俺の視線に気がついたのか、神奈さんと目が合ってしまったので、俺は手を振ってみる。
しかし神奈さんから俺に手を振り返すことはなく、顔をプイっと背けられてしまうのであった。
取り敢えず1つ考えは浮かんだ。まずは男どもを神奈さんから引き離すとするか。
「そういえばコト姉が、休み時間に生徒会の仕事を手伝ってくれる人はいないか探していたな」
俺は少し声高に宣言すると、忽ちクラスのほとんどの男子が教室を出ていく。
「琴音さん今いきます」
「誰かが俺の助けを待っている」
「ちょっと生徒会室に行ってくるかな」
自分で言ったことだが、こいつらはどれだけコト姉のことが好きなんだ。ちゃんと授業が始まるまでに戻ってくればいいが。まあ生徒会は常に忙しく人手を求めているし嘘は言ってないからいいか。
後は女子達だが変なことを言って好感度を下げたくないしなあ。
俺はどうやって女子達を神奈さんから引き離すか考えていると、ちひろが突然手を叩いた。
「いいこと思いついた」
ちひろが下衆な笑みを浮かべて俺の耳元に唇を近づけてくる。
何だか俺に取っては嫌な予感がするような⋯⋯。
「リウト⋯⋯昔取った杵柄であの子達のスカートを捲ってきなさい。そうすればあの子達はこの場からいなくなるわ」
「そんなことすれば俺が警察に捕まって学園からいなくなるわ!」
俺は即座にちひろの言葉に反応する。それにしてもかつてスカート捲りのプロと呼ばれた俺のことをなぜ知っている? 俺はちひろの情報網の広さに驚きを隠せない。
「冗談よ。ここは私に任せなさい。あんたの手は借りないわ」
ちひろはたまに笑えない冗談を言うから安心できない。だが今はちひろのやることを信じて俺はその行動を見守ることにする。
「ねえねえさっちん、かおりん、あかね」
ちひろは神奈さんの周りにいた女子⋯⋯水本 幸子、迫田 かおり、世良 あかねに話しかける。
「何?」
そして三人を代表してか、水本 幸子がちひろの問いに答える。
「三人共春休みの宿題やった?」
ちひろの言葉に三人は苦笑いを浮かべる。
宿題? 確か俺のデータでは三人は勉強があまり得意ではなく、一年の学力はD判定だ。
しかしちひろは何故今宿題の話をしたのだろう。
「数学の提出って今日だったよね。もし終わってないならリウトが見せてくれるらしいから、一緒に写さない?」
「えっ?」
俺はちひろの提案に思わずまぬけな声を上げてしまう。
「見る見る~」
「わからないところがあったんだよね」
「ありがとう天城くん」
そしていつの間にか俺が宿題を見せる流れになっていた。
「ほらリウト、数学の宿題を早く出して。あの子達がここにくれば神奈さんはゆっくり休めるでしょ」
「あ、ああ⋯⋯」
腑に落ちないこともあるが、確かにちひろの言うとおりあの三人が宿題を写している内は、神奈さんの元に行くことはないだろう。
俺は仕方ないなと思いつつ、三人に数学のノートを渡す。
「ありがとう」
「この恩は忘れないよ」
「感謝感謝」
理由は何にせよ、女の子に感謝されるのは悪くない。だが俺は少しだけ良い気になっていたが、この後のちひろの言葉に愕然とする。
「いや~私もわからない所があったから助かったわ」
「お前も終わってないのかよ!」
「けどこれで神奈さんは休める、私の宿題も終わる、一石二鳥じゃない?」
「まさかちひろ⋯⋯最初からこれが目的で⋯⋯」
「ふふ⋯⋯どうかな」
何となくちひろが神奈さんを助けると言い出して違和感を感じたが、まさか自分が宿題を写すためだったとは。
俺は嵌められたと思いつつも、周囲に誰もいなくなってホッとため息をついている神奈さんを見て、これで良かったんだと納得することにした。
だが俺の視線に気がついたのか、神奈さんと目が合ってしまったので、俺は手を振ってみる。
しかし神奈さんから俺に手を振り返すことはなく、顔をプイっと背けられてしまうのであった。
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