姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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レッツクッキング

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俺とちひろは、前を歩く紬ちゃんの後をついて行く。すると5分程で閑静な住宅街にたどり着いた。

「ここが私のお家だよ」

 そして紬ちゃんが指差した場所は二階建てのアパートの一室だった。

「こっちこっち~」

 紬ちゃんは首からぶら下げていた鍵を使い、一階の一番右奥のドアを開く。

「送ってくれてありがとうございます」

 紬ちゃんはペコリと頭を下げるが、その時にまたお腹からぐ~と音が聞こえてくる。
 幼い子が腹が減って1人でコンビニに来るくらいだ。スナック菓子1つでお腹が満たされることはないだろう。

「ねえ紬ちゃん、良ければお昼御飯作って上げようか? このお兄ちゃんが」
「俺かよ!」

 てっきりちひろが作る物だと思ったけどまさかの他人頼みだった。まあ料理を作るのは好きだからいいけど。

「本当! 楽しみ~」

 それにこんなに笑顔で喜んでくれるなら料理しがいがある。

「これでお姉ちゃんの手作りを食べなくてすむよ」

 しかし紬ちゃんは先程の笑顔とは一転して、ボソッと死んだ魚の目をして呟く。

 そんなにお姉さんの料理は食べたくないのか? 逆にどんな料理を出すのかすごく気になったが、今は腹ペコの少女のお腹をいっぱいにすることを考えよう。

「じゃあ2人ともお家に入って入って~。たぶんお姉ちゃんももうすぐ帰ってくると思うから」

 それなら2人分の昼ご飯を作った方が良さそうだな。

「「おじゃまします」」

 そして俺とちひろは紬ちゃんに促されてアパートの一室へと入る。
 居間へと案内されると部屋の中は綺麗に整理整頓されているようで、俺はひとまず安堵のため息をつく。

 子供達だけなので部屋の片付けがされてなく、汚部屋とかしているんじゃないかと思ったが、どうやら違ったようだ。

「お兄さん、冷蔵庫の中の物を使って何か出来るかな?」
「ちょっと見せてもらってもいい?」

 俺は紬ちゃんの許可を得て冷蔵庫の中身を見ると⋯⋯卵、鳥もも肉、玉ねぎ、それに調味料も一通りあった。

「これはあれがいいんじゃない?」

 俺の背後からちひろが冷蔵庫を覗いて、何を作るか確信を持って言ってくる。

「そうだな。これなら子供が大好きなあれが作れるな」
「お姉さん、お兄さんあれってなあに?」

 そして俺とちひろは紬ちゃんの問いに言葉を合わせて答える。

「「オムライス」」
「えっ? オムライス? 私もお姉ちゃんもオムライス大好きだよ」

 紬ちゃんの反応は良さそうだ。これは今日の昼はオムライスに決定だな。

「じゃあオムライスにするよ。でもその前に1つだけ⋯⋯紬ちゃんもお姉さんもアレルギーは持ってないでいいかな?」

 オムライスが大好きだと言っていたので大丈夫だと思うが、これは絶対に聞いておかなければならない。近年アレルギーを持っている子は多いと聞くからしつこいくらいに確認した方がいいだろう。

「私もお姉ちゃんもアレルギーはないよ」
「わかった。それじゃあすぐに作るからちひろと一緒に待っててくれ」
「うん!」

 紬ちゃんはニコニコ顔で返事をしてくれる。こんな顔をされるとこっちも作りがいがあるというものだ。
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