25 / 147
運が良い者悪い者後編
しおりを挟む
「なんてったって神奈さんの後ろの席だぞ! これから毎日神奈さんを眺めながら授業を受けることができるんだ。それに隣もコアなファン層には人気があるちひろさんだし」
「私は神奈っちのついでか!」
悟の言葉に対してちひろは瞬時に突っ込みを入れ、そして神奈さんは苦笑いを浮かべている。
神奈さんも悟の言葉に何て言ったらいいのか困っているようだ。
「木田くん、あまり気持ち悪いこと言わないで。もし神奈っちに何かしたらシャーペンでおもいっきり突き刺すからね」
ちひろはカチカチとシャープペンシルという武器を顕現させる。
「少しくらい喜んでもいいじゃねえか。俺がこんな席に座れる確率はガチャで0.01%のSSR引くくらいのことなんだぞ」
「10,000分の1か。たかが席替えで凄い確率だな」
「リウトに言われたくねえぞ。羽ヶ鷺のヒロイン神奈さんの隣の席で、親しみやすさNo.1ちひろさんの前の席、そしてみんなのお姉ちゃん琴音さんの弟で、羽ヶ鷺の妹柚葉ちゃんの兄のポジションに居座っている奴に俺の気持ちがわかるか。お前は何回リセマラしてその人生を手に入れたんだ」
「いや、初回だけど」
「なん⋯⋯だと⋯⋯。これが管理者アカウントを持っているものと持っていないものの差なのか」
俺がリセラマしていないことを知り、悟はその場に崩れ落ちる。もう悟の脳では、俺は絶対勝てない相手だと悟ってくれたようだ⋯⋯悟だけに。
「ねえねえリウト。私、木田くんにその三人と同列に見られているみたい。それなら私もSSRキャラってことだよね」
「いや、ちひろさんはその三人と比べるとSRで、評価点10点満点中7点のキャラだから」
「なんだとぉ! 木田くんひどい。私はSSRキャラでしょ」
ちひろは悟の言葉に涙を流す⋯⋯振りをして同情を買おうとしている。
「そうだぞ。ちひろは立派なSSRキャラだ」
「リウト⋯⋯さすが私のことを1番わかっているわね」
「だがSSRでも評価点5点の使えないキャラだけどな」
「せめて7点はちょうだい!」
「仕方ないなあ。それじゃあ7点で」
「とりあえず生で的な言い方やめてよ!」
結局評価点7だったら使えないゴミキャラだけどそこは黙っておこう。
「は、話についていけないです。私、この席で大丈夫かな」
そして俺達のやり取りを見て、隣の席の神奈さんは不安気な表情をするのであった。
今日は1日授業のため、悟達と昼食を取り、そして放課後になった。
さて、今日はどうしよう。ちひろからは特に何も言ってこないので大人しく家に帰り、予習でもするか。
一応こう見えて俺の学力の成績は、上から数えた方が早い。勉強はわりと好きだし、何よりテストの成績が良ければ先生方の覚えもいいので、一定の点数は取れるようにしている。
「じゃあなリウト」
悟はカバンを背負って早々に教室を出ていく。
確か悟はサッカー部で昨年の身体能力の成績はA。一年の時からレギュラーで将来有望らしい。
部活か⋯⋯そんな青春も楽しいかもしれない。けど今の俺にはやりたいことが他にあるしそれに⋯⋯。
俺は無意識に左腕の肘を右手で押さえる。
そして俺はカバンを右手で持ち、教室を出ようとするが。
「あ、天城くんまって!」
突然隣の席の神奈さんに声をかけられる。
神奈さんが俺を呼び止めてくるなんて。まさか昨日の紬ちゃんのことで俺を断罪するわけじゃないよな。大丈夫、ここは学校。神奈さんも下手なことはできないはず⋯⋯だと思いたい。
俺の脳裏には昨日鬼と化した神奈さんの姿が過る。
「何かな」
「そ、その⋯⋯つ⋯⋯てほ⋯⋯」
神奈さんは小声で喋っているため何を言っているかわからない。何だか顔が赤く見えるが気のせいか?
「えっと⋯⋯ごめん。よく聞こえない」
「だから⋯⋯その⋯⋯付き合ってほしいの!」
付き合ってほしい⋯⋯だと⋯⋯。
神奈さんの突然の告白に、教室に残ったクラスメート達の視線が一斉に俺達に集まるのであった。
―――――――――――――――
【読者の皆様へお願い】
作品を読んで少しでも『面白い、面白くなりそう』と思われた方は、作品フォロー、応援等もして頂けると嬉しいです。
「私は神奈っちのついでか!」
悟の言葉に対してちひろは瞬時に突っ込みを入れ、そして神奈さんは苦笑いを浮かべている。
神奈さんも悟の言葉に何て言ったらいいのか困っているようだ。
「木田くん、あまり気持ち悪いこと言わないで。もし神奈っちに何かしたらシャーペンでおもいっきり突き刺すからね」
ちひろはカチカチとシャープペンシルという武器を顕現させる。
「少しくらい喜んでもいいじゃねえか。俺がこんな席に座れる確率はガチャで0.01%のSSR引くくらいのことなんだぞ」
「10,000分の1か。たかが席替えで凄い確率だな」
「リウトに言われたくねえぞ。羽ヶ鷺のヒロイン神奈さんの隣の席で、親しみやすさNo.1ちひろさんの前の席、そしてみんなのお姉ちゃん琴音さんの弟で、羽ヶ鷺の妹柚葉ちゃんの兄のポジションに居座っている奴に俺の気持ちがわかるか。お前は何回リセマラしてその人生を手に入れたんだ」
「いや、初回だけど」
「なん⋯⋯だと⋯⋯。これが管理者アカウントを持っているものと持っていないものの差なのか」
俺がリセラマしていないことを知り、悟はその場に崩れ落ちる。もう悟の脳では、俺は絶対勝てない相手だと悟ってくれたようだ⋯⋯悟だけに。
「ねえねえリウト。私、木田くんにその三人と同列に見られているみたい。それなら私もSSRキャラってことだよね」
「いや、ちひろさんはその三人と比べるとSRで、評価点10点満点中7点のキャラだから」
「なんだとぉ! 木田くんひどい。私はSSRキャラでしょ」
ちひろは悟の言葉に涙を流す⋯⋯振りをして同情を買おうとしている。
「そうだぞ。ちひろは立派なSSRキャラだ」
「リウト⋯⋯さすが私のことを1番わかっているわね」
「だがSSRでも評価点5点の使えないキャラだけどな」
「せめて7点はちょうだい!」
「仕方ないなあ。それじゃあ7点で」
「とりあえず生で的な言い方やめてよ!」
結局評価点7だったら使えないゴミキャラだけどそこは黙っておこう。
「は、話についていけないです。私、この席で大丈夫かな」
そして俺達のやり取りを見て、隣の席の神奈さんは不安気な表情をするのであった。
今日は1日授業のため、悟達と昼食を取り、そして放課後になった。
さて、今日はどうしよう。ちひろからは特に何も言ってこないので大人しく家に帰り、予習でもするか。
一応こう見えて俺の学力の成績は、上から数えた方が早い。勉強はわりと好きだし、何よりテストの成績が良ければ先生方の覚えもいいので、一定の点数は取れるようにしている。
「じゃあなリウト」
悟はカバンを背負って早々に教室を出ていく。
確か悟はサッカー部で昨年の身体能力の成績はA。一年の時からレギュラーで将来有望らしい。
部活か⋯⋯そんな青春も楽しいかもしれない。けど今の俺にはやりたいことが他にあるしそれに⋯⋯。
俺は無意識に左腕の肘を右手で押さえる。
そして俺はカバンを右手で持ち、教室を出ようとするが。
「あ、天城くんまって!」
突然隣の席の神奈さんに声をかけられる。
神奈さんが俺を呼び止めてくるなんて。まさか昨日の紬ちゃんのことで俺を断罪するわけじゃないよな。大丈夫、ここは学校。神奈さんも下手なことはできないはず⋯⋯だと思いたい。
俺の脳裏には昨日鬼と化した神奈さんの姿が過る。
「何かな」
「そ、その⋯⋯つ⋯⋯てほ⋯⋯」
神奈さんは小声で喋っているため何を言っているかわからない。何だか顔が赤く見えるが気のせいか?
「えっと⋯⋯ごめん。よく聞こえない」
「だから⋯⋯その⋯⋯付き合ってほしいの!」
付き合ってほしい⋯⋯だと⋯⋯。
神奈さんの突然の告白に、教室に残ったクラスメート達の視線が一斉に俺達に集まるのであった。
―――――――――――――――
【読者の皆様へお願い】
作品を読んで少しでも『面白い、面白くなりそう』と思われた方は、作品フォロー、応援等もして頂けると嬉しいです。
10
あなたにおすすめの小説
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる