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勝つためには全員の力が必要だ
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そして封鎖サッカーの後半戦のため、自陣でウォーミングアップをしながら都筑とCクラスのメンバーを確認する。
「完全に一致している⋯⋯だと⋯⋯」
後半ベンチに退いたメンバーは全て俺の予測通りだったため、都筑は悔しいのかワナワナと震えているが、約束は約束なので従ってもらう。
「指示通りに頼むぞ」
「くっ! しかたねえな。しかしこんなの作戦と言えるのか?」
「負けたら愚策だが、勝てばどんな案であろうと作戦になるんだよ」
今は俺を信じて行動してもらうしかない。
クラスメート達は先程俺がCクラスの後半戦のメンバーを当てたためか、死んだ魚の目から瀕死の魚くらいには戻ってきた。
ちなみにCクラスは前半に男子を14人出場させたため、後半は引き続き沢尻、井沢、田中、熊谷と男子6名、そして控えに回っていた藤田が高見の代わりにキーパーを勤め、残り9名は女子となっている。
対するAクラスはサッカー部の4人と比較的運動が得意な男子4人、ちひろ、神奈さんは引き続き出場させ、俺と同じ前半出場していなかった夜脇くんと女子8名となっている。
ポジションはサッカー部で唯一重りのついていない柳瀬とちひろ、神奈さんを前線に持っていき、残りは守備というフォーメーションだ。
残りのサッカー部の三人は重りがついているが、一般の生徒よりは動けるということで、そのまま出場となった。
そして審判のフエが鳴り、試合はCクラスのボールから始まる。
「さて、次に俺のシュートを食らいたい奴は誰かな」
沢尻は獲物を狙う狩人のようにAクラスを物色し始める。
「お前のようなくそみたいなシュートで俺を倒せるわけねえだろ」
「重い鎖に繋がれた犬がよく吠える。次は左脚を封じてやろうか?」
沢尻は都筑の挑発に対して挑発し返す。
そしてやはり勝ち気な沢尻はこの後も攻めることを選択したようだ。
ちなみにこの時、Cクラスに攻めさせるため、都筑に沢尻を挑発するように頼んでおいていた。
唯一懸念していたことは、Cクラスが全員で守ることだったが、どうやら俺の思惑通りになりそうだ。
「いくぜ!」
Cクラスは前半と同じように沢尻、井沢、田中、熊谷の四人でパスを回しながら攻めこんでくる。
「ん? 何か動きが変わったか?」
沢尻はAクラスの守備を見て何か違和感を感じたのか、思わず口にする。
どうやら皆、俺の指示通りに動いてくれているようだな。
まずに守り関しては当たり前のことだが、ボールを持った奴との距離を詰めた方が、強烈なシュートを打つ助走ができないことを伝えた。
沢尻のシュートで織田と越智がやられたことによって皆に恐怖心が宿り、逆に距離を取ってしまっていたので、前半Cクラスとしては攻めるのが容易かっただろう。
そしてもうひとつ⋯⋯もしその沢尻、井沢、田中の三人にシュートを打たれそうになったら無理にブロックせず、打たせていいことを。
「オラオラどけどけ!」
沢尻を中心にした攻撃陣は既にペナルティエリア付近まで来ていた。
「やべえ! 打たれる!」
都筑は必死にディフェンスをしようと沢尻に詰め寄るが、右足の重りによってうまく動けず、悲痛の叫び声を上げる。
「お前はそこで四点目が入るところを見ていな!」
そして沢尻は右足を振り抜くと鋭いシュートがゴール左隅に放たれる。
「やべえ!」
「リウト!」
シュートのコース、威力から、この時試合を見ていたほぼ全ての者が、四点目が入ったと確信していた。
だが⋯⋯。
「と、止めた⋯⋯だと⋯⋯」
俺は沢尻のシュートを真正面でキャッチした。
「完全に一致している⋯⋯だと⋯⋯」
後半ベンチに退いたメンバーは全て俺の予測通りだったため、都筑は悔しいのかワナワナと震えているが、約束は約束なので従ってもらう。
「指示通りに頼むぞ」
「くっ! しかたねえな。しかしこんなの作戦と言えるのか?」
「負けたら愚策だが、勝てばどんな案であろうと作戦になるんだよ」
今は俺を信じて行動してもらうしかない。
クラスメート達は先程俺がCクラスの後半戦のメンバーを当てたためか、死んだ魚の目から瀕死の魚くらいには戻ってきた。
ちなみにCクラスは前半に男子を14人出場させたため、後半は引き続き沢尻、井沢、田中、熊谷と男子6名、そして控えに回っていた藤田が高見の代わりにキーパーを勤め、残り9名は女子となっている。
対するAクラスはサッカー部の4人と比較的運動が得意な男子4人、ちひろ、神奈さんは引き続き出場させ、俺と同じ前半出場していなかった夜脇くんと女子8名となっている。
ポジションはサッカー部で唯一重りのついていない柳瀬とちひろ、神奈さんを前線に持っていき、残りは守備というフォーメーションだ。
残りのサッカー部の三人は重りがついているが、一般の生徒よりは動けるということで、そのまま出場となった。
そして審判のフエが鳴り、試合はCクラスのボールから始まる。
「さて、次に俺のシュートを食らいたい奴は誰かな」
沢尻は獲物を狙う狩人のようにAクラスを物色し始める。
「お前のようなくそみたいなシュートで俺を倒せるわけねえだろ」
「重い鎖に繋がれた犬がよく吠える。次は左脚を封じてやろうか?」
沢尻は都筑の挑発に対して挑発し返す。
そしてやはり勝ち気な沢尻はこの後も攻めることを選択したようだ。
ちなみにこの時、Cクラスに攻めさせるため、都筑に沢尻を挑発するように頼んでおいていた。
唯一懸念していたことは、Cクラスが全員で守ることだったが、どうやら俺の思惑通りになりそうだ。
「いくぜ!」
Cクラスは前半と同じように沢尻、井沢、田中、熊谷の四人でパスを回しながら攻めこんでくる。
「ん? 何か動きが変わったか?」
沢尻はAクラスの守備を見て何か違和感を感じたのか、思わず口にする。
どうやら皆、俺の指示通りに動いてくれているようだな。
まずに守り関しては当たり前のことだが、ボールを持った奴との距離を詰めた方が、強烈なシュートを打つ助走ができないことを伝えた。
沢尻のシュートで織田と越智がやられたことによって皆に恐怖心が宿り、逆に距離を取ってしまっていたので、前半Cクラスとしては攻めるのが容易かっただろう。
そしてもうひとつ⋯⋯もしその沢尻、井沢、田中の三人にシュートを打たれそうになったら無理にブロックせず、打たせていいことを。
「オラオラどけどけ!」
沢尻を中心にした攻撃陣は既にペナルティエリア付近まで来ていた。
「やべえ! 打たれる!」
都筑は必死にディフェンスをしようと沢尻に詰め寄るが、右足の重りによってうまく動けず、悲痛の叫び声を上げる。
「お前はそこで四点目が入るところを見ていな!」
そして沢尻は右足を振り抜くと鋭いシュートがゴール左隅に放たれる。
「やべえ!」
「リウト!」
シュートのコース、威力から、この時試合を見ていたほぼ全ての者が、四点目が入ったと確信していた。
だが⋯⋯。
「と、止めた⋯⋯だと⋯⋯」
俺は沢尻のシュートを真正面でキャッチした。
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