姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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舐める時はとことん舐める

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沢尻は自分のシュートが入ったと疑わなかったため、信じられないといった表情をしている。

「よし、次はこっちの番だ」

 俺は右手でのスローイングで神奈さんへとボールを渡す。
 そして神奈さんから柳へパスをするが、Cクラスの守備はほとんど自陣に残っていたため、ボールは取られてしまい、今度はCクラスの反撃となる。

「さっきのはまぐれだ! もう一度ボールをよこせ!」

 沢尻は雄叫びを上げるような大きな声でクラスメートにボールを要求している。

「沢尻くん行くよ」

 そしてリクエスト通りにCクラスはパスを繋ぎ、沢尻はペナルティーエリア付近で再びボールを受けとることに成功する。

「今度は外さねえ!」

 そして再度沢尻から強烈なシュートがゴール右隅に放たれるが、俺はまたしても正面でキャッチする。

「う、嘘だろ⋯⋯」

 沢尻は2本連続でシュートを止められたことによって、地面に膝をつく。
 やれやれ、自信を持つのはいいが過信するのは頂けないな。こちらとしてはありがたいけど。

 そしてゲームはCクラスが再びボールを奪い、これまで通り沢尻にボールが集められる。今、沢尻がいるのはペナルティエリアの外、先程までなら強引にシュートを狙ってきたが⋯⋯。

「沢尻! こっちによこせ!」

 沢尻の後ろから走ってきた井沢がパスを要求する。

「くそっ!」

 井沢の要求に悪態をつきながらも従い、沢尻は真横にボールを蹴る。
 そして走り込んできた井沢は右足でダイレクトにシュートを放った。

「甘い!」

 俺はゴール左を狙ったシュートを難なくキャッチし、そして前線へとボールを蹴りこむ。

「おいおい何なんだお前は。沢尻のシュートといい、今の俺のシュートといい、サッカー部のキーパーでも取れないぞ」
「偶然取れただけだ」
「いや、コースは偶然読むことは出来るかもしれないけど普通はボールを弾かずにキャッチ出来ねえよ」

 井沢は驚きの表情を浮かべながら俺の方を見ている。出来ればこのまま油断していてほしいので俺は惚けた回答をするが⋯⋯。

「さっすが先輩! 風でスカートが捲れた時に絶対中の下着を見逃さない動体視力は健在ですね!」

 ここで外野の瑠璃からどうして俺がシュートを止められたかのネタを一部バラされてしまう。
 それにしても言い方があるだろ! 女子達がこちらを冷ややかな目で見ているんだが。瑠璃には後でお仕置きが必要だな。

「なるほど⋯⋯動体視力がいいのか。次は決めるからな」

 そうさわやかに言葉を残しながら井沢は自陣へと戻っていく。
 う~ん、やる気を出させてしまった。だが作戦は順調だ。次は

 そしてそうこうしている内に、今度は田中がセンターサークル付近からドリブルで駆け上がり、ペナルティエリア内に迫っていた。
 井沢、沢尻には三人ずつマークをつけているため、パスはないはずだ。

「俺のシュートを止められるかな!」

 田中はマークを二人引きずりながらも左足で強烈なシュートを放つ。
 だが俺は沢尻のシュートと同じように正面からボールを止めた。

「何なんだお前は。サッカー部のシュートと沢尻の極悪なシュートを止めるなんて」
「これがサッカー部のシュート? 大したことないな」
「いやいや、お前がおかしいだけだから」

 俺の挑発に田中は笑って受け流している。激昂でもしてくれたら扱いやすいのだが、どうやら田中は冷静な奴らしい。後でタブレットに打ち込んでおこう。

 だがこの後俺は、冷静な田中が怒りを露にする言葉を宣言する。

「運動が得意なCクラスと言っても雑魚ばっかだな。特にサッカー部と沢尻、熊谷以外は見ているだけのお荷物。お前らなら何本シュートを打たれようとゴールを割らせない自信がある」
「なん⋯⋯だと⋯⋯あまりうちのクラスを舐めるなよ」

 さすがに仲間をバカにされたことで田中もカチンときたようだ。

「俺のシュートを2本止めたくらいで調子に乗ってるんじゃねえ!」

 どうやら俺の挑発に意気消沈していた沢尻も憤慨し、調子を取り戻したか。

「その証拠を見せてやる」

 俺は手に持っていたボールをCクラスの男子に向かってスローイングする。

「えっ!」

 この時Cクラスのメンバーは、突然渡されたボールを見て、誰もが驚きの表情を浮かべていた。
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