57 / 142
データは嘘をつかない
しおりを挟む
俺からボールを渡されたCクラスの男子、佐々木は信じらないといった表情で呆然と立ち尽くしている。
しかし次第に状況を理解したのか、顔が真っ赤になり怒り浸透といった感じで迫ってきた。
「舐めるんじゃねえよ!」
さすが運動が得意なCクラス。畑違いでもスポーツに対するプライドは一人前だ。
Aクラスには相手にボールを渡すことを伝えており、その時万一にも沢尻、井沢、田中にパスを出させないよう三人ずつマークをつけ、佐々木には接近してもいいがボールは奪わないよう話していた。
「ほ、本当に大丈夫なのか?」
「今さらごちゃごちゃ言わない! 都筑は賭けに負けたんだから黙ってリウトに従いなさい」
不安を口にする都筑をちひろが叱咤する。だが相手にボールを渡しシュートを打たせるなど普通では考えられないこと。もしこれでゴールを割られたら俺の信用は地の底まで落ちるだろう。しかしこのような暴挙をしても信じてくれるちひろのためにも、ここは絶対に凌いでみせる。
そして佐々木は簡単にペナルティエリア付近までドリブルで近づくと、その勢いのまま右足でシュートを放つ。
だがそのボールの威力は沢尻、井沢、田中の三人には優に及ばず、俺は動体視力だけでキャッチする。
「怒りを露にしてもこの程度か」
俺は挑発する言葉を放ち、そしてボールをCクラスの男子、森永へと投げる。
「いくらなんでも自信過剰じゃないか?」
「それは俺からシュートを決めてから言ってほしいセリフだな」
「調子に乗ってられるのも今のうちだぞ」
さすがに2度目となると森永に驚きはなく、あるのは怒りと苛立ちの感情だった。
俺は先程より前の位置で森永のシュートに備える。
「そんな所で守ってていいのか?」
森永は俺の守っている位置が先程と違うことに気づき、ドリブルでペナルティエリアまでくるとニヤリと笑いながらボールを浮かせ、ループシュートを放ってきた。
「予想通りだ」
森永としては意表を突いたつもりかもしれないが、俺は森永がシュートを打つ瞬間に後ろに下がっていたため、ボールを楽々とキャッチすることができた。
「お前、わざと前で守っていたな」
「さあどうかな」
卓球部で冷静沈着な森永は、相手の位置を確認して玉を打つことが得意なので、サッカーでもそれを応用してくると思っていた。これがプロのループシュートだったら取ることは出来なかったかもしれないが、所詮素人のため俺がゴールを割らせることはない。
「次は誰が俺と勝負してくれる?」
そして俺は挑発しながらまだシュートを放っていないCクラスの男子に向けてボールを投げるのであった。
時間は刻々と過ぎていき、後半15分を経過しようとしていた時。
「う、嘘だろ⋯⋯」
「俺達男子全員のシュートが止められた⋯⋯だと⋯⋯」
俺は男子から放たれたシュートを全て止めて見せたため、Cクラス全員は信じられないと言った表情で意気消沈している。
「まさかあのやろう⋯⋯本当に失点を0に抑えるとはな」
「だから私が言ったでしょ、リウトを信じろって!」
「天城くん⋯⋯すごいです」
そしてAクラスはCクラスとは反対に、これ以上にない程士気が向上していた。
「だ、だがリードしているのはこっちだ」
「このまま時間が経てば勝つのは俺達になる」
沢尻と井沢の言う通りこのまま時間が経過すれば俺達は3対0で敗北する。
「このまま何事もなく時間が過ぎれば⋯⋯な」
俺は勝利への道を確信し、持っているボールを前線に向かって大きく蹴り出すのであった。
しかし次第に状況を理解したのか、顔が真っ赤になり怒り浸透といった感じで迫ってきた。
「舐めるんじゃねえよ!」
さすが運動が得意なCクラス。畑違いでもスポーツに対するプライドは一人前だ。
Aクラスには相手にボールを渡すことを伝えており、その時万一にも沢尻、井沢、田中にパスを出させないよう三人ずつマークをつけ、佐々木には接近してもいいがボールは奪わないよう話していた。
「ほ、本当に大丈夫なのか?」
「今さらごちゃごちゃ言わない! 都筑は賭けに負けたんだから黙ってリウトに従いなさい」
不安を口にする都筑をちひろが叱咤する。だが相手にボールを渡しシュートを打たせるなど普通では考えられないこと。もしこれでゴールを割られたら俺の信用は地の底まで落ちるだろう。しかしこのような暴挙をしても信じてくれるちひろのためにも、ここは絶対に凌いでみせる。
そして佐々木は簡単にペナルティエリア付近までドリブルで近づくと、その勢いのまま右足でシュートを放つ。
だがそのボールの威力は沢尻、井沢、田中の三人には優に及ばず、俺は動体視力だけでキャッチする。
「怒りを露にしてもこの程度か」
俺は挑発する言葉を放ち、そしてボールをCクラスの男子、森永へと投げる。
「いくらなんでも自信過剰じゃないか?」
「それは俺からシュートを決めてから言ってほしいセリフだな」
「調子に乗ってられるのも今のうちだぞ」
さすがに2度目となると森永に驚きはなく、あるのは怒りと苛立ちの感情だった。
俺は先程より前の位置で森永のシュートに備える。
「そんな所で守ってていいのか?」
森永は俺の守っている位置が先程と違うことに気づき、ドリブルでペナルティエリアまでくるとニヤリと笑いながらボールを浮かせ、ループシュートを放ってきた。
「予想通りだ」
森永としては意表を突いたつもりかもしれないが、俺は森永がシュートを打つ瞬間に後ろに下がっていたため、ボールを楽々とキャッチすることができた。
「お前、わざと前で守っていたな」
「さあどうかな」
卓球部で冷静沈着な森永は、相手の位置を確認して玉を打つことが得意なので、サッカーでもそれを応用してくると思っていた。これがプロのループシュートだったら取ることは出来なかったかもしれないが、所詮素人のため俺がゴールを割らせることはない。
「次は誰が俺と勝負してくれる?」
そして俺は挑発しながらまだシュートを放っていないCクラスの男子に向けてボールを投げるのであった。
時間は刻々と過ぎていき、後半15分を経過しようとしていた時。
「う、嘘だろ⋯⋯」
「俺達男子全員のシュートが止められた⋯⋯だと⋯⋯」
俺は男子から放たれたシュートを全て止めて見せたため、Cクラス全員は信じられないと言った表情で意気消沈している。
「まさかあのやろう⋯⋯本当に失点を0に抑えるとはな」
「だから私が言ったでしょ、リウトを信じろって!」
「天城くん⋯⋯すごいです」
そしてAクラスはCクラスとは反対に、これ以上にない程士気が向上していた。
「だ、だがリードしているのはこっちだ」
「このまま時間が経てば勝つのは俺達になる」
沢尻と井沢の言う通りこのまま時間が経過すれば俺達は3対0で敗北する。
「このまま何事もなく時間が過ぎれば⋯⋯な」
俺は勝利への道を確信し、持っているボールを前線に向かって大きく蹴り出すのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
111
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる