姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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気づかない内に試験を受けたくない

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 俺はソフィアさんに導かれてロールスロイスに乗り込むと車内には⋯⋯誰も居なかった。
 てっきりアリアが乗っていると思っていたんだが。このまま俺はどこに連れて行かれるんだ? 
 まさか富士の樹海に行って俺を始末する気じゃないだろうな。何だかすごく不安になってきたぞ。

「どこに行くのかな?」
「あるお方が天城様にお会いしたいと仰っています」
「あるお方? それはいったい⋯⋯」
「そろそろ目的地に到着致しますので、ご自分の目でご確認下さい」

 そう言われてたどり着いたのは屋敷の前だった。
 あれ? この場所は⋯⋯春休みには空き地だったはず。いつの間にこんな建物が。
 俺の家の10倍の広さはありそうだが、たった2ヶ月で建築できる代物じゃないぞ。どんだけ金を詰んで作ったんだ。少なくとも普通の家ではないことは間違いないだろう
 中で誰が待っているか確かめたい所だが、屋敷の門から家の入口のドアまで並んでいる人の姿が異様で足を進める気がおきない。
 先日はアリアの別荘でメイドさんが出迎えてくれたが、今出迎えてくれたのはグラサンをかけた怪しい黒服の集団だ。
 まさかここは帝◯グループの会長の家じゃないよな?
 この後ビルの上の鉄骨を渡らされたり、イカサマの細工をされたパチンコを打たされるのは勘弁してほしい。
 俺はまだ18歳未満だからな。

「さあどうぞお進み下さい」
「いや、お進み下さいって言われても⋯⋯」

 黒服の人達が全員俺の方に向けて殺気を放っている。
 この状況で前に足を進める者がいたら教えてほしい。
 何で俺はこんな事態に巻き込まれているんだろう。まだここに来たばかりだがもう帰りたい。

「天城様どうされました?」

 どうされましたってソフィアさんもこの殺気に気づいているよな? それなのに進めってやはりソフィアさんはドSだ。

「何でもないです」

 だが殺気は黒服だけではなく背後にいるソフィアさんからも放たれており、俺には前に進む以外の選択肢はなかった。

 そして俺は逃げ出したい気持ちを抑えて屋敷の中に入ると、応接室のような場所に案内された。
 部屋には高そうな壺や絵画があり、真っ当な金で買ったやつなのかと少し不安になってしまう。

 そして応接室に通されて1分程経った頃、突然ドアが開れ飛び込んきた人物は⋯⋯アリアだった。

「リウト大丈夫!?」

 血相をかいた様子でアリアは何故か俺の心配をする。やはりここはアリアの家だったか。金持ちでこんな豪邸をすぐに建てられるような人物はアリアしかいない。
 だけど大丈夫とはいったいどういうことだ? 

「ソフィアどういうことなの?」
「申し訳ありません。旦那様の御命令でしたので」

 旦那様? おそらくそれはこの屋敷の主であるアリアの父親のことを言っているのだろう。

「急にリウトを呼び出すようなことをしてお父様は何が目的なの?」
「旦那様のお考えは大体想像がつきます。お嬢様の近くにいる者は全て恋人として疑いをかけていますから脅しを⋯⋯ではなくどのような人物か把握するために、1度お会いしたいと考えているのではないかと思います」

 今この人脅しって言ったよ! 俺はこのままあの黒服さん達にどうにかされてしまうのだろうか。
 まあ冗談はさておき、この様子だと⋯⋯。

「なるほど。確かにリウトがお父様と会うならスピーディーの方がいいわね」
「えっ? そんな勘違いされたまま会いたくないんだけど」
「いつかはやらなきゃいけないことよ」
「いや、今やらなくていいことをやらされそうになっているよな」
「細かいことを気にしないの」

 俺の生死がかかっているのにたいしたことないように言わないでほしい。

「それにさっきのヤンキーはアリアのお父さんの仕業だろ?」
「えっ? 何よそれ。どういうことなの?」

 どうやら今の反応を見ると今回の件にアリアは関与していないようだ。

「それはどういうことでしょう。根拠をお教え頂いてもよろしいですか?」
「根拠ですか⋯⋯いくつかありますけどまず怪しいと思ったのが、中学生くらいの女の子が午前中から公園にいることです」
「別に女の子が公園にいてもおかしなことではないと思います」
「不登校の子ならあり得ないこともないけど、中学生があの時間に私服でいるのはおかしいですよ」
「もしかしたら病気で体調が悪かっただけかもしれませんよ」
「確かにそうかもしれない。じゃあ仮に体調が悪くてあの子は公園にいたとして、2つ目におかしいと思ったのはソフィアさんの行動だ」
「私の⋯⋯ですか」
「俺が女の子を助けた所をずっと見ていたって言ってたよね?」
「はい。何かおかしい所がありますか?」
「俺ならともかく女の子が窮地に陥ってる所を正義感が強いソフィアさんが黙って見ているなんて信じられないな」

 何だか言っていて悲しくなってきた。

「そ、それは⋯⋯」
「それにあのヤンキー3人の格好がこの時代にそぐわないものだったし、逃げる時にあの方に迷惑がかかるって言ってた。あの方ってアリアのお父さんでしょ? 確かに

 いくら命令だからといってそんなことで警察に捕まったら、アリアのお父さんの責任問題になる。

 おそらくアリアさんにまとわりつく害虫がどんな人物か見極めたかったのだろう。手の込んだことをしてくれるぜ。

 そして俺の推理が当たっていたためか、ソフィアさんは口を閉ざし何も言葉にしない。もしかしたら主の命令を話すわけにいかないので黙っているのかもしれない。
 だがこのままでは拉致があかないので、俺は改めてソフィアさんに問いかけようとした時、突如部屋のドアが開き、1人の男が俺に向かって襲いかかってきた。
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