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賢者、『魔王(偽)』を討つ。
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魔香──正確には『魔素毒草』に含まれる香りだが、それはいくつか種類があった。
それらに共通するのが香りでだいたいは花のような爽やかなものだが、間違って人が摘んでしまうこともある何も変哲の無さげな草花である。
それらを素手で摘めばだいたいはすぐに枯れてしまい、魔獣たちに嗅ぎつけられることはない。
だがそれらを根ごと掘り出し、テグという草で編んだ袋に入れれば鮮度が保たれる。
それをラダが付けているようなマスクをつけて粉砕と煮出しを行い、蒸留しさらに練って密度を高めるとお香のような物体になり、火を灯して熱せばどんな魔獣や魔物でも従うことができると言われている『魔香』を放つと言われている。
単体ではそんなに効果は強くないため数種類の草の蒸留したものをブレンドした物を使い、魔獣の意識を奪って従魔化することが可能と言われているが、私は眉唾物だと思っている。
何せ私はそんなものを使わずにウルと契約を結んだし、ケヴィンの恋人であるミルベルは開祖から連綿と続く従魔契約を結んだり破棄できたり能力を有するのだ。
むしろ従魔契約能力のないテイマーが使う違法物ではないかと思っているが、調合された物は発酵した果物のようなドロリとした重さを感じさせるような蠱惑さを含んだ甘い香りを放つと言われている。
そうしてどうやらラダが嗅いだことのある香りが、この辺りに漂っている甘ったるい匂いらしい。
「おかしな匂いだね。初めて嗅いだ。ラダがいてくれてよかった」
「ん?どうして?」
「いや、私もまだまだだなって……『魔香』というのは知識としてはあっても、実際に体験したことがなかったからね」
本当である。
何度も転生し『冒険者』を職業に選んだ時に何度か耳にしたことはあるが、魔獣や魔物をテイムすることは危険行為と言われており、Bランク以上のテイマーしか『魔香』を手に入れられないように冒険者ギルドが規制をかけてしまって、駆け出しのうちに命を落とすことが多かった私は一度も目にしたことはなかった。
それらに共通するのが香りでだいたいは花のような爽やかなものだが、間違って人が摘んでしまうこともある何も変哲の無さげな草花である。
それらを素手で摘めばだいたいはすぐに枯れてしまい、魔獣たちに嗅ぎつけられることはない。
だがそれらを根ごと掘り出し、テグという草で編んだ袋に入れれば鮮度が保たれる。
それをラダが付けているようなマスクをつけて粉砕と煮出しを行い、蒸留しさらに練って密度を高めるとお香のような物体になり、火を灯して熱せばどんな魔獣や魔物でも従うことができると言われている『魔香』を放つと言われている。
単体ではそんなに効果は強くないため数種類の草の蒸留したものをブレンドした物を使い、魔獣の意識を奪って従魔化することが可能と言われているが、私は眉唾物だと思っている。
何せ私はそんなものを使わずにウルと契約を結んだし、ケヴィンの恋人であるミルベルは開祖から連綿と続く従魔契約を結んだり破棄できたり能力を有するのだ。
むしろ従魔契約能力のないテイマーが使う違法物ではないかと思っているが、調合された物は発酵した果物のようなドロリとした重さを感じさせるような蠱惑さを含んだ甘い香りを放つと言われている。
そうしてどうやらラダが嗅いだことのある香りが、この辺りに漂っている甘ったるい匂いらしい。
「おかしな匂いだね。初めて嗅いだ。ラダがいてくれてよかった」
「ん?どうして?」
「いや、私もまだまだだなって……『魔香』というのは知識としてはあっても、実際に体験したことがなかったからね」
本当である。
何度も転生し『冒険者』を職業に選んだ時に何度か耳にしたことはあるが、魔獣や魔物をテイムすることは危険行為と言われており、Bランク以上のテイマーしか『魔香』を手に入れられないように冒険者ギルドが規制をかけてしまって、駆け出しのうちに命を落とすことが多かった私は一度も目にしたことはなかった。
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