VS お義母さん

沢麻

文字の大きさ
28 / 34
戦力となれる喜び、必要とされる喜び(猫の手でも借りたい子育て)

しおりを挟む
 「お義母さん、今日迎えお願いします!」
 「お義母さん、るりちゃんのご飯、味が濃いですしカットが細かすぎ!」
 「お義母さん、日曜日和馬と一緒にるりちゃん見ててもらえませんか? 私美容室に行きたい」
 「お義母さん仕事休めますか? るりちゃんの熱が下がらない」
 「お義母さん、るりちゃんにこんなお菓子あげないで!」
 「お義母さん、晩御飯魚は嫌ですー」
 
 日々はあっという間に過ぎていった。毎日毎日杏奈とは口喧嘩が絶えないが、杏奈はとにかく口うるさいタイプで、道子を特別嫌ってそうしているわけではないことがわかってきた。しかも育休中は家にこもってパジャマでスマホ三昧だった彼女も、働きに出るとおしゃれをして、はきはきと外で活動する元気なママに早変わりした。瑠璃夏がなついてきたりするのも勿論嬉しいが、道子は杏奈とうまくやれているような気がしてそれが最近嬉しいのだった。ぶつかることが多くても、信頼されているような感じがある。家族っていいなと思った。波多野の会社で仕事も続けている。瑠璃夏の体調によっては休みをもらうこともあるが、ほぼ毎日出勤だ。楽しい。充実とはこのことだ。午後はプランターの花を見て楽しみ、買い物に行ったり、掃除をしたり。
 そんな中、久しぶりに長女の葉子から電話がきた。
 「お母さん、どうしてる? お兄ちゃんたちとうまくやれている?」
 「ええ勿論よ。孫の世話から家事から、仕事までしているのよ」
 「えっお母さんが?」
 暫く葉子と近況報告を楽しんだ。三人の子供の中で実は道子は我が道を行く葉子が一番苦手なのだが、しかし一番道子を気にかけてくれる優しい存在でもある。
 葉子は高校を卒業すると、当時の彼氏と住むと行って家を出てしまった。そして車で二時間程の街でパートをしながら同棲していたが別れると実家に戻ってきて、また次の彼氏が出来ると家を出て行った。その時の彼氏に合わせて住居も仕事も都度変わるのだが、だいたい二年程で破局するのだ。道子ははっと思い付いた。まさか葉子はまた彼氏と別れて、住むところがなくなって電話を寄越してきたのではないだろうか。葉子の収入では一人暮らしは無理である。実家もなくなってしまって、途方に暮れているのでは。しかし葉子は強がりなので、何事もない顔をしているんじゃ……。
 「葉子、あなた何かあったんじゃないの? お母さんは元気だから、あなたのことを教えてよ」
 「……実はね……」
 葉子は話し始めた。一体何があったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...