VS お義母さん

沢麻

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スマホ育児って何? 今の子育てはこんなに手抜きなの?

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 「せっかく食器を洗ってあげているのにいきなり何を言うのよ」
 道子はカチンときた。そりゃあ杏奈が道子を疎ましく思っていることはわかっていた。けれど嫁とはそういうものではないか。夫とその親を立て、従うものではないか。いずれは長男の嫁である杏奈が、道子の老後の面倒を見ることになる。それなら今から上手くやっていこうと何故思えないのか。
 「じゃあ私が洗います」
 「そういうことじゃないわよ」
 「家が見つかるまでは、うちに寝泊まりしても構わないです。でも、私達は殆ど新婚みたいなものだし、赤ちゃんも居るし、今は家族だけでやっていきたいんです」
 「……杏奈さん、私だって姑さんと暮らしていたことがあるからそりゃあやりづらいのはわかりますよ。でもね、家が無くなった親族を突っぱねるなんてそれは冷たいわ」
 「物件探すの協力すればいいんですか? いいところ見つければ出ていってくれるんですか?」
 「和馬は私と住むと言ったんです。あなた誰の稼ぎでやっていると思ってるの」
 ふいにおんぶされていた赤ちゃんが泣き出した。かわいそうに。お母さんの言い争う声なんて聞きたくないわよね。道子だって姑と合わなかったことくらいある。だけど受け入れてきたのだ。
 杏奈はスマホをささっと操作し、童謡を流し、画面を赤ちゃんに見せた。赤ちゃんは泣き止む。こんな時にまでスマホ。赤ちゃんをあやすわけでもない。こんな嫁に常識は通用しないということか。
 「お義母さん、それは稼いでいる人の言うことを聞けということですか?」
 「じゃないとあなたは暮らせないでしょう」
 「和馬と私では私の方が高給です。同じ会社で年齢給なので」
 「はっ? そんなわけないじゃない。あなた女でしょう」
 「明細見せてもいいですよ。というか、その稼いでいる人の言うことを聞く理論なら、私の言うことを聞いてください。誰が布団を買ったと思ってますか? 私のお金で買ったんですよ」
 杏奈はスマホと赤ちゃんを大事に手に持って、道子を勝ち誇った顔で見下した。なんてこと。和馬はなんて人と結婚したのか。
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