VS お義母さん

沢麻

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主婦って寄生?じゃなくて共生なの?

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 「ちょっといい加減にしてよ。いつになったらお義母さんに出ていくように言ってくれるの!」
 瑠璃夏が泣くので杏奈は抱っこしたまま、声を潜めて和馬に詰め寄った。夜十時、寝室である。こういう話も、同じ家の中に道子がいるものだから彼女と別室に居るときにしかできない。
 「うーん、でもまぁご飯作ってくれるしいいじゃない」
 「和馬は仕事だから日中いないから私の気持ちなんてわからないの! いちいち私のやることに口出ししてくるしほんときつい」
 「そんなに仲悪くなかったじゃない」
 「たまにしか会わなければ上手くやれるけどさあ!」
 今まで杏奈は道子についての否定的な思いを和馬に話したことはなかった。しかし同じ家の中にあんなに合わない人と数日暮らして溜まったストレスは半端ない。
 「とにかく和馬からも物件探すように促してよ」
 「うーん……でもさ、それなら住居費が二重にかかるわけだから損じゃない?」
 「お義母さんまで同一家計みたいに言わないでよ」
 「だって俺ずっと仕送りしてるんだよ。三万も」
 「えっ」
 聞くと道子は収入がないらしい。亡くなったお義父さんが国民年金だった関係らしいが、年金は無し。三人の子供から三万ずつ仕送りしてもらい、足りない分は貯蓄を崩して細々と生活していたというのだ。それも持ち家だったから出来た話で、賃貸となると家賃の捻出が困難になる。
 「だから仕送り額を増やせとかなる可能性があるわけさ」
 「火災保険は」
 「実家の取り壊しとかでけっこうかかるらしいよ。余りは貯金してこの先の人生に備えるみたい」
 ……。確かにそこまで金がないとなると、追い出すのは可哀想な気がしてきた。しかし合わないのだ。日中同じ空間に居たくないのだ。
 「杏奈四月から復帰でしょ? あとちょっとのことじゃん」
 「……お義母さん、働く気はないのかな」
 「えっ!」
 そうだ。あの人は世間を知らなすぎる。ちょっとアルバイトでもして、社会勉強してきたらいいのだ。そうすればいくらか稼げるし、自分と違う価値観の人間とも接するから人間的にもプラスになるのではないだろうか。
 そうしよう。こんな寄生虫みたいな暮らしを止めさせる。働かざる者食うべからず。まず仕事をさせ、慣れてきたら安いアパートに引っ越しさせる。これだ。杏奈は名案だと思った。
 
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