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主婦って寄生?じゃなくて共生なの?
⑤
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道子の生活面パターンは仕事に行き始めてから少し変わった。朝五時のガサゴソは変わらないが、そこから一時間半程で家を出るので和馬は平日母親と顔を合わせることがなくなった。しかしちゃんと味噌汁と卵焼きは作ってから出掛けていく。そして十時半頃帰宅するわけだが、食卓には杏奈宛に下手くそな字で書き置きをしていくのだ。
「私が戻るまでに洗濯と一階の掃除をしておくように。道子」
これをしなかったら。
「ほら見なさい。私がいないとこんなに汚い。やっぱり働いてなんていられないわ」
「……」
こうなるのが容易に想像できるので、杏奈はしぶしぶ瑠璃夏をおんぶしてクイックルワイパーを手に取った。長身の杏奈にとって掃除は体勢がとてもきつい。ロボット掃除機が欲しい。買っちゃおうかな。自社製品でも似たようなのがあるななどと余計なことを考えながら適当に掃くと、なんとなく終わった。なんとなくでも掃除をしたという達成感があるが、これを日課にしてしまうと育休明けが大変そうだ。いや、育休明けは道子がいるのか。いやいや、何を一緒に住むつもりになっているのか。
それにしても週一からでもという条件にしたのに、道子ときたら毎日出勤していくではないか。これはひょっとしたら初めての仕事が楽しいのでは。現場をもう一つ担当させるように波多野に働きかけようか。そうすれば顔を合わせる時間が減る。
「ただいま」
道子が帰って来た。何やらとても楽しげだ。
「あら杏奈さん、お掃除ご苦労様。お昼ご飯作るわね」
「はぁすいません」
作ってくれるのはありがたいが、基本的に和食なのが辛い。朝からご飯と味噌汁を食べさせられ、昼もだいたいご飯と味噌汁が出る。あとひじきは毎食現れる。
「杏奈さん、どうして乾いた洗濯物を畳まないのかしら」
いきなり道子が小言を言い始めた。杏奈は言いつけ通り、洗濯はした。しかし乾いた洗濯物は、干す場所が確保できる最低限しか畳んでいない。道子はこれ見よがしに乾いたものを畳み始めた。しかしまたすぐ着るのに、いちいち折り目をつけて箪笥に押し込むのは正直馬鹿馬鹿しいと杏奈は思う。畳む時間、しまう時間、取り出す時間全てが無駄だ。だから道子の小言も気にならないし、ご苦労なこったと思う。
「ふぅ終わったわ、杏奈さん。あなたも主婦なんだから、洗濯物くらい畳みなさいね」
「……」
道子は仕事で何やら自信がついたのかやけに強気である。というか、気がつかなくて畳まなかったわけではなく必要性を感じないからしなかっただけなのになんなんだ。だいたい杏奈は自分を主婦だと思ったことはない。主婦は寄生虫という考え方である。
「……私、主婦じゃないんで」
「え?」
「いえ、お義母さん、仕事楽しいんですね。よかった。生き生きしてますね。外で働くっていいですよね。私も早く仕事に戻りたいなぁー」
道子は怪訝な顔をしている。杏奈の厭みが伝わったのか、そこはわからなかった。
「私が戻るまでに洗濯と一階の掃除をしておくように。道子」
これをしなかったら。
「ほら見なさい。私がいないとこんなに汚い。やっぱり働いてなんていられないわ」
「……」
こうなるのが容易に想像できるので、杏奈はしぶしぶ瑠璃夏をおんぶしてクイックルワイパーを手に取った。長身の杏奈にとって掃除は体勢がとてもきつい。ロボット掃除機が欲しい。買っちゃおうかな。自社製品でも似たようなのがあるななどと余計なことを考えながら適当に掃くと、なんとなく終わった。なんとなくでも掃除をしたという達成感があるが、これを日課にしてしまうと育休明けが大変そうだ。いや、育休明けは道子がいるのか。いやいや、何を一緒に住むつもりになっているのか。
それにしても週一からでもという条件にしたのに、道子ときたら毎日出勤していくではないか。これはひょっとしたら初めての仕事が楽しいのでは。現場をもう一つ担当させるように波多野に働きかけようか。そうすれば顔を合わせる時間が減る。
「ただいま」
道子が帰って来た。何やらとても楽しげだ。
「あら杏奈さん、お掃除ご苦労様。お昼ご飯作るわね」
「はぁすいません」
作ってくれるのはありがたいが、基本的に和食なのが辛い。朝からご飯と味噌汁を食べさせられ、昼もだいたいご飯と味噌汁が出る。あとひじきは毎食現れる。
「杏奈さん、どうして乾いた洗濯物を畳まないのかしら」
いきなり道子が小言を言い始めた。杏奈は言いつけ通り、洗濯はした。しかし乾いた洗濯物は、干す場所が確保できる最低限しか畳んでいない。道子はこれ見よがしに乾いたものを畳み始めた。しかしまたすぐ着るのに、いちいち折り目をつけて箪笥に押し込むのは正直馬鹿馬鹿しいと杏奈は思う。畳む時間、しまう時間、取り出す時間全てが無駄だ。だから道子の小言も気にならないし、ご苦労なこったと思う。
「ふぅ終わったわ、杏奈さん。あなたも主婦なんだから、洗濯物くらい畳みなさいね」
「……」
道子は仕事で何やら自信がついたのかやけに強気である。というか、気がつかなくて畳まなかったわけではなく必要性を感じないからしなかっただけなのになんなんだ。だいたい杏奈は自分を主婦だと思ったことはない。主婦は寄生虫という考え方である。
「……私、主婦じゃないんで」
「え?」
「いえ、お義母さん、仕事楽しいんですね。よかった。生き生きしてますね。外で働くっていいですよね。私も早く仕事に戻りたいなぁー」
道子は怪訝な顔をしている。杏奈の厭みが伝わったのか、そこはわからなかった。
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