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4章 〜過去 崩れゆく世界〜
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次の休日、久しぶりにダシェンボード公爵家の者たちが薔薇の宮を訪れた。
やって来たのはエリザベートの両親である前公爵夫妻と現公爵であるリチャードとアンヌ、アルバートとゾフィー、リチャードの長男アレクスに次男のプレストン、アルバートの長男フランクだ。
両家の子どもたちは皆エリザベートを心配して会いに行きたがっていたが、15歳を超えて配慮ができる年齢の者だけを連れてきていた。
「お久しぶりですね。リチャード兄様、アルバート兄様」
「ああ、リズ。久しぶりだな」
「中々会いに来れなくてすまない」
リチャードとアルバートはエリザベートと軽くハグをして挨拶を交わした。
公務の場や夜会などでは顔を合わせていたが、薔薇の宮から足が遠のいていたのは事実だ。
二人にとってエリザベートが可愛い妹なのには変わりないが、エリザベートを取り巻く状況は辛すぎた。
ルイを喪ったことも二度と子が望めないことも、夫が別の女性を娶って子を儲けたこともエリザベートを深く傷つけた。
二人にとってもルイは可愛い甥だったが、子沢山である彼らにエリザベートの気持ちを本当に理解することはできないだろう。そう思えば何を言っても傷つけてしまいそうで中々会いに来ることができなかったのだ。特に子が生まれたばかりのリチャードはアンヌ共々避けてしまっていた。
だけどそうも言っていられなくなった。
カールに呼び出された二人はエリザベートの様子がどうにもおかしいと伝えられ、気晴らしになるよう会いに来て欲しいと頼まれたのだ。
「お久しぶりです、叔母様」
アレクスとプリストン、フランクも挨拶をする。
三人とも既に社交界に出ているので舞踏会で顔を合わせることはあった。だけど舞踏会ではゆっくり話をすることはできない。
「皆も久しぶりね。プリストンとフランクはまた背が伸びたみたいだわ」
エリザベートの言葉にプリストンとフランクが照れくさそうに笑う。
15歳のプリストンとフランクはまだまだ成長途中だ。来年から学校に通うことになるので舞踏会にはあまり出席できなくなるだろう。
反対にアレクスは今年で卒業するので来年には婚姻を結ぶ。ダシェンボード公爵家の頼もしき後継者だ。
エリザベートたちは応接間で大きなテーブルを囲んで座った。
エリザベートの近くには前公爵夫妻が座り、エリザベートの体調を気にかけている。前公爵も現役時代は宰相として忙しく娘とあまり交流できていなかったが、本来愛情深い人で今の境遇に心を痛めていた。
結婚前にエリザベートが熱病で倒れた時に婚約を解消するよう強く求めていたのもこうなることがわかっていたからだ。公爵はカールとエリザベートの結婚を最後まで反対していた。
「………子どもの成長って早いのね。皆あっという間に大きくなってしまったわ」
エリザベートが見ているのはアレクスとプリストン、フランクの三人だ。
ルイが生きていた時はリチャードもアルバートも良く子どもを連れて遊びに来ていた。プリストンはあの頃言っていたように騎士を目指していて来年騎士学院に入学するらしい。
「ルイも大きくなったらプレストンのようになるのかと思ったこともあったわね……」
「っ!!」
エリザベートが呟いた言葉に息を呑む音がする。
和気あいあいとしていた部屋が一瞬で静まり返るのを見て、エリザベートは取り繕うようにアンヌとリチャードに話し掛けた。
「赤ちゃんのことを教えてちょうだい。男の子なのでしょう?」
「……ええ。エドワードというの。お義父様が名付けて下さったのよ」
「ダシェンボード公爵家の特徴を受け継いでいるよ。リズにも似ているところがある」
「まあ、そうなのね。早く会ってみたいわ」
エリザベートが嬉しそうに笑う。
空元気なのはわかっていたが、アンヌにもリチャードにもどうすることもできなかった。
やって来たのはエリザベートの両親である前公爵夫妻と現公爵であるリチャードとアンヌ、アルバートとゾフィー、リチャードの長男アレクスに次男のプレストン、アルバートの長男フランクだ。
両家の子どもたちは皆エリザベートを心配して会いに行きたがっていたが、15歳を超えて配慮ができる年齢の者だけを連れてきていた。
「お久しぶりですね。リチャード兄様、アルバート兄様」
「ああ、リズ。久しぶりだな」
「中々会いに来れなくてすまない」
リチャードとアルバートはエリザベートと軽くハグをして挨拶を交わした。
公務の場や夜会などでは顔を合わせていたが、薔薇の宮から足が遠のいていたのは事実だ。
二人にとってエリザベートが可愛い妹なのには変わりないが、エリザベートを取り巻く状況は辛すぎた。
ルイを喪ったことも二度と子が望めないことも、夫が別の女性を娶って子を儲けたこともエリザベートを深く傷つけた。
二人にとってもルイは可愛い甥だったが、子沢山である彼らにエリザベートの気持ちを本当に理解することはできないだろう。そう思えば何を言っても傷つけてしまいそうで中々会いに来ることができなかったのだ。特に子が生まれたばかりのリチャードはアンヌ共々避けてしまっていた。
だけどそうも言っていられなくなった。
カールに呼び出された二人はエリザベートの様子がどうにもおかしいと伝えられ、気晴らしになるよう会いに来て欲しいと頼まれたのだ。
「お久しぶりです、叔母様」
アレクスとプリストン、フランクも挨拶をする。
三人とも既に社交界に出ているので舞踏会で顔を合わせることはあった。だけど舞踏会ではゆっくり話をすることはできない。
「皆も久しぶりね。プリストンとフランクはまた背が伸びたみたいだわ」
エリザベートの言葉にプリストンとフランクが照れくさそうに笑う。
15歳のプリストンとフランクはまだまだ成長途中だ。来年から学校に通うことになるので舞踏会にはあまり出席できなくなるだろう。
反対にアレクスは今年で卒業するので来年には婚姻を結ぶ。ダシェンボード公爵家の頼もしき後継者だ。
エリザベートたちは応接間で大きなテーブルを囲んで座った。
エリザベートの近くには前公爵夫妻が座り、エリザベートの体調を気にかけている。前公爵も現役時代は宰相として忙しく娘とあまり交流できていなかったが、本来愛情深い人で今の境遇に心を痛めていた。
結婚前にエリザベートが熱病で倒れた時に婚約を解消するよう強く求めていたのもこうなることがわかっていたからだ。公爵はカールとエリザベートの結婚を最後まで反対していた。
「………子どもの成長って早いのね。皆あっという間に大きくなってしまったわ」
エリザベートが見ているのはアレクスとプリストン、フランクの三人だ。
ルイが生きていた時はリチャードもアルバートも良く子どもを連れて遊びに来ていた。プリストンはあの頃言っていたように騎士を目指していて来年騎士学院に入学するらしい。
「ルイも大きくなったらプレストンのようになるのかと思ったこともあったわね……」
「っ!!」
エリザベートが呟いた言葉に息を呑む音がする。
和気あいあいとしていた部屋が一瞬で静まり返るのを見て、エリザベートは取り繕うようにアンヌとリチャードに話し掛けた。
「赤ちゃんのことを教えてちょうだい。男の子なのでしょう?」
「……ええ。エドワードというの。お義父様が名付けて下さったのよ」
「ダシェンボード公爵家の特徴を受け継いでいるよ。リズにも似ているところがある」
「まあ、そうなのね。早く会ってみたいわ」
エリザベートが嬉しそうに笑う。
空元気なのはわかっていたが、アンヌにもリチャードにもどうすることもできなかった。
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