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「そう。彼は、ブライアン・ドナルドソンというのね。公爵閣下で将軍閣下でもあるわけ? ずいぶんと若い当主で将軍なのね」
「はい、奥様」
寝台から解放されたのは、見知らぬ彼、つまりブライアンに「愛していない」宣言をされてから二日後だった。
「奥様は、旦那様の奥様で、不在の旦那様にかわってドナルドソン公爵家の領地経営とこの屋敷の管理をされています」
「わたしがブライアンの奥様、ねぇ……」
メイドのひとりレベッカ・タイラーは、赤毛をおさげにしていてとても可愛らしい。それだけではない。顔のそばかすもめちゃくちゃキュートである。
寝台から解放される前から、彼女ともうひとりいるメイドのマリーナ・ラッセルにいろいろ聞いた。
ちなみに、マリーナはめちゃくちゃ美しい。金髪碧眼がこれほど似合うレディはいないだろう。レベッカ曰く、町や村を歩けばすべての男性が振り向くという。
たしかに、マリーナはレベッカのいうことが嘘でも盛りすぎでもないほど美しい。
それはともかく、レベッカとマリーナから、ブライアンやわたし自身のことをいろいろ聞いた。
わたしは、ブライアンの妻で名前はナツ。ナツ・ドナルドソンらしい。
どうやらわたしは、バルコニーから落ちたらしい。
それが、ブライアンを激怒させた理由なのだ。
ブライアンは、マイルズ王国軍の将軍。戦争と休戦を繰り返している隣国に睨みをきかせるため、もう何年も国境地帯で駐屯しているという。
そのため、この屋敷になかなか帰ってこないらしい。
もっとも、彼が屋敷に帰ってこないのは、隣国を牽制や守備する為だけではない。他にも理由がある。
それは、駐屯地近くの町に愛人がいること。しかも、その愛人には子どもまでいるというから驚いた。
彼は、休みになってもこの屋敷ではなく愛人とその子どものもとへ帰っているのだ。
とはいえ、一度も帰ってこなかったわけではない。ドナルドソン公爵家の当主として、やるべきことをやるべく定期的にたまーに帰ってきたらしい。
もっとも、彼が帰ってくるなり、わたしが彼に噛みきまくり、結果大ゲンカになってしまうという。そのため、彼は用事もそこそこに駐屯地に戻ってしまうらしい。
というわけで、ブライアンとわたしの関係は最低最悪というわけ。
彼が契約だの期間限定だといっていたことが、おおいに納得できた。
というわけで、たとえわたしがバルコニーから落ちて頭を打ち、そのせいで記憶を失うことがなかったとしても、わたしがブライアンのことをよく知らず、彼のことが理解できないことにかわりはないに違いない。
まぁ、たしかに事故の知らせを受けて帰ってこなければならなかったブライアンのあの怒りっぷりもわかるような気がするけど。
わたしは、事故以前にブライアンにとってめちゃくちゃ印象悪いらしい。
もっとも、彼にたいしてだけではない。わたしは、ありとあらゆる人を怒らせたり不機嫌にさせたりびびらせたり狼狽えさせるのが得意だというから驚きである。
悪女、悪妻。
だれもがわたしをそう呼び、嫌っているというからさらに驚いた。
(わたしってそんなにイヤーなレディなのね)
レベッカとマリーナの話を、まるで他人事のように聞いていた。
ただ、そんな自分の最悪最低っぷりをすんなり受け入れられた。
やはり、ふたりの話は誇張ではないのだろう。潜在的にか本能でか、覚えているのかもしれない。
「はい、奥様」
寝台から解放されたのは、見知らぬ彼、つまりブライアンに「愛していない」宣言をされてから二日後だった。
「奥様は、旦那様の奥様で、不在の旦那様にかわってドナルドソン公爵家の領地経営とこの屋敷の管理をされています」
「わたしがブライアンの奥様、ねぇ……」
メイドのひとりレベッカ・タイラーは、赤毛をおさげにしていてとても可愛らしい。それだけではない。顔のそばかすもめちゃくちゃキュートである。
寝台から解放される前から、彼女ともうひとりいるメイドのマリーナ・ラッセルにいろいろ聞いた。
ちなみに、マリーナはめちゃくちゃ美しい。金髪碧眼がこれほど似合うレディはいないだろう。レベッカ曰く、町や村を歩けばすべての男性が振り向くという。
たしかに、マリーナはレベッカのいうことが嘘でも盛りすぎでもないほど美しい。
それはともかく、レベッカとマリーナから、ブライアンやわたし自身のことをいろいろ聞いた。
わたしは、ブライアンの妻で名前はナツ。ナツ・ドナルドソンらしい。
どうやらわたしは、バルコニーから落ちたらしい。
それが、ブライアンを激怒させた理由なのだ。
ブライアンは、マイルズ王国軍の将軍。戦争と休戦を繰り返している隣国に睨みをきかせるため、もう何年も国境地帯で駐屯しているという。
そのため、この屋敷になかなか帰ってこないらしい。
もっとも、彼が屋敷に帰ってこないのは、隣国を牽制や守備する為だけではない。他にも理由がある。
それは、駐屯地近くの町に愛人がいること。しかも、その愛人には子どもまでいるというから驚いた。
彼は、休みになってもこの屋敷ではなく愛人とその子どものもとへ帰っているのだ。
とはいえ、一度も帰ってこなかったわけではない。ドナルドソン公爵家の当主として、やるべきことをやるべく定期的にたまーに帰ってきたらしい。
もっとも、彼が帰ってくるなり、わたしが彼に噛みきまくり、結果大ゲンカになってしまうという。そのため、彼は用事もそこそこに駐屯地に戻ってしまうらしい。
というわけで、ブライアンとわたしの関係は最低最悪というわけ。
彼が契約だの期間限定だといっていたことが、おおいに納得できた。
というわけで、たとえわたしがバルコニーから落ちて頭を打ち、そのせいで記憶を失うことがなかったとしても、わたしがブライアンのことをよく知らず、彼のことが理解できないことにかわりはないに違いない。
まぁ、たしかに事故の知らせを受けて帰ってこなければならなかったブライアンのあの怒りっぷりもわかるような気がするけど。
わたしは、事故以前にブライアンにとってめちゃくちゃ印象悪いらしい。
もっとも、彼にたいしてだけではない。わたしは、ありとあらゆる人を怒らせたり不機嫌にさせたりびびらせたり狼狽えさせるのが得意だというから驚きである。
悪女、悪妻。
だれもがわたしをそう呼び、嫌っているというからさらに驚いた。
(わたしってそんなにイヤーなレディなのね)
レベッカとマリーナの話を、まるで他人事のように聞いていた。
ただ、そんな自分の最悪最低っぷりをすんなり受け入れられた。
やはり、ふたりの話は誇張ではないのだろう。潜在的にか本能でか、覚えているのかもしれない。
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