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「興味はなかった、だろうね」
そう言った紫藤の目は、笑っているのにどこか冷ややかだった。ただのオメガには興味がないと言うのが、視線越しに律にも伝わるのがわかる。
緊張は解れてきたが、なぜか胸の奥がチクリと痛んだ。
「ただのオメガなんて、アルファの子を産むくらいの価値しかないんだよ」
「そんな言い方……」
辛辣な言葉を並べる紫藤の表情が一瞬だけ曇ったようだったが、律はその些細な変化には気づくことができなかった。
それよりも、紫藤がオメガに抱いている感情がどんなものかを知ったことの方がショックが大きい。先程とは違う明確な胸の痛みに、律はギュッと拳を握り締めた。
「オメガだって、普通に暮らして幸せになる権利だってあります」
「普通、ね……」
紫藤は座っていた椅子から立ち上がり、律の前に立つ。
トンっと軽く律の肩を押せば、予想していなかった行動に反応できなかった律は、そのままベッドへ倒れ込んでしまう。
「なに、して」
「数ヶ月に一度、発情期を起こし……生殖行動以外なにもできなくなる」
押し倒した律の上に覆いかぶさり、紫藤は律の腹の辺りを撫でる。咄嗟に抵抗しようにも、紫藤の匂いが鼻を掠めると身体が上手く動いてくれず、されるがままになってしまう。
「アルファの遺伝子を求め、そのフェロモンでアルファさえも狂わせる」
「紫藤、さん」
「そんな顔をして、キミもアルファを誘うのかな?」
なにをされるのかわからない状況で、不安気に紫藤を見上げていた律。紫藤にはそれすらアルファを煽っているように見えているのだろう。その冷ややかな笑みで律を見下ろしていた。
「心配しなくても、手は出さないよ」
動けないままでいる律の耳元でそう囁くと、紫藤はそのまま離れていった。それでも、未だに動けずにいる律を見てくつくつと紫藤は笑う。
「それとも、手を出して欲しかった?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
慌てて起き上がり否定する。期待なんてしてはいないが、紫藤の匂いに反応してしまったことで内心忸怩たるものがある。
オメガがアルファを狂わせると言うが、アルファだって十分にオメガを狂わせているのではないかと律は思う。特に紫藤の場合はそれを強く感じてしまうは、律自身が身を持って体感したからなのかもしれない。
「紫藤さんは、オメガが嫌いなんですか?」
「……さあ、どうだろう」
先ほどの口ぶりからすると、紫藤はあまりオメガに良い印象を持っていないように思えてならない。アルファ故の苦労もあるのかもしれないと、あれこれ考えが過るが律に真相は知る由もなかった。
「それで、俺がキミを手元に置く理由を聞いて…律くんは満足したのかな?」
「え……あ、はい。それは納得したんですけど」
「他にも聞きたいことでもあるのかな?」
紫藤に聞きたいことはいくらでもある。しかし、あまりプライベートなことに踏み入るには付き合いも浅い。恐らく紫藤も答えてはくれないだろう。
ならば、今一番聞きたいことだけ聞いてしまおうと、律は再び口を開いた。
「ここに置いてもらってから、家賃や食費……光熱費なんかも全部お世話になりっぱなしじゃないですか」
「あぁ、そんなことか」
「そんなことじゃないですよ? 結構大事なことですよね?」
金銭が絡んでいる以上、一般的にはかなり重要な事柄ではないだろうか?
それをそんなことの一言で片付けてしまう紫藤は、やはりどこか人とズレている気がしてならない。
そう言った紫藤の目は、笑っているのにどこか冷ややかだった。ただのオメガには興味がないと言うのが、視線越しに律にも伝わるのがわかる。
緊張は解れてきたが、なぜか胸の奥がチクリと痛んだ。
「ただのオメガなんて、アルファの子を産むくらいの価値しかないんだよ」
「そんな言い方……」
辛辣な言葉を並べる紫藤の表情が一瞬だけ曇ったようだったが、律はその些細な変化には気づくことができなかった。
それよりも、紫藤がオメガに抱いている感情がどんなものかを知ったことの方がショックが大きい。先程とは違う明確な胸の痛みに、律はギュッと拳を握り締めた。
「オメガだって、普通に暮らして幸せになる権利だってあります」
「普通、ね……」
紫藤は座っていた椅子から立ち上がり、律の前に立つ。
トンっと軽く律の肩を押せば、予想していなかった行動に反応できなかった律は、そのままベッドへ倒れ込んでしまう。
「なに、して」
「数ヶ月に一度、発情期を起こし……生殖行動以外なにもできなくなる」
押し倒した律の上に覆いかぶさり、紫藤は律の腹の辺りを撫でる。咄嗟に抵抗しようにも、紫藤の匂いが鼻を掠めると身体が上手く動いてくれず、されるがままになってしまう。
「アルファの遺伝子を求め、そのフェロモンでアルファさえも狂わせる」
「紫藤、さん」
「そんな顔をして、キミもアルファを誘うのかな?」
なにをされるのかわからない状況で、不安気に紫藤を見上げていた律。紫藤にはそれすらアルファを煽っているように見えているのだろう。その冷ややかな笑みで律を見下ろしていた。
「心配しなくても、手は出さないよ」
動けないままでいる律の耳元でそう囁くと、紫藤はそのまま離れていった。それでも、未だに動けずにいる律を見てくつくつと紫藤は笑う。
「それとも、手を出して欲しかった?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
慌てて起き上がり否定する。期待なんてしてはいないが、紫藤の匂いに反応してしまったことで内心忸怩たるものがある。
オメガがアルファを狂わせると言うが、アルファだって十分にオメガを狂わせているのではないかと律は思う。特に紫藤の場合はそれを強く感じてしまうは、律自身が身を持って体感したからなのかもしれない。
「紫藤さんは、オメガが嫌いなんですか?」
「……さあ、どうだろう」
先ほどの口ぶりからすると、紫藤はあまりオメガに良い印象を持っていないように思えてならない。アルファ故の苦労もあるのかもしれないと、あれこれ考えが過るが律に真相は知る由もなかった。
「それで、俺がキミを手元に置く理由を聞いて…律くんは満足したのかな?」
「え……あ、はい。それは納得したんですけど」
「他にも聞きたいことでもあるのかな?」
紫藤に聞きたいことはいくらでもある。しかし、あまりプライベートなことに踏み入るには付き合いも浅い。恐らく紫藤も答えてはくれないだろう。
ならば、今一番聞きたいことだけ聞いてしまおうと、律は再び口を開いた。
「ここに置いてもらってから、家賃や食費……光熱費なんかも全部お世話になりっぱなしじゃないですか」
「あぁ、そんなことか」
「そんなことじゃないですよ? 結構大事なことですよね?」
金銭が絡んでいる以上、一般的にはかなり重要な事柄ではないだろうか?
それをそんなことの一言で片付けてしまう紫藤は、やはりどこか人とズレている気がしてならない。
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