35 / 55
第四章 ドアの鍵は君が持っている
10 君のそばなら
しおりを挟む
「はい」
中から返事が来た。
ゆっくりとドアを開けると、畳に使われている、い草の香りが鼻をくすぐる。
「眞野ですぅー」
口を3のように尖らせて、中の様子を伺う。
一枚の板の両端を折った座卓が部屋の隅にある。それに向かっている彼と目が合った。
「なにしてるの?」
座卓の上には、私の楽譜と五つの線が書かれている五線譜。その下には書き込まれた五線譜が沢山置かれていた。彼の右手に鉛筆を持っていることから、五線譜になにかを書いているようだ。
私の視線の矛先に気づいた彼は苦笑した。
「すみません、起こしてしまいましたか?」
「ううん、眠れないだけ。それ……なにを書いてるの?」
「伴奏者がいないから、フルート二重奏として編曲してるんですよ」
勝手に楽譜を借りてます、と付け足した。
「え! 嘘! 凄いッ!」
私は感情に駆られ、彼の断りもなく部屋に入った。少しも嫌な顔をしない彼の隣に座ると、綺麗に書かれた音符が並ぶ楽譜を見つめる。
「わぁぁ! これ『さくらのうた』だぁ。フルート二重奏になったらどんな感じになるんだろう。すっごく楽しみ。……あ、今はロドリーゴの『ある貴神のための幻想曲』を書いてるんだね。私、書けないから凄く尊敬するよ」
「編曲っていっても、ピアノ伴奏をそのままフルートに起こしてるだけなんで」
彼はそう言いながら、再び苦笑した。
例え彼にとってはそうだとしても、私にとっては未知なる世界。そんな世界に片足でも入れている彼は尊敬の対象だ。そして、それと同時にある疑問が頭に浮かぶ。
「福岡くん」
「はい」
彼はピアノの楽譜を見ながら、フルートの音域に書き換えていく。
「どうして、ここまでしてくれるの? ピアノの楽譜をフルートに書き換えるのだって、大変な作業だよね」
私なんかの為に。知り合って間もないし、深い付き合いでもない。なのに、何故?
彼は鉛筆を走らせながら答えた。
「好きなんですよ」
「え?」
私のことが?
「眞野さんの出すフルートの音が」
「……」
ですよね。
その言葉に期待してしまう自分が愚かすぎて、泣けてくる。よくあるパターンじゃないですか。漫画とか、アニメとか。
「素直に感情が音に表れるから、聴いていて面白いなって」
「お、面白い……ですか?」
一体どういう意味なのだろう。わからなさすぎて泣けてくる。思わず吐き出す言葉が敬語だ。
私の様子を見て察した福岡くんは、首を横に振った。
「あー、悪く言ってるわけじゃないんですよ。感情豊かで面し……綺麗だなって」
絶対にまた面白いって言いかけたよね。
「褒められてるのか、貶されてるのか、よくわかんない」
頬を少し膨らませて、不満を表す。
「褒めてます褒めてます。だからそんな膨れっ面にならないでくださいよ」
彼は笑った。嫌な感じではなく、私まで笑ってしまいそうな、そんな優しい感じ。
「音楽って、悲しいメロディだったり、楽しそうなメロディだったり、人のあらゆる感情を表しているなって、俺は吹いていて思うんです。曲には物語があるし、作曲者の人生とか、時代背景とか、いろんなものが詰め込まれてますよね」
彼は改めて私を見る。
「譜面上は白黒だけど、感情豊かな眞野さんが吹くと、曲に色が付くというか……色のある世界が見えるようで楽しいんですよ。俺の演奏は、どうもそれが苦手なんで」
そんなふうに評価してもらったことがなかった。
私の音楽を聴いて、楽しい?
上手い、下手の評価ではなく、楽しい?
面食らった。初めての感覚に戸惑うが、心の奥底からじんわりと温かくなるのを感じる。ああ、嬉しいんだ。
「…………褒めてる?」
「褒めてるって言ってるじゃないですか」
「困った人だなぁ」眉を寄せながら、笑う。
「てことは福岡くん、ずっと私の演奏を聴いてたんだ」
フフッと笑ってみせると、彼は狼狽する。私はそんな彼に追い討ちをかけるように言葉を続けた。
「もしかして音楽室のドアの向こうで聴いてたあの日からずっと? 頭を押さえてた日があったよね」
「自分の足に引っかかって、ドアにぶつかったんですよ……それはもう忘れてください」
恥ずかしそうに顔を赤らめる。そして逃げるように、止めていた鉛筆を走らせた。
「眞野さんの演奏をもっと聴きたいし、コンサートを中止にさせるのは勿体無いなーって」
「……ありがと」
「ピアノは得意じゃないし、こういう楽譜の書き換えと、フルート演奏なら俺もできる。フルート二重奏に変更になったことは、当日にアナウンスして……ただ」
「『ただ』?」
「コンサートを聴きに来てくれた人に『あーピアノ伴奏の方が良かったな』なんて思われたくないんで、やるからには俺も全力でやります」
幼さがある顔だと思っていたのに、この時の彼は大人よりもしっかりした顔つきと、力強い眼差しがあった。
「本当にありがとう」
なにかを考えるより早く、口から言葉が出た。
「宜しくね」
「こちらこそ宜しくお願いします」
お互いに頭を下げた。そして、彼はすぐに楽譜を書き始める。
慣れた手つきで書き換えられていく楽譜。一切迷いなく、カリカリと鉛筆の走る音が、徐々に眠気を誘う。だが、もう少し見ていたいなと思って、彼の隣にいると、
「部屋に戻って良いですよ」
ウトウトとしているところを見られたのだろうか。彼に苦笑された。
起きようと何度も瞬きを繰り返すが、目が半分閉じ掛ける。かなり眠くなってきた。
「一緒にいたら、ダメ?」
目を擦りながらそう言ったら、福岡くんは少し面食らった表情を浮かべ、クスッと笑いながら楽譜へ視線を戻す。
「一人じゃあ寝られないんですか?」
その言葉が胸にグサリと突き刺さる。その通りです。私のことをよく理解しておいでで。
「お恥ずかしながら。初めて寝る場所は、ちょっと緊張しちゃって」
頬をぽりぽりと指で掻く。
「じゃあ、そこの布団で寝ていいですよ。俺ので悪いんですけど」
「福岡くんは?」
「楽譜を書き換えるのに、まだ時間がかかるんで。眞野さんはいろいろあって疲れたでしょ。明日に備えてしっかり休んでください」
一向に目は合わないが、福岡くんの好意だとはわかる。でも念には念を入れて、
「……本当に邪魔じゃない? いいの?」
「大丈夫大丈夫」
安心させるような声色と、紙上を走る鉛筆の音。
「では、お言葉に甘えて……」
もぞもぞと動き出すと、福岡くんは部屋の電灯を消し、座卓に置いてあるテーブルスタンドの明かりをつけた。小さな光が机上を明るく照らす。
秋の夜にしては少し暑い中、夏布団を掛けて横になると、福岡くんの横顔がよく見えた。
彼は視線を向けて、口の両端を優しく吊り上げる。
「おやすみなさい」
「おやすみ。無理はしないでね」
「はい」
彼がすぐそばにいることで緊張してしまうかと思ったが、不思議な心地よさを感じつつ、瞼はゆっくりと降りた。
中から返事が来た。
ゆっくりとドアを開けると、畳に使われている、い草の香りが鼻をくすぐる。
「眞野ですぅー」
口を3のように尖らせて、中の様子を伺う。
一枚の板の両端を折った座卓が部屋の隅にある。それに向かっている彼と目が合った。
「なにしてるの?」
座卓の上には、私の楽譜と五つの線が書かれている五線譜。その下には書き込まれた五線譜が沢山置かれていた。彼の右手に鉛筆を持っていることから、五線譜になにかを書いているようだ。
私の視線の矛先に気づいた彼は苦笑した。
「すみません、起こしてしまいましたか?」
「ううん、眠れないだけ。それ……なにを書いてるの?」
「伴奏者がいないから、フルート二重奏として編曲してるんですよ」
勝手に楽譜を借りてます、と付け足した。
「え! 嘘! 凄いッ!」
私は感情に駆られ、彼の断りもなく部屋に入った。少しも嫌な顔をしない彼の隣に座ると、綺麗に書かれた音符が並ぶ楽譜を見つめる。
「わぁぁ! これ『さくらのうた』だぁ。フルート二重奏になったらどんな感じになるんだろう。すっごく楽しみ。……あ、今はロドリーゴの『ある貴神のための幻想曲』を書いてるんだね。私、書けないから凄く尊敬するよ」
「編曲っていっても、ピアノ伴奏をそのままフルートに起こしてるだけなんで」
彼はそう言いながら、再び苦笑した。
例え彼にとってはそうだとしても、私にとっては未知なる世界。そんな世界に片足でも入れている彼は尊敬の対象だ。そして、それと同時にある疑問が頭に浮かぶ。
「福岡くん」
「はい」
彼はピアノの楽譜を見ながら、フルートの音域に書き換えていく。
「どうして、ここまでしてくれるの? ピアノの楽譜をフルートに書き換えるのだって、大変な作業だよね」
私なんかの為に。知り合って間もないし、深い付き合いでもない。なのに、何故?
彼は鉛筆を走らせながら答えた。
「好きなんですよ」
「え?」
私のことが?
「眞野さんの出すフルートの音が」
「……」
ですよね。
その言葉に期待してしまう自分が愚かすぎて、泣けてくる。よくあるパターンじゃないですか。漫画とか、アニメとか。
「素直に感情が音に表れるから、聴いていて面白いなって」
「お、面白い……ですか?」
一体どういう意味なのだろう。わからなさすぎて泣けてくる。思わず吐き出す言葉が敬語だ。
私の様子を見て察した福岡くんは、首を横に振った。
「あー、悪く言ってるわけじゃないんですよ。感情豊かで面し……綺麗だなって」
絶対にまた面白いって言いかけたよね。
「褒められてるのか、貶されてるのか、よくわかんない」
頬を少し膨らませて、不満を表す。
「褒めてます褒めてます。だからそんな膨れっ面にならないでくださいよ」
彼は笑った。嫌な感じではなく、私まで笑ってしまいそうな、そんな優しい感じ。
「音楽って、悲しいメロディだったり、楽しそうなメロディだったり、人のあらゆる感情を表しているなって、俺は吹いていて思うんです。曲には物語があるし、作曲者の人生とか、時代背景とか、いろんなものが詰め込まれてますよね」
彼は改めて私を見る。
「譜面上は白黒だけど、感情豊かな眞野さんが吹くと、曲に色が付くというか……色のある世界が見えるようで楽しいんですよ。俺の演奏は、どうもそれが苦手なんで」
そんなふうに評価してもらったことがなかった。
私の音楽を聴いて、楽しい?
上手い、下手の評価ではなく、楽しい?
面食らった。初めての感覚に戸惑うが、心の奥底からじんわりと温かくなるのを感じる。ああ、嬉しいんだ。
「…………褒めてる?」
「褒めてるって言ってるじゃないですか」
「困った人だなぁ」眉を寄せながら、笑う。
「てことは福岡くん、ずっと私の演奏を聴いてたんだ」
フフッと笑ってみせると、彼は狼狽する。私はそんな彼に追い討ちをかけるように言葉を続けた。
「もしかして音楽室のドアの向こうで聴いてたあの日からずっと? 頭を押さえてた日があったよね」
「自分の足に引っかかって、ドアにぶつかったんですよ……それはもう忘れてください」
恥ずかしそうに顔を赤らめる。そして逃げるように、止めていた鉛筆を走らせた。
「眞野さんの演奏をもっと聴きたいし、コンサートを中止にさせるのは勿体無いなーって」
「……ありがと」
「ピアノは得意じゃないし、こういう楽譜の書き換えと、フルート演奏なら俺もできる。フルート二重奏に変更になったことは、当日にアナウンスして……ただ」
「『ただ』?」
「コンサートを聴きに来てくれた人に『あーピアノ伴奏の方が良かったな』なんて思われたくないんで、やるからには俺も全力でやります」
幼さがある顔だと思っていたのに、この時の彼は大人よりもしっかりした顔つきと、力強い眼差しがあった。
「本当にありがとう」
なにかを考えるより早く、口から言葉が出た。
「宜しくね」
「こちらこそ宜しくお願いします」
お互いに頭を下げた。そして、彼はすぐに楽譜を書き始める。
慣れた手つきで書き換えられていく楽譜。一切迷いなく、カリカリと鉛筆の走る音が、徐々に眠気を誘う。だが、もう少し見ていたいなと思って、彼の隣にいると、
「部屋に戻って良いですよ」
ウトウトとしているところを見られたのだろうか。彼に苦笑された。
起きようと何度も瞬きを繰り返すが、目が半分閉じ掛ける。かなり眠くなってきた。
「一緒にいたら、ダメ?」
目を擦りながらそう言ったら、福岡くんは少し面食らった表情を浮かべ、クスッと笑いながら楽譜へ視線を戻す。
「一人じゃあ寝られないんですか?」
その言葉が胸にグサリと突き刺さる。その通りです。私のことをよく理解しておいでで。
「お恥ずかしながら。初めて寝る場所は、ちょっと緊張しちゃって」
頬をぽりぽりと指で掻く。
「じゃあ、そこの布団で寝ていいですよ。俺ので悪いんですけど」
「福岡くんは?」
「楽譜を書き換えるのに、まだ時間がかかるんで。眞野さんはいろいろあって疲れたでしょ。明日に備えてしっかり休んでください」
一向に目は合わないが、福岡くんの好意だとはわかる。でも念には念を入れて、
「……本当に邪魔じゃない? いいの?」
「大丈夫大丈夫」
安心させるような声色と、紙上を走る鉛筆の音。
「では、お言葉に甘えて……」
もぞもぞと動き出すと、福岡くんは部屋の電灯を消し、座卓に置いてあるテーブルスタンドの明かりをつけた。小さな光が机上を明るく照らす。
秋の夜にしては少し暑い中、夏布団を掛けて横になると、福岡くんの横顔がよく見えた。
彼は視線を向けて、口の両端を優しく吊り上げる。
「おやすみなさい」
「おやすみ。無理はしないでね」
「はい」
彼がすぐそばにいることで緊張してしまうかと思ったが、不思議な心地よさを感じつつ、瞼はゆっくりと降りた。
0
あなたにおすすめの小説
秘められた薫り
La Mistral
恋愛
エブリスタにて、トレンド#恋愛で最高位
55位を獲得した作品です。
「愛しているよ」という夫の言葉が、今の美咲には虚しい空気にしか聞こえない。
欠けていたのは、理性を焼き尽くすような衝動。
クライアントの慎吾と交わす視線。ビジネスという仮面の下で共有される、剥き出しの欲望。
指先が触れる。名前を呼ばれる。ただそれだけで、美咲の積み上げてきた「良き妻」としての世界は音を立てて崩れ去る。
完璧なアリバイ、塗り固めた嘘。
夫の隣で微笑みながら、心は別の男の指先を求めている。
一度知ってしまった濃厚な「薫り」は、もう彼女を元の場所へは戻してくれない。
守るべき家庭と、抗えない本能。
二つの世界の境界線で、美咲が選ぶ「最後の一線」とは――。
欲望の熱に浮かされた女の、美しくも残酷な堕落の記録。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
旅は道連れ、世は情け?と言われて訳あり伯爵家の子息のパートナーになりました
さこの
恋愛
両親を亡くし、遺品整理のため王都を訪れたブランシュ。
手放すはずだったアンティークをきっかけに、ひょんなことから伯爵家の跡取り・ユーゴと出会う。
無愛想で口が悪く、女性に冷たいその男は、なぜかブランシュの世話を焼き、面倒事にも付き合ってくれる。
王都ではかつて「親友に婚約者を奪われ、失恋して姿を消した男」と噂されていたユーゴ。
だがその噂は、誰かの悪意によって作られた嘘だった。
過去の誤解。すれ違い。
そして少しずつ見えてくる、本当の彼の姿。
気づけばブランシュは思ってしまう。
――この人は、優しすぎて損をしている。
面倒くさがりな伯爵子息と、無自覚な令嬢の、
すれ違いだらけの甘め異世界ラブコメディ
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
弟がいた時間(きせつ)
川本明青
恋愛
15年ぶりに会った”弟”は、今でもちゃんと、”弟”だった――。
土壇場で結婚がダメになった奈留。仕事も辞め、マンションの契約ももうすぐ切れるというとき、ひょんなことから”かつての弟”勇樹と偶然再会を果たす。2人は昔、親どうしの再婚、そして離婚によって、2年の間だけ姉弟だったのだ。別れたときまだ小学6年生だった勇樹は立派な青年に成長し、カメラマンになっていた。
久しぶりの再会に乾杯し、話も弾む。酔った勢いもあって、奈留は半ば強引に、勇樹が1人暮らしをしている一軒家に少しの間置いてくれるよう頼みこんだ。
次に住む所が決まるまでの短い間だけれど、また昔のように姉弟で楽しく過ごせるかもしれない―。気楽に考えていた奈留だったが、勇樹の周りには女性の影がチラついて……。
やさしくて、どこか天然で、時々ちょっと頼もしい。
そんな、奈留が知らない時間を過ごして大人になった勇樹が、抱えていたものとは―。
※「恋する弟」として掲載していた作品を改題したものです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる