リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 いざ、グラムナードへ!

話したくない

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 対策はすぐに取ることになった。
お客さんがたくさん来るのは嬉しくはあるそうなんだけど、世の中、商隊にやって来る人はお客さんばっかりじゃない。
あんまり目立って稼いだりしちゃうと、うようよと寄って来ちゃう悪い人が居るんだよ。
それはアレ。
『山賊』ってヤツ。
私達が十一歳になる直前に遭った人攫いなんかよりも、結構な頻度で現れる、旅人の敵。

「でも、これ着けてると落ち着かないのですぅ……。」

 対策としてアッシェに着けてもらう事になったのはバンダナ。
それで、おでこにある目を覆ってもらうだけと言う簡単な対策。
結び目は後ろじゃなくって、右のこめかみのあたりでちょっと可愛らしくしてみた。
これならオシャレの範疇になると思う。
対策を施した私としては満足な出来だけど、アッシェ本人はうざったそうにそれをめくろうとおでこに手を伸ばす。

「とっちゃ、ダメ。」
「そんなこといっても、ホントに邪魔なのですぅ……。」

 私が怒ると、アッシェは困ったように眉尻を下げる。
でも、とるのはダメ。
断固とした態度を崩さずにいると、深い深いため息と共に、その手が揃えられた膝の上へと落ちた。

「……ねぇ、アッシェ。」
「なーんーでーすーかぁーーーーーー?」

 その様子を面白そうに眺めていたポッシェが、ふと何かを思いついたみたいで問いかけると、アッシェは物凄くめんどくさそうにそっぽを向きながら言葉を返す。

「アッシェのソレってさ、何が見えてるの?」

 ポッシェは、そう言って自分の額をつつく。
そこは丁度、アッシェの三つ目の目がある場所。
こう言っちゃなんだけど、おでこの真ん中って目を配置するのには結構邪魔な場所だよね。
額飾りサークレットみたいなアクセサリーとか、鉢金みたいな防具の類をつけるのはちょっと無理な感じで。


――アッシェは美人さんだから、きっと額飾りとか付けたら似合いそう。


 彼女を飾り付けるのなら、どんな風にしたらいいかとこっそり脳内で妄想してみる。
ちゃんと魔道具師になることが出来たら、そういうアクセサリーなんかも作れるようになるのかな?
そうしたら、どんなものを作ろうか――なんて事も想像しちゃう。
なにせ、馬車に揺られてるだけだから、とっても暇。
景色を眺めるのにも飽きたし、ポッシェ達の声を聞きながら妄想するのは丁度いい暇つぶしになる。
お金がなかったから買う事はなかったけど、アクセサリーは好きでよく見ていたから、脳内の妄想に使うストックが沢山あるのもいい。

「……なんでです?」


――ああ、そういえばポッシェが何かをアッシェに聞いてたんだっけ。


 アッシェの不機嫌な声で、現実に引き戻された。
彼女がこんな声を出すなんて珍しい。
いつもなら、楽しそうに怒るとか言う器用な真似をするのに。

「隠すの、凄く嫌がってたから。
 なにか僕には見えない物が見えるのかと思って。」

 対するポッシェはいつも通りの、のほほんとした様子。
でも、口にした内容に私はパン粉が目から落ちる様な気分になった。


――考えた事もなかった。
  ポッシェってば、もしかして天才?


 そう思ったのは、一瞬だけアッシェが嫌そうな表情を浮かべたから。
ポッシェは、アッシェにとって触れてほしくない部分に触れちゃったみたい。
と言うか、図星?
だとしたら、一体どんなものが見えてるのかが気になる、凄く。

「……そんな訳ないじゃないですか。
 みんなと同じモノしか見えないのです。」

 顔に感情が出てしまったのを自覚してるのか、アッシェはなんだか悔し気にそう口にする。
一瞬、馬車の御者さんがいる方向に視線を向けて口を閉ざしたから、もう、何か聞かれても話すつもりはなさそう。

「それなら、目隠しは問題ないね。」

 ポッシェは、アッシェの無言の意思表明を肩をすくめて受け入れると、そのかわりとばかりにバンダナを外さない様に念押しまでしちゃう。
もう、天才だとしか思えない。
思わずムフンと鼻息を荒くしてしまった私に、アッシェはちょっぴり冷たい視線を向けた。
もしもこういった対策をとるのなら、フレトゥムールの町から出る時にこの対策をしておかなきゃいけなかったんだと私が知るのは、翌日の事。
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