リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 見習い期間 ~調薬工房~

半自動石臼 上

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 今日は、アッシェちゃんとテミスちゃんは迷宮に行く日だから、リエラはセリスさんと二人きり。
いつもだったらウキウキなんだけど、今日はちょっぴり意気消沈気味。
なんでかって?
アッシェちゃんが魔法薬を作れるようになったタイミングが、自分よりも早かった事にふと気がついて、ちょっぴり落ち込んでるだけ……。

「確かに、アッシェちゃんは二カ月たたずに魔導具を使わないで済むようになったけど、ラエルさんの指導の賜物って部分が大きいんじゃないかしら?」
「ラエルさん、かぁ……」

 確かに、言われてみればリエラの時には魔力の扱い方について教えてくれる人なんかいなかったっけ。
そういう方向から見れば……納得できないでもない、ような気もする。

「それに、こんな風にお喋りしながらでも普通に魔法薬を作れてるんだから、十分凄いわよ」
「うう……。更に精進します……!!」

 なんというか、すぐに追いついてきちゃいそうだよね。
リエラの一年間の存在意義ががが……。
そんな風に凹んみながらお仕事をしていたものだから、セリスさんはとうとう呆れ顔でため息を吐く。

「考えようによっては、今までやっていた基礎調合をアッシェちゃんに押し付けられるって事でもあるんだけど……。リエラちゃんには、もっと、他の調合も覚えてもらわないといけないし」
「他の調合、ですか?」
「そうよ。高速治療薬は基礎中の基礎だもの。もっと他に、難しい調合をしなきゃいけないモノもあるし……。リエラちゃんの場合は、魔法具についてももっと学ばないとダメよね?」
「確かに……」

 孤児院への仕送りを増やしたいからと言って、ついつい、高速治療薬にばっかり作ってたけど、言われてみれば魔法薬ってソレばっかりじゃないよね?
その事に思い至って顔を上げると、微笑を浮かべるセリスさんと目が合った。

「ふふ、良かったわ。リエラちゃんがその気みたいで」
「……って事は、新しい調合、教えてくれるんですか?」

 期待感に胸を膨らませながらそう問うと、彼女は微笑を浮かべたまま首を傾げる。
……あれ? 違うの??
リエラも、セリスさんと一緒になって首を傾げた。

「アスタール様から、手抜き魔法具の作り方を教わって、それが完成したら……かしら?」
「――手抜き魔法具……?」
「そ、手抜き魔法具」
「何を手抜きするんですか?」
「そうねぇ……例えば、赤薬草をする・・作業?」

 それは、地味に嬉しい。
アレって意外と時間のかかる作業だし、作業時間を短縮できる方法がないかと思ってたんだよ……!!


「あとは、リエラちゃんが苦手な軟膏を練る作業とか?」
「!!」

 それは、絶対欲しい!
そんなモノがあったら、一度に沢山の軟膏が作れるよね?!
自分の腕力の限界に挑戦しなくても、いいんだよね??
思わず身を乗り出すと、彼女は可笑しそうにクスクスと笑いだす。
いやいや、笑い事じゃなくって、必要なモノなのですよ……!

「必要でしょう?」
「是非とも欲しいです!!」

 だって、それがあったら、今まで夜なべして作ってたグレッグおじさんに納品する用の魔法薬を作るのが格段に楽になるんだよ?
その上、別の事を勉強する余裕も出来るよね?
絶対に最優先で作れるようになるべきだ!!

「じゃあ今日から、お仕事の日は毎日、1時間早く工房を出てアスタール様の執務室に通う事。……了解?」
「了解です……!」

 もうこうなると、リエラの頭の中は新しく教わる事への期待で一杯だ。
単純かもしれないけど、さっきまでの鬱々とした気持ちはどっかに吹っ飛んじゃったよ。

「リエラちゃんは、やっぱりこうでなくちゃね」

 鼻歌交じりに作業を進めるリエラの姿を眺めながら、セリスさんが呟いた。
『こう』がどんなかは分からないけど、この後、アスタールさんの執務室に行くのはとっても楽しみ。
やっぱり、新しい事を教われるって言うのはウキウキしちゃうよね。
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