リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 アッシェの願い

とりあえず、保留

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 アッシェの答えは、「少し考えさせてほしい」と言うもの。
まあ、そうだよね……。
即決するなら、最初から私達に相談なんかしないで、本人に聞きに行っていると思うもの。

「ん、了解」
「話すことにした場合は、同席くらいならしてあげるよ」

 ポッシェの、なんだか上から目線な言葉に、アッシェは苦笑いを浮かべつつも頷いた。

「それじゃあ、これ以上お邪魔するのも悪いので、帰る時間まで潮干狩りでもしているです」
「潮干狩り?」
「砂の中に隠れている海の貝を採るのですよ」
「川の貝は食べたことがあるけど、海のは初めてかも。それって、夕飯に出るかな?」

 ポッシェの目がキランと輝く。
育ち盛りなだけじゃなく、探索者って体を動かすからポッシェは良く食べるもの。
食べ物の話にはすごく敏感に反応する。
今も、作ってもらえそうな食事を妄想しながら頬を緩めている。
そんなポッシェも、やっぱり可愛い。
私も、ポッシェに美味しいご飯を作ってあげたいなぁ……。
なんとなく料理をする機会を逃していたけれど、今度、セリスさんにお願いして教えてもらうかな?
そんなことを考えながら、一人で浜に戻っていくアッシェを見送る。

「――アッシェはどうするかなぁ?」

 ポツンとそう呟いたポッシェは、ついさっきまで食べ物のことを考えて幸せに浸っていたとは思えないまじめな表情。
少し考えてから私が返せたのは、首を傾げる仕草だけ。
でも――多分、彼女はお師匠様に話してみる方を選ぶんじゃないかって、そんな気がした。



 二人きりに戻った私達は、改めてデートの続きを楽しむ。
途中でアッシェがどうしているかが気になって浜を探してみると、リエラちゃんと師兄の二人と一緒に砂を掘り返している。
バケツが横に置かれているところを見ると、宣言通り貝を集めているみたい。
アレはアレで楽しそう。
次の機会にでも、やってみよう。
きっと、ポッシェも喜ぶはず。

 久しぶりに二人で過ごす時間がとても幸せ。
そういえば、基礎学校に通い始めて以来かも。
こうやって二人きりで遊ぶのなんて……。
ポッシェと二人で暗くなるまで遊び歩いていたものだから、良く怒られた覚えがある。

「……大変」

 ふと気が付くと、浜辺には私達しかいなくなっていた。
まだ日は高いものの工房まではヤギ車に乗ってもそれなりの時間がかかる。
ポッシェも「ほんとだ」と、驚いた表情で同意すると大慌てで帰り支度を始めた。

「早く帰らないと、夕飯食べそこなっちゃうよ!」
「言えてる」

 セリスさんなら取っておいてくれるかもしれないけれど、ご飯はどうせならみんなで一緒に食べる方が美味しい。
持ち込んだものを纏めて工房に戻ったのは、夕日が沈みきるほんの少し前。
ご飯の時間には間に合ったけれど、入浴する時間はないから部屋にあるシャワーで我慢するしかないね。

「ちょっと、のんびりしすぎちゃったね」
「でも、楽しかった」

 ポッシェと笑い合いながら食堂に入ると、丁度、食事の支度が出来たところだったみたい。
テミスちゃんが綺麗にしたテーブルに、セリスさんとリエラちゃんがせっせと料理を運んでいるところ。
この工房は、なんのかんので十人を超える大所帯。
運ぶ量も多いから、二人じゃ大変。
私達は顔を見合わせると、セリスさんにお手伝いを申し出る。

「それじゃあ、これを運んでもらえるかしら?」

 お手伝いは喜んで受け入れらて、早速、配膳を頼まれた。
私はテーブルを綺麗にし終わったテミスちゃんと一緒に、カトラリーや取り皿を運ぶ役目で、ポッシェは大皿に乗った料理を運ぶ係。

「あれ、貝料理じゃないんだ……」

 残念なことに、今日の晩御飯のメニューには貝料理の姿はないみたい。
がっかりした声を出したポッシェに、セリスさんは苦笑を浮かべながら理由を話している。

「貝を美味しく食べる為には砂抜きをしないといけないの」
「すなぬき?」
「それをしないと、砂がたくさん貝の中に入っているのよ」

 へー、知らなかった。
って……そっか。
川で採った貝も泥臭さを抜くために色々するから、それと似たようなものなのかも。

「一晩で済むから、明日の夜になると思うわ」
「そっかぁ……。明日の晩御飯、楽しみだなぁ」

 セリスさんの説明に、ポッシェはそう答えるとニカッと笑う。

「ふふ、腕によりをかけて作るわね」

 口元に手を当てて上品にほほ笑む彼女に、ちょっぴりポッシェの鼻の下が伸びる。
私はその横を通り抜けざま、さりげなくポッシェのすねを蹴っ飛ばす。

「!?」

 声にならない悲鳴を上げて飛び跳ねるポッシェの視線がこっちを向いたけど、素知らぬ顔して首を傾げる。
痛みに潤んだ目で睨まれたけど、怖くなんてない。
おろおろしているセリスさんには申し訳ないんだけど、セリスさん他の女相手にデレデレしたポッシェが悪いんだから。
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