リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

文字の大きさ
230 / 263
二年目 山道視察

ラヴィーナさんの長話

しおりを挟む
 あたしのお父様は、優しくてなんでもできる人だった。
――少なくとも、幼い時のあたしはそう信じて疑ってなかったのよ。
あたしはお兄様たちと違って、輝影神殿の奥深くに隠して育てられるようなことはなくってね――

 え?
ああ、そうなの。
ラディ達だけじゃなく、あたしのお兄様二人も輝影神殿の奥に隠して育ててたみたいなの。
そのことを知ったのは嫁いだ後だったから、大人になってからも随分と長い間知らないでいたのよね……

 あたしは輝影神殿で育たなかったのかって?
むしろ、お兄様達は五歳で里子に出されていたから、輝影神殿で育ったのはあたしだけね。
属性判定で後継者になれないと分かったら、すぐに里親に預けたみたい。

 なんであたしだけ、お父様が手元で育てたのかって?
そうねぇ……
多分、あたしが女で最初から後継者になりえなかったからじゃないかしら。
だからと言う訳でもないだろうけど、結構のんびりとやりたいように育ててもらったわ。
お父様はお花畑に行っては花冠を作ってくれたし、お人形遊びにも付き合ってくれたの。
女の子と遊ぶのには慣れていたんじゃないかしら。
本人も、男の子とはどうやって遊んでやればいいか分からないって言っていたもの。
基本的には誰にでも優しい人だったけど、お兄様達のことは苦手だったみたい。
いつも、そっけない態度をとっていて不思議で仕方がなかった。
あれはもしかしたら、お兄様達を里子に出したことが後ろめたかったのかしら。
ラディの話を聞く限りだと、里親に貰われて正解だったんじゃないかとは思うけど……

 ああ、あたしには面倒見の良い父親だったのよ?
なのに、あの子達相手にはそうじゃなかったみたいで……
ご飯は基本的にあげていたみたいだけど、たまにそれもない時があったらしいわ。
ありていに言うなら育児放棄状態というのかしら?
それでいて、勉強のノルマはきつかったみたい。
王都に連れて行ってから、ラディにつけた世話係がすごく驚いていたわ。

 あたし?
特にノルマはなかったわねぇ……
あれができない、これができないなんてことも言われなかったし。
お兄様達のことを能無しだなんて言ってたけど、二人ともすごく有能なのよね。
お父様の基準が高すぎたんじゃないかって、今は思うんだけど、子供の頃はそれを信じてたわ。
……よく考えたら、自分の子供に能無しって言うなんて、ちょっと人格的には問題があったような……?

 そういえば、お父様はよく泣きながら寝ていたわね。
悲しい夢を見てたのか、そういう日には「りりん~!」って呼びながらぎゅうぎゅう抱き着いてくるの。
仕方がないから、お父様が落ち着くまで撫でてあげるのよ。

あらやだ。
リエラちゃん、急に咳き込んで……
遅めの夏風邪かしら?
明日からの移動、大丈夫?

 え?
ああ、お父様にはよく『りりん』って呼ばれていたの。
愛称にしては変だとは思っていたら、どうもお父様の想い人かなんかの名前だったみたい。
その人があたしに似てるのかと思って聞いたことがあったんだけど、見せてもらった似姿は全然似てなかったわねぇ……
ええ。
辛うじて似ているって言える場所は、黒髪だって部分くらい。

 ――それより、お父様がどんな人だったのかを聞かせて欲しい?
それはいいけど……
今日のところは早く寝て、体調と整えた方がいいんじゃないかしら。
また、明日の夜にでも話してあげるから、今日は寝ちゃいましょう。
はいはい、おやすみなさい。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつもりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。