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それぞれの罰 フランシス元公爵令嬢
しおりを挟むエドワード視点
「フランシス・イザリス元公爵令嬢、あなたの処罰が決定した。」
「ちょっと待って!今なんと?」
「あなたの処罰が決定したと言ったが?」
「違う!私の事をなんと呼んだの?」
「フランシス・イザリス元公爵令嬢」
「どういう事?元って何?」
「貴族籍を剥奪されたからだ。それにもう公爵ではない伯爵だがな。」
「は?何を言ってるの?お母様がそんな事許さないわ!」
「お前の母親は離婚され、もう公爵夫人ではないし、その母親は極悪人で今は牢の中だ。お前の父親は家督を長男に譲った。そしてお前は平民だ。」
「離婚?牢?平民?意味が分からない、何が起きてそうなるの?だってここに来るまでは何もなかったわ!」
「お前の母親は、数えきれない程罪を犯した。お前の父親を薬で殺そうとした殺人未遂、違法薬物の売買、使用人への虐待、禁止薬物の使用、所持、売却、男爵夫人誘拐の主犯、ファルコン騎士団一番隊リーダーの殺害未遂主犯、脅迫、そして、おまえの腹違いの姉クララへの虐待、これらの犯罪を起こしたお前の母親はもう二度と外には出られないし、お前にも会う事はない。」
「お母様が…お父様を殺そうとした?
薬物?殺害?虐待?」
「意外と聞いてたな。分かったか?お前にはもう頼りにしていた母親はいない。」
「いない?」
「ああ、もういないものと同じだな。」
「お父…様は?」
「今は薬物を抜くための治療をしている。
同じ屋敷にいたのに何も知らないんだな。
父親は死ぬ直前だった。」
「死ぬ直前?」
「もう身体はボロボロだった。もうあの屋敷には帰りたくないそうだ。お前の母親にも二度と会いたくないそうだ。
お前の母親は薬で公爵を繋ぎ止めていた。
結婚も無理矢理だ。
そして、お前も薬物を摂取している。」
「え?」
「頭痛薬を飲んだ事があるだろう?」
「お母様に貰って…。ナタリア様にも貰っていたわ…」
「その薬には麻薬が入っていた。」
「そんな…」
「その薬を飲むと気分が高揚しただろう?」
「ええ、とても気分が良くなったわ…」
「麻薬の影響だ。どれくらい飲んだ?」
「頭が痛い時には飲んでいたわ…でも、毎日なんか飲んでない!」
「まあ、もう口にする事もないから大丈夫だろうが、時折無性に薬が欲しくなるだろうな。」
「わ、私は、どうなるの?」
「お前はお前の罪がある。だから、俺はお前に下された処罰を言いに来た。」
「わたしの罪…」
「フランシス、あなたはファルコン騎士団一番隊リーダー、シシリー・フォードに媚薬を盛り、辱めようと画策した。それによって、名誉毀損、禁止薬物の使用、所持。
度重なる嫌がらせによる傷害、器物損壊。
違法薬物の使用、所持など複数の犯罪を重ねた罪は重い。
よって、平民フランシス、あなたは王都の南にある修道院送りとなる。
修道院のある南の地域は、とても暑く、毎年水不足に悩まされている。
そこで、各地に井戸を掘り、水の確保に努めよ。何処から水が出るかは分からないがな。」
もうフランシスは何も聞いていなかった。
自分の今の状況が全く頭に入らないようだった。
「今から出発になる。寝食の確保は修道院に着くまではこちらで準備する。着替えはニ日分の下着、作業着を二着用意する。
以上だ。」
何も言わないフランシスを置いて、俺はフランシスのいる牢を後にした。
物音一つ聞こえない牢を振り返ると、フランシスは、下を向いて立ち尽くしていた。
その姿を見ても何の感情も湧かず、俺は自分の執務室へ帰った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フランシス視点
ついさっきまで、いずれは帰れると思っていた。
お母様がなんとかしてくれると思っていた。
お母様は覚えられないほどの罪を犯していた。
私が生まれる前から罪を犯していた。
お父様を薬を使って無理矢理結婚させ、薬で繋ぎとめ、薬で殺そうとした…
お姉様の事も虐待していた。
そうだろう…お姉様の結婚式で初めて私には姉がいたと知ったのだ。
同じ屋敷にいたのに。
見た事はある。でも、お母様は遠い親戚の子を預かっていると言っていた。
見窄らしいドレスを着て、棒切れのように痩せていた、使用人にも相手にされない人。
だから私には関係のない人だと思っていた。
公爵家の長女だというのに。
お母様は執事や若い男の使用人をよく部屋に呼んでいた。
昼間も夜も。
それも薬を使っていたんだろう。
お父様には全く会わなくなった。
そんな事も気付かなかった。
何も不便はなかったから。
お兄様は気付けば屋敷には近寄らないようになっていた。
それも気にならなかった。
いなくても私には何も関係ないから。
お母様がいれば何でも出来たし、何でも手に入った。
入らなかったのはブライアン様だけ。
そんな生活も、もう終わった。
お母様は捕まり、お父様は家督をお兄様に譲り、お兄様は伯爵になり、私は平民になった。
どこで間違ったのか…そんなの私達が生まれた事以外にない。
私とお兄様はお父様が嫌々作った子供だ。
そんな子供、愛されるわけもない。
お母様は私を可愛がっていたが、愛していた訳ではないのだろう。
だから私のブライアン様への愛情表現は歪んでしまっているのだろう、愛されたことがないから。
お母様が歪んでいるから。
これから私は一生井戸を掘り続ける。
水が出るか分からなくても出るまで、何度も何度も。
例え水が出ても、次の町でまた井戸を掘る。
なんだかもうどうでもいい。
泣いても喚いても何も変わらないのだから。
ボォーっと立ち尽くしていると、牢を出され、小さな小部屋に入れられ、着替えをさせられた。
始めて履いたズボン。
意外と動きやすい。
始めて着た作業着。
小さなカバンに着替えと水筒、タオルと石鹸が入っていた。
着替え終わるとガタガタと揺れる馬車に乗せられ、一週間ほど経った夕方、修道院に着いた。
修道院には女性だけで、作業着を着ているのは私だけだった。
みんな私を何の目的でここに来たのか分からないという顔で見ていた。
自分の部屋に案内された。
机と椅子、ベッドと小さなクローゼットだけの部屋。
何の飾りもなく、窓からは何も植えていない畑が見えた。
夜になっても暑く、眠れない。
トロトロしているうちに朝になり、夜明けと同時に起こされ、パンとスープ、りんごが一切れの食事を済ませ、馬車に乗せられた。
今日はここが穴を掘る場所なのだろう。
たった一人で使ったことのないスコップで穴を掘り始めた。
全く力が入らず、土を削るだけ。
一日かかって、ほんの少ししか掘れなかった。
次の日もほとんど掘れなかった。
毎日やれば、慣れるものでなんとなく前の日よりは掘れるようになった。
一カ月も経てば、自分の足が隠れるくらいまで掘れた。
ある日、知らない男の人が、
「それ、掘った土をなんとかしないとダメなんじゃない?」
と教えてくれた。
なるほど、気付かなかった。
でも、どうしたら良いのか分からない。
しばらく悩んでいると、
「何か袋にいれるとか、どこかに運ぶんじゃないの?」
とまた教えてくれた。
「ありがとう…ございます…」
久しぶりに声を出したせいか、カスカスの声だ。
それから、たまにその人は、こうしたら?と助言してくれる。
親切なのか、何か企んでいるのか、私には分からないので、必要以上は喋らなかった。
ある日、穴がお腹くらいの深さになった時、
「君はどうして穴を掘ってるの?」
と聞いてきた。
「罰だから。」
そう言った時、少し悲しそうな顔をした。
「そろそろ穴から出られなくなるよ、一人では限界だよ。」
「でも誰もいないから。」
「手伝ってあげようか?」
私は何も答えなかった。
次の日、その人はたくさんの道具を持ってきていた。
何に使うのか私には分からないものばかりだ。
分かるのは梯子だけ。
梯子…なるほど、梯子があれば深く掘っても穴から出て来れるのか…。
納得していると、
「本当に何にも知らないんだね。」
「あなたには関係ない…」
「そうだね。」
そう言って、勝手に何かやり出した。
私は無視して穴を掘った。
掘った土を彼が持ってきていた袋に入れて、持ち上げようとしたが、持ち上げられなかった。少し減らして持てる重さにしてから、穴の外に出した。
勝手に使ってしまったが、彼は何も言わなかった。
気付けば二人で作業するようになった。
休憩している時に、
「あなたはどうして私を手伝うの?」と聞いた。
「俺は・・・アンタの母親に薬を売っていた店で働いていた。」
「え?」
「麻薬を混ぜられてる事も知らずに薬を買っていくあんたの母親に薬を売っていた。
でも、怖くなってその店は辞めて逃げた。」
「・・・そう。」
「怒らないのか?」
「怒らないわ。私はお母様がお父様に薬を使って無理矢理作らされた、生まれちゃいけない子だったんですもの。この世にいちゃいけない存在はそんな事もう関係ないもの。
どうだっていいわ。」
「・・・・」
「あなたが気にする必要はないわ。」
「噂で聞いた。イザリス公爵家のお嬢さんは平民になって、井戸を掘ってるって。」
「そう。」
「気になって探した」
「物好きね。」
「やっと見つけたら、たった一人で穴を掘っていた。」
「そうね、誰もいないもの。」
「生き埋めになりそうで、見てられなかった。」
「さすがにそれはないわ。」
「だから、少し手伝おうと思った。」
「助かったわ。」
「俺・・・・これからも手伝っていいか?」
「好きにしたら?」
こうして、二人で井戸を掘り続けた。
段々深くなる穴は、素人では限界がある。
すると、彼は知らない人を大勢連れて来た。
「この人達も手伝ってくれるって。声をかけたかったけど、なんて声をかけていいか分からなかったらしい。」
それからは、みんなで本格的に掘った。
ちゃんと掘削出来るよう土台を作った。
かなり深く掘った時、水が滲んできた。
その日は歓声を上げて喜んだ。
次の日、井戸掘りの現場に行くと、みんなはいなくて、その代わり、
会いたくない人がいた。
「久しぶりだな、フランシス。」
「・・・・お久しぶりです…ファルコン騎士団長。」
「随分雰囲気が変わったな。健康的だ。」
「ええ、まあ。」
「水が出たらしいな。」
「…はい。」
「お疲れ様だった。ここは終了だ。後は専門家が引き継ぐ。」
「そうですか…」
「フランシス、お前はこの一年、ただ穴を掘り続けた。今、何をしたい?」
「別に。」
「何もないか?」
「どうせ次の場所で穴を掘るだけだから。」
「もう掘らなくていいと言ったら?」
「やる事なんかないもの、逆に迷惑だわ。」
「じゃあ、このまま穴を掘り続けると?」
「そうね、嫌いじゃないから。」
「今はブライアンの事は思い出さないのか?」
「関係ないもの。」
「会えるとしたら?」
「しつこい。関係ない。」
「フランシス、提案だ。これからも井戸を掘り続けるのであれば、これからはそれをお前の仕事としろ。きちんと給料も出す。
そして、後一年今のように毎日掘り続けたら、お前は罪を償ったとして、晴れて自由の身になる。やれるか?」
「別に今と変わらないわ。同じ事をするだけだもの。でも、お願いがあるわ。私の給料はいらないから、他の人にはお金を出して。」
「分かった。それではこれが先月分の給料だ。他の者には今月分から渡そう。また来月来る。」
団長は私にお金を渡して帰って行った。
始めて自分で稼いだお金。
でも使い道がない。
何も欲しい物なんかないし。
貰ったお金をカバンに入れて、今日の仕事を始めた。
しばらくすると、いつものメンバーが来ていた。
「ねえ、あの人、王都の騎士団の人だよね?」
と彼が聞いてきた。
「そう、私を監視している人ね。」
「そっか…」
「来月からお給料が貰えるらしいわ」
「え?」
「あの人が言ってた。」
「そうか…良かったな!」
「別に欲しい物もないし。」
それからは別の場所に移動して、また穴を掘り始めた。
お給料を貰えるようになって、みんなの暮らしも良くなった。
毎月、団長は来るがお金を渡すだけで、何も話さない。
そうして、一年経った時、
「フランシス、今日でお前は罪人ではなくなった。これからは、何をしようと自由だ。
井戸掘りを続けるなら、今持ってる知識と金で企業を起こせ。そして、自分達で最後まで井戸を完成させてみろ。
ま、何をしようがもう俺には関係ないが。
今まで、良く頑張った。
次の給料はこの地の領主から貰えるようにしてある。
元気で。」
そう言って、最後のお給料を渡して、帰って行った。
彼が、
「どうした?大丈夫?」
と寄って来た。
「大丈夫。もう私は罪人じゃないって…。」
「そうなのか?良かった、良かったな!」
「うん…これで、ようやく聞ける。」
「何を?」
「あなたの名前。」
ずっと名前を聞きたかった。
でも、聞けなかった。
聞いてはいけないと思ったから。
また人を好きになったらおかしくなってしまいそうで、怖かった。
だから、決めた。
一年、頑張って穴を掘ろう。
そして、晴れて自由になれた時、名前を聞こうと。
「そういや、言ってなかったな。こんなに一緒にいたのに。
俺は、ハリスだ。」
「ハリス…良い名前だわ。」
「なんだよ、何で泣くかな~」
真っ黒に日焼けした彼が笑った。
ああ、好きな人に笑顔を向けられるようになるなんて、想像もしていなかった。
「私、生まれてきて良かったわ。」
やっとそう思えた。
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