帰らなければ良かった

jun

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閑話 ガースのぼやき

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*少し息抜きに閑話を数話挟みます。
一話一話がちょっと長くなってしまい、読むのも書くのも休憩ということで。
本編に関係はないので、読まなくても大丈夫です。




*************************





俺はファルコン騎士団二番隊リーダーのガース・ベンダーだ。

今、ファルコンはてんやわんやの大騒ぎだ。

一番隊リーダーのシシリーが王宮内で背中を刺されたとの一報が入り、シシリーの親友である私の部下、ミッシェル・リーガル二番隊副リーダーは、顔を青くし、親友を心配している。

早く行けと言って、ミッシェルを送ってから一人黙々仕事を進めていた。

全く帰ってこないんですけど、ミッシェル。

俺だって、シシリー見舞いたいのに、一回戻ってきてよ、ミッシェル!

まあ、シシリーの一大事だから仕方ないか…

副団長も心配してるだろうな…溺愛してるもんなぁ~、本人隠してるみたいだけど。

あの人は取っ付きにくいけど、意外と男にも人気がある。
団長といる時に見せる子供のような満面の笑顔に癒されている団員は多い。
おっちょこちょいだし。
あの顔で不器用だし。

食堂で団長と副団長と俺で昼食をとっていた時、副団長がナイフとフォークを逆に持って、チキンソテー食べようとしていた。
どうやって食べんの?と思って見ていたら、
結局フォークのみで器用に食べていた。不器用なのに。
ナイフの意味は?と思って、ジッと見ていたら、
「何?」
と言ってきたので、
「それ、ナイフの意味あるのかなと思って見てた」と俺が言った後、
手元を見た副団長は「あ…」と言った後、
ナイフとフォークを持ち替えた。

「「ブッ!」」

団長と俺で吹き出した。

「ガース、俺はあえて突っ込まなかったのに!」

「いやいや、副団長が聞いてきたから言っただけだし!」

「二人とも、早く言ってくださいよ!」

「不器用なのに器用だなぁって思ってさ~」

「そうそう、不器用なのに変な所は器用なんだなぁって。」

「不器用不器用って、俺は不器用じゃなくて苦手な事が多いだけです!」

「ハイハイ、早く食べな、ほらほら。」

この時は笑ったな~。


あ、そうそう、シャワー室でも笑ったなあ。

訓練後のシャワー室で副団長は一人ご立腹のご様子。

「副団長、なんで怒ってるんですか?」

「俺のタオルがない!ちゃんと持ってきたのに!さっきまであったのに!」


は?あなたの頭に巻いているのはタオルでは?

副団長は髪が長いので、タオルを頭に巻くんだよね。

「副団長、あ・た・ま。」

「え?」

頭に手をやる副団長。

「あ…」

「ブッ!」

「ウッ…笑うな!」

「笑ってませんよ、吹き出したんです。」

「思いっきり笑ってるだろうが!」


そう、あの女性人気No.1のブライアン・ハワードは天然なのだ。
だから団員はみな知っている、副団長は可愛らしいって事。

だからシシリーも心配だけど副団長の事も心配なのだ。

早く帰ってこーーい、ミッシェル!


しばらくしたら、医務室襲撃の一報が入った。

医務室襲撃⁉︎

待て待て、医務室にはシシリーもミッシェルも、多分副団長もいる!ちょっと二番隊、誰か報告に来なさいよ!

団長は?

と思ったら、団長が鬼の形相で女を連れてきた。

そこからはもう大変だったよね。


逮捕者続出。
イザリス公爵へ家宅捜査。
取調べ、調書、報告書、監視の交代管理、カールの病院の人員確保、治療院にいる公爵家の使用人の取調べの段取り、押収品リスト作成、などなどやる事は山盛り。

だって、団長も副団長もすぐ現場に行っちゃうし、尋問はやっちゃうし、ちっとも指揮をとってくれないんだよ、ハア~。

でも、それがファルコン騎士団なんだよね~。












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