帰らなければ良かった

jun

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番外編 新人達は楽しくて仕方ない〜結婚式の裏側

新人騎士ウォーレンは楽しくてたまらない

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ファルコン三番隊 ウォーレン視点


俺はファルコン騎士団三番隊のウォーレン・ナーバル、18歳、伯爵家の三男だ。

今年入団し、一年間三番隊で仕事を覚え、来年からは一番隊か二番隊に移動する。
三番隊は新人研修の為の部隊だ。

入団当初は、何もかもが初めての事だし、超有名人がゴロゴロいるし、緊張しっぱなしだったが、今ではその有名人の方々とも気兼ねなく話せるようになった。

それもこれも今やっている事に関係している。

今俺達がやっている事とは、ブライアン副団長とシシリー一番隊リーダーとの結婚式を騎士団主体で執り行う準備を極秘で進めているという事。だけど二人には秘密、という最高難易度のミッションをクリアする為に、通常業務をこなしつつ、結婚式の準備をやり遂げねばならない。

幹部の方々とも情報を共有しなければならない事もあるので、必然的に雲の上の存在の方々とも仲良くなった。

俺達新人は会場の設営と飴の袋詰めとラッピング。数少ない女性騎士達は飾りつけの為の小物作り、招待状作成やブーケの作成を団員の奥方達とやっている。
設営は当日の力仕事になるので今は飴のラッピングを新人全員がやっている。

なんで飴?とは思うが、偉い人達が決めたなら文句は言えない。

だが、ここで問題が発生した。

汗臭い男達が直に触るなと言われ手袋をして、ピンク?赤?色の可愛らしさ飴を袋にいれていくのだが、なにしろ人数が多いからか熱気が半端ない。
飴が溶け、上手くいかない。
皆のイライラが爆発しそうになった時、外で団長のデカい声が聞こえた。

この声の大きさは…副団長が近くにいる⁉︎

皆が、一斉に飴や袋、リボンを隠して、入り口近くにいる同僚がスーっと出て行き、団長に大丈夫だと伝えにいった。
副団長がドアを開けた瞬間、ザッと俺達は副団長の為に道を開けた。

花道を無意識に作ってしまった俺達は、気まずくなったが、バレるよりはいいと思い、姿勢を正し、副団長を迎えた。

「何?」

と怪訝な顔の副団長に、

近くにいた俺は「何でもありません!」と答えると、眉間に皺を寄せて、詰所の奥の資料室に入っていった。

姿が見えなくなった途端、一斉に、
「ハアーーーーーーー」

と息をはくと、

バタン!とドアを開け、副団長は俺達を見回した。

「お前ら…何を隠してる!」

「「「「何も隠していません!」」」」

「俺には言えないと?」

全員がヤバイと思った時、団長が息を切らして詰所に現れた。

「ハアハア、ブライアン、ハアハア、ラルスが呼んでいる…」

「そんなに急ぎですか⁉︎何でしょう、急ぎ向かいます!」

そう言うと副団長はサラサラの銀髪を靡かせながら走って行った。

途中、髪が顔に触れた同期の一人は鼻血を出していた。

団長は、

「戻ってきて良かった。ブライアンが訝しげにしていたから、お前達に圧をかけているのではと思ってな。よく頑張った、これからも頼む。」

と言うと詰所から帰って行った。

なんてカッコいいんだろう…。
全員が、キュンとなった。
最初は怖くて足がガクガクしそうだったが、団長は尊敬出来る上司で誰よりも部下を大切にし、叱り、褒めるを上手に使い分け、見事俺達は団長大好きっ子になった。
そして次期団長であろうブライアン副団長。
この人は老若男女、知らない人なんかいないだろうってくらい人気者だ。
本人はそれが嫌で嫌でたまらないらしい。
笑わないし、愛想もないし、親しい人は数人しかいない副団長だが、食堂を使っている奴は、ほぼ全員副団長の可愛らしさにハートを射抜かれる。
気付いてなかった奴は、誰かに教えられ、陥落していく。
よく言われる男同士の愛もありなんじゃないかってほど、道を外しそうになるほどの美形がケーキを食べて微笑む姿は惚れるなっていう方がおかしいと思える程の可愛らしさなのだ。
そして、そのお相手のシシリー一番隊リーダーは、これまた美形、そして、無自覚美人。
全く自分の魅力に気付いてないから、気さく気さく。
一度は惚れる。
その相棒のミッシェル二番隊副リーダーも色気満点美人。
そしてこの人も男だった?ってほどサバサバし過ぎて、ドキドキしちゃう。
次期一番隊リーダーのヤコブ先輩は、本当に優しくてみんな困った事があったらヤコブ先輩の所に走って行く。
みんなのお兄ちゃん的存在だ。

そんな人達とこの極秘任務中は、ドキドキする暇がないくらい話すし、たまに勢いでタメ口になる時もあり、毎日楽しくて仕方ない。

それにほとんど関わらないイーグルの団長や副団長、リーダー達とも顔見知りになれて本当に楽しい。

でも、どうしてもストレスが溜まるのが例の飴だ。

溶けると作業が捗らない。

なので、食堂から大量の氷を貰ってきて、各班ごとにタライに氷を入れ、大量の飴が濡れないように飴の容器ごと氷に入れ、袋に入れるようにしたら、効率が上がった。

時折副団長、シシリー姐さんの襲撃があるが、あまりの寒さにすぐ帰るようになったので万々歳だ。

結局俺達だけでは間に合わず、幹部の方達にも手伝ってもらってギリギリ間に合った。



結婚式は大成功で、お二人にも喜んでもらえて、こんな楽しい思い出にもなった結婚式に参加出来て俺達は本当にラッキーだった。















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