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父と母
しおりを挟むリリー視点
夜中に目が覚めた。
見慣れた天井に、自室だと分かった。
ロイに抱きしめられて、そのまま眠ってしまったようだ。
ロイが送ってくれたのかな?
ロイは、私が講堂で噛まれた時も、トイレの前で襲われそうになった時も、顔を青くして心配してくれた。
つい最近まで虫を怖がる可愛い、私が守るべき男の子だったのに、ここ数日でロイは私の中で、私を守ってくれる、頼れる大好きな婚約者に変わった。
ロイの顔を見ると安心出来て、ホッとする。
いつでも手を繋ぎ、私をどこでも連れて行ってくれる。
ん?
手…なんかベトベトしてる?
あれ?
なんか顔もベトベトしてるような…。
寝汗かな?
今日、いろいろ合ったしね!
シャワー浴びて、もう一眠りしようかな。
翌日は、ゆっくり眠れたので、疲れが取れてスッキリしている。
今日からしばらく学院はお休みだ。
もう日が高いのでお昼に近いのかも。
一人で着れるシンプルなワンピースに着替えていると、ドアをノックされる。
返事をして部屋に入ってきたのは、お父様とお母様だった。
「リリー、おはよう。良く眠れた?
少し話しをしたいんだけど、大丈夫?
首は痛まない?」とお父様。
「リリー!」
とお母様が近づいて私を抱きしめた。
「学院での事を聞いて、とても心配したのよ。可哀想に、こんなに、跡が付く程噛まれるなんて…。」と涙ぐむ。
あ!昨日シャワーを浴びる時に包帯をはずしてそのままだった…。
「もう左程痛くはないから大丈夫よ、お母様。」
「消毒はしたの?ダメよ、女の子なんだからキチンと治療しないと跡が残ってしまうわ!」
と薬箱を侍女に持って来させ、お母様が消毒をして包帯を巻いてくれた。
「リリー、その首の傷の事なんだけど、話しをしてもいいかい?気分が悪くなったら、直ぐ言うんだよ。」
と心配性のお父様は、消毒が終わった私をソファに座らせた。
お母様は私の隣りで、お父様は向かいのソファに座る。
「大丈夫よ、お父様。噛まれた時は突然だったからあまり覚えてないの。
それより、帰り際の方が怖かったかな。」
「待って!噛まれた話は聞いたよ、帰り際の話しは聞いていない!
噛んだのは、クォーツ伯爵家の令嬢で間違いないんだね?」
「はい」
「帰り際には何があったの?」
お父様に帰り際のトイレ前での出来事を説明する。
すると、隣りでバキッと音がした。
見ると、お母様の扇が折れていた…。
「お母様⁈大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。あまりにもうちの娘に対しての舐めた態度と、無礼極まりない行為を聞いて、力が入ってしまったわ。
なんていうお名前の方だったかしら?イラネー?キタネー?クダラネー?」
「マリア、違うよ、イランネだよ!」
「お父様、お母様、イレーネです、イレーネ!」
「あら、そうだった?てっきりシンデシマエだと思ったわ!」
シンデシマエって…。
お父様とお母様は、イレーネさんの名前を言えない呪いを掛けられたのか、
お父様は「イランネ」
お母様は「イラネー」
と呼び続けた…。
*******************
リリーナのお父さんの名前は
「アラン・ワソニック」
お母さんの名前は
「マリア・ワソニック」
です。
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