番なんていません、本当です!

jun

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「お前、20歳までに結婚しないとウサギになるぞ。」


そう言われた私は、
「は?」

「メアリー、大変だ!今すぐマスリートのショウヤに連絡してランバートとお見合いをせねば!」

「ブロス、落ち着いて!ランバートには婚約者がいるわ!先ずはショウヤ様に男性を紹介してもらいましょう!」

「サーシャ、後5年のうちに子供を産まねばウサギになってしまうのだぞ、メアリーは!」

「そんなの分かってるわよ!でも、誰でもいい訳ではないわ!」

「父上、母上、先ずはメアリーをマスリートの学校に留学させましょう。誰か見初めてくれるかもしれません。」

「さすが、ジョージ!こんなに可愛いメアリーがモテない訳がないからな!
よし、すぐにショウヤに連絡しよう!」

「そうね、メアリーは可愛らしいから男の子が放っておかないわね!」


そうして、送り込まれたマスリート王国の王太子執務室で、
幼馴染みのナタリーと、ナタリーのお兄様のランバート様、通称ラン兄様とその婚約者のレーネ様の4人で会議をしています。

「メアリー、ダメだわ…全く信じてくれないのよ、男性陣…。どうして大人は理解してるのに10代男子は信じないのかしら?」

「俺はまだ19だが、メアリー達獣人に番なんていないって分かるぞ!」

「そうなの…ちゃんと理解してる人はいるのよ。でもそんな人にはランみたいに婚約者がいるのよね~不思議ね。」

「今まで別に気にしてなかったから知らなかったけど、その本って私、読んだ事ないんだけど、そんなに面白いの?」

「ヤダ、メアリー読んだ事ないの?」

「無いよ~だってそういう本の中のウサギって大概ブルブル震えて襲われるか、奴隷にされてるでしょ?」

「いつもどんな本読んでるのよ!読めば面白いわよ、ちなみにヒロインはウサギよ!」

「えー余計に嫌だ。どうせ俺様オオカミがか弱いいじめられっ子のウサギの女の子を助けて、“隠してたけど俺、実はこの国の王子なんだ”とか言っちゃう系でしょ?
ハッ⁉︎私も身分を隠して学校通えば良かったのかな?」

「身分隠しても獣人だってバレたら意味ないよ、メアリー。」

「そうだった…。」

「メアリーちゃんの耳が垂れた…可愛い!」

「レーネ様…褒めてくれるのは何故女性ばかりなのでしょうか…男性はやっぱり猫耳が良いのかな…。」

「いや、俺はメアリーのウサ耳好きだぞ、絶対ウサ耳好きな男はいる!」

「問題は“番”よね~」

「そういえば、さっき婚約者がいる男はちゃんと理解してるって言ったよね、レー姉様。」

「言ったわよ、私もメアリーちゃんの為にみんなに伝えたのよ、分かってくれた人はメアリーちゃんに紹介しようと思ったのに、みんなお相手がいたんですもの…。」

「ひょっとして結婚相手がいない人には理解出来ない呪いみたいなものがかかってるんじゃない?」

「何の為にそんな呪いかけるのよ!聞いたことないよ!」

「だっておかしいじゃない、何十年も若い子だけ番を信じてるなんて!」

「だったらその番を使わせて貰おうじゃないか!」

「ラン兄様…何を言ってるのか分かりません。」

「ちゃんと聞け!メアリーが気に入った男に“あなたが私の番よ!”って言ったら信じるんじゃないか?」

「それいいかも!メアリー、お気に入り誰かいないの?」

「いる訳ないでしょ!誰も寄って来ないんだから!それにバレた時どうするの!」

「そん時はそん時だ。」

「そんな騙してまで結婚したくないよ~!
もう私はウサギになって、一人寂しく死んでいくよ…ウサギは寂しいと死んじゃうって言うし…。」

「ダメよメアリー!私が飼ってあげるわ!
そして私の子供達と楽しく遊ぶのよ!」

「だったら私とランの所でも良いわ!お風呂は私が入れてあげるから!」

「良いなあ~俺もウサギとお風呂入りたい。」

「ランーーー何言ってるの?メアリーちゃん女の子よ!」

「いやいやウサギなら大丈夫でしょ?」

「ラン兄様…私喋りますけどいいですか?ウサギになっても自我はありますから!」

「そうだった…。」

「じゃあどうする?学校の生徒全員に事情話そうか?」

「ダメだよ、変な男が寄ってくるから!」

「みんな、ありがとう。男子だけじゃなくみんなともっと仲良くなれるように頑張るよ!」

「メアリー、私も協力するよ!」

「もちろん俺達も協力するからな。」

「そうよ、メアリーちゃん、いつでも相談にのるからね!」

「ありがとう…グス…頑張るよ…今日は帰るね…」

「メアリー、何処に帰るのよ!貴方の帰るところはここ!
プルーム家専用の離れがあるでしょ?」

「そうだった…でもラン兄様も執務あるだろうから戻るね、ありがとう。」


結局何も決まらないまま会議は終了した。














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