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しおりを挟む「「姫様、喋れるようになったのか?」」
「タッキ…アツク、ナッタラ…チュコシ…」
「え、ウサギの声帯で話せるの?
いや、人間に近付いてるのかも…。
それでも会話が出来るなら良かった!」
「ウン、ヨカッタ。」
「ちょっとちょっと、俺もいるんだけど。
ジャン、今どう言う状況?
メアリーが倒れたって聞いて駆けつけたんだけど違うの?」
「あ、すみません、説明します。」
ジャンがラン兄様とグレンに私が急に意識を無くした事、リーダーから聞いた話、目が覚めた私が言葉を話した事を説明した。
「とにかくメアリーがなんともなくて良かった。
後は彼から聞いた話の裏どりを隣町に行って確認せねばな。
君達の拠点はどこ?行って抵抗されたら怪我人、または死人が出るけどいいの?」
私はリーダーの所へ行って、
「リーダー、チヌノ、ダメ」
「姫様、俺は姫様に心配してもらえるような人間じゃない。
俺の仲間もろくな奴らじゃないが、部下は無駄に死なせたくはない。
もし俺が仲間を説得して投降した奴らだけでも助けてもらえたら有り難い。
俺の言う事をきかない奴は好きにしてくれていい。」
「お前が裏切るかもしれない。すでに嘘の情報を俺達に教え、罠を張っているかもしれない。」
とグレン。
「どう思おうがそっちの勝手だ。
捕まった時点で俺に罠を張る暇なんかなかったし、部下を守る手立てもない。
助けてもらえるならと提案しただけだ。」
「俺は…コイツの話に嘘はないと思います。姫様を助けたコイツの…ジェフの話しを信じます。」
とジャンが言った。
私は話しの途中で目が覚めたので、その前に何を話したのかは分からない。
でも、ジャンはリーダーの話しを聞いて、信じるに足る何かを感じたのだろう。
「ジャン、アンガト」
「姫様がお礼を言う必要はないと思うけど…。」
と何故か不貞腐れながら言った。
「なんだろう…この疎外感。グレン、俺達は邪魔者なのか?」
「うーーん、ウサちゃんを挟んで会話をしているせいか、緊張感がないですね、王族誘拐という重大事件の割に。」
「まあ巷で有名な銀狼のリーダーの捕縛に成功した割には和やかだな。
さて、どうしたものか…。
黒幕が令嬢だったとはな、浅はかというか短絡的というか。
とにかく父上に報告してからだな。」
「ランニイタマ、ゴメンナタイ…」
「ウッ、メアリー、可愛いからあんまり喋らないで。でも、これからどうする?離れに戻る?クロエやケイトが心配してるよ。」
「ケイト!」
「ケイトは怪我もなかったよ、安心して。
でも泣いて大変だった。
顔・・・姿?見せてあげた方がいいよ。」
「ワカタ」
「フフ、じゃあね、メアリー。
ジャンはメアリーを離れに連れて行ってあげて。グレンはここでジェフの監視をお願い出来る?交代要員は送るから。」
「「はい」」
ラン兄様が医務室から出て行くと、ジャンが私を抱き上げた。
「姫様!助けてくれてありがとな。」
とリーダーがお礼を言った。
「リーダー、ワタチモ、アンガト」
そう私が言うと、リーダーは嬉しそうに笑った。
「さあ、姫様、早く行きますよ!」
とジャンが急いで医務室を出た。
「ジャン、オコテル?」
「怒ってませんよ!」
「オコテル。」
「怒ってないです!」
「オコテル!」
「しつこい!怒ってない!」
大きい声を出されてビクッとしてしまった。
するとジャンは、
「すみません、大きな声を出してしまいました。大丈夫ですか?」
「ダイジョブ」
「すみません…姫様がいなくなって、崖から落ちた後すぐ俺も飛び込んだのに見つけられなくて…見つけたのはドレスの切れ端だけで、もう姫様に会えないのかと思いました…。」
「ジャン…」
「でも諦めきれなくて早く早くと気ばかり焦ってしまって頭が一つも働きませんでした。ウサギにまで話しかけるなんて重症だと思ってたら、そのウサギは姫様で、挙句に誘拐犯を助けようとしてるし、仲良さそうだし…」
「ジャン、ワタチ…」
「だから、姫様が見つかって嬉しいのと、自分の不甲斐なさで情けないのと、あの男を庇う姫様に腹が立ってたんです。
すみません…。」
「チンパイ、カケテ、ゴメン。ゴメンネ、ジャン。」
「でもこんなに可愛い姫様が見れて嬉しいですよ。」
「ヤダ、ハズカチイ」
「アハハ、可愛いですよ、姫様。」
「ヤメテ、イテルノニ!ジャンノ、バカ!」
「はいはい、可愛いからやめてあげます。」
ジャンは急にご機嫌になり、
「じゃあ急ぎますね。」
と言った後、離れまで猛スピードで走って、私はあまりのスピードに吐きそうになって、離れに着いた時、
「チヌオモタ!コロチュキカ!」
と怒ったら、爆笑していた。
私の部屋から笑い声を聞いたクロエ達が飛び出してきた。
「ジャン様、姫様は見つかったのですか!」
とクロエがジャンの側に来て、腕の中の私を見た。
「そのウサギは?」
「えーーーーと、姫様です」
「ジャン様!この緊急事態によくそんな巫山戯た事が言えますね!」
「いやいや、このウサギは「クロエ!」」
「へ?」
「クロエ、ワタチヨ。」
クロエは私を凝視した後、
「今、そのウサギが喋ったのですか?それともジャン様のおふざけですか?」
「クロエ、ワタチ、メアリーヨ」
「メアリー・・・姫様?姫様、姫様なのですか?本当にそのウサギは姫様なのですか?
なんて事…なんて…お可愛らしい!」
「クロエ、とにかく中に入ろう。ここでは何かと不味いから。」
「プルーム王国の者だけならまだ良いが、まだ姫様がウサギになったとは公にしない方が良いと思う。」
「そ、そうですね、失礼致しました。さあ、中へ。」
やっと帰って来れた。
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