番なんていません、本当です!

jun

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「姫様?」

ケイトは今の今まで泣いていたらしく、目は真っ赤、瞼は腫れて人相が変わっていた。

「ケイト、チンパイ、カケテ、ゴメンネ」

「姫様ーーーーー!」
とウサギの私を力いっぱい抱きしめた。

「ゲイド、グルヂイ…」

「は!すみません、姫様!でも良かったですぅ…私がいながら姫様を危険にさらしてしまいました…。
姫様に何かあったらと思ったら私…私…」
と言ってまた泣き出した。

「ケイト、ダイジョブヨ、チンパイ、チナイデ」

「姫様…そんなお姿になってしまわれて…」
と言い、また泣き出したので、もう放っておいた。

「それにしても姫様、どうしてそのお姿になったのですか?まだウサギになるのは早いかと。」

「ワカラナイノ。カワニ、オチテ、キヲ、ウチナッテ、オキタラ、コレダッタ」

「そうなのですか…。至急プルームの陛下に連絡致します。何か分かるかも知れませんから。」

「ヨロチク」

「・・・・・姫様、少しお抱きしてもよろしいですか?」

「イイヨ」

「クゥーーーーーー、なんて愛らしいのでしょう!ピンクのお目目もモコモコなお腹も抗い難しお姿です!」

興奮したクロエはしばらくお腹に顔を埋めた後、満足してから仕事に戻った。

ケイトは泣き過ぎて熱を出し、寝込んだ。

「なんか凄い騒ぎだったな」
と疲れた顔のジャンは、

「じゃあ、姫様、俺は行くから。ゆっくり休んでよ。」

と言って部屋を出て行こうとするので、

「ジャン!」
と呼び止めた。

「ジャン、イッパイ、タガチテ、クレテ、アンガト。タツケニ、キテクレテ、ウレチカッタ」

と伝えると、

「じゃあね!」
と満面の笑みで帰って行った。



ジャンがずっと私を探してくれていた事、
私だと知らずにウサギの私に話してくれた言葉、
早く探さないと言うジャンの顔、
それらを思い出して、ベッドの上をゴロゴロ転がった。

一人悶えている所へナタリーが来てくれた。


「メアリー、今大丈夫?」

「ウン、ダイジョブ」

「クゥーーーー、メアリー、抱っこしてもいい?抱っこしながら話し聞かせて?」

その後、ジェスチャーや単語を駆使し、時間をかけて話した。

「なるほど~。あの家族はそういう流れでここにいるのね。」

あ!忘れてた!

「ワチュレテタ!リアムタチ、ドコ?イカナイト!」

「一応、この離れにいるけど、怯えててね…話しを聞けないでいるのよ。今から行く?
メアリーのこの姿を見てしまったら、あの家族をしばらくと言うか、ずっとここに居てもらわないといけなくなるけど、いいの?」

「ワタチハ、イイ。リアムニ、キイテカラ」

「分かった。私が聞いてみるわ。それまでは喋っちゃダメよ!」

「ワカッタ」



リアム達は私の部屋から一番遠い部屋にいた。
お母さんは寝ていたが、兄弟達は起きていた。


「ごめんなさいね、少し話しを聞いて欲しいのだけれど、いいかしら?」

リアムが兄弟を守るように前に立ち、頷いた。

そして、ナタリーが私が見つかった事。
怪我もなく無事な事。
そして、少し姿が変わってしまっていて、その姿を見てしまったら、この離れにいなくてはならない事を説明した。


リアムが、
「俺だけが会います。ちゃんと王女様が無事かこの目で見たいから。」
と言った。
するとアダムが、
「俺も会いたい。ちゃんとお礼がしたい!」

そうなると小さい子達も、
「お姉ちゃんに会いたい!」
となった。

「あのね、あのお姉ちゃんに会ったらお家帰れないよ、いいの?」

「お姉ちゃんといるから良いの!」

「やめろ、アン!先ずはお兄ちゃんが先に会うからその後にしろ。分かったな!アダムもだ!」

「・・・分かった…」


そして、お母さんのいる寝室へ兄弟達は入って行ったのを確認してから、

「リアム」
と呼んだ。

キョトンとした後、キョロキョロする。

「リアム、ココ。ワタチヨ」

ようやくウサギの私を見たので、

「リアム」
と呼んでみた。


「・・・・・エエーーーーーーーー⁉︎」
と叫んだ。

「嘘でしょ、王女様なの?」

「トウダヨ」

「なんでウサギになっちゃったの?魔法?あの男、魔法使いだったの?」

「チガウヨ、カワニ、オチテ、メガ、タメタラ、ウタギ、ダタ」

「そういえば喋れるんだ。あんま何言ってるか分かんないけど。
なんで喋れるの?ウサギなのにどうして?でも王女様はウサギの獣人だったもんな。だったら仕方ない…の?」

「チツモン、イッパイ…。」

「ごめんごめん、で、なんでこの姿見たら俺達、帰れないの?」

「それはね、今は獣人と言っても、もう人間と変わらないの。
少しだけ見た目が違うだけなんだけど、王族の獣人は稀に先祖返りで獣人の血が濃く出てしまう時があるらしいの。
その獣人は二十歳になるまでに、ある事をしないと本物のウサギになるって事は分かってるんだけど、この段階でウサギになるなんて聞いた事がないの。
だから秘密事項って事なんだけど、分かる?」

「分かる。だから見た以上、死ぬまで秘密にするから隔離させるって事なんだな。」

「そうなの。だから家族全員見てしまったらここからは出られない。
どうする?」

「だって俺達を保護してくれるって話しだったんだ、別に見ても問題ないよ。
ここなら母さんの病気も良くなると思うし。」

「メアリーは良いの?」

「ワタチ、ヤクトク、チタカラ。」

「ヤクトク?…あ、約束か!
リアムには誘拐の事で話しも聞かなくちゃ行けないし、小さい子も病気のお母様もいるから、メアリーが良いなら問題ないと思うわ。」

「じゃあアダム達を呼んでいい?」

「良いわ、でもメアリーを乱暴に扱わないでね、これでも王女だから!」

「分かった。」

隣りの部屋へアダム達を呼びに行った


そこからは子供達にもみくちゃにされそうな所をリアムとクロエとナタリーが必死に止めた。

ナタリーがもう一度分かりやすく説明してくれた。

「お姉ちゃん、王女様だったんだね!」
「ウサギのお姉ちゃんはウサギに変身出来るんだね!」

と良く分かっていないアンとダンは置いといて、
アダムは目をまん丸にして驚いていた。
でも、動物が好きなアダムはとても優しく撫でながら、
「王女様、俺達を助けてくれてありがとう。生きててくれてありがとう。」
と言って泣いてしまった。


そうして離れに新しい住人が増えた。













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