番なんていません、本当です!

jun

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ようやく部屋から出られるようになった私は、リーダーの所へ行った。

「リーダー、久しぶり!」

「よお、姫様、久しぶりって、戻ったのか?」

「大変だったんだよ、リーダー!」

リーダーに今までの私の変体の過程を事細かにジェスチャーを交え説明すると、
リーダーはずっと爆笑していた。

「そんなに笑わなくても…」

「ごめんごめん、見たかったなと思っただけ。」

「だから見せられないから部屋に篭ってたの!」

「いやぁ、でも良かったな、戻れて。俺のせいでウサギになっただろ?心配してたんだ。」

「まあ、お陰で将来の自分の姿が分かって良かったと思う事にした。
お兄様は変なスイッチ入っちゃったし。」

「お兄様?王太子が来たのか?スイッチ?」

「あーーー、その、私のね、婚約者を決めなきゃならなくてね、そもそもこっちに来たのも、婚約者探しだから。」

「そうなのか?姫様、婚約者いないの?」

「いませんけど!何か文句あります?それもこれも“番”なんて迷信信じてる人達がいるからなんですけどね!」

「あ~知ってる。運命の相手ってやつね。」

「そうそう、それ。第一みんな運命の相手と結婚してるんじゃないの?なんで私だけ特別だと思ってるのか意味分からん!」

「まあ小説とかの影響だろうな、ま、焦らずじっくり探せよ。」

「いやいや、そんな時間ないから!私、二十歳までに妊娠しないとウサギになっちゃうから!」

「へ?」

「あー、ま、そういうこと。」

「どういう事?」

リーダーに説明すると、真剣な顔をして、

「じゃあ、俺と婚約しよう。」

「は?」

「だから、俺と婚約すれば問題ないだろ?
責任とるよ、姫様を崖から落とした責任。」

「いやいや、無理でしょ?」

「なんで?俺、ジャンのとこに養子に入るぞ。」

「あ、そうだった!公爵令息か!」

「そうそう!急いでるんだろ?じゃあ「ちょっと待ったーーーーーーーー!」」


その時、ジャンが飛び込んできた。

「ビックリした…。どうしたの、ジャン。」

「いやいや、ビックリしたの、こっちだから!あのままなら姫様、ジェフと婚約しそうな勢いだったから!」

「いくら私でも、“やったー”とはならんよ、馬鹿だと思ってるね、キミは!」

「いや、そういうわけでは…。」

「ジャン、俺は姫様を助けたい。まだ、公爵家の人間ではないけど、もしなったなら姫様と婚約したい。」

「お前ね、姫様は一応姫様なの!隣国の王女様なの!これでも王族なの!
それを、捨て犬貰う感じで決めちゃいけないの!」

「ジャン、ジャン、ちょっと酷くない?
一応ってなに?捨て犬ってひょっとして私?」

「そんな軽いつもりで言ったわけではないんだけど、俺は姫様と子供作ってもいいし。」

「「ハァ~⁉︎」」

「こど、こど、子供、つく、つく、「姫様、落ち着いて!ジェフ!なんでそういう事言うかな!姫様、まだ十六なんだから!」」

「姫様ってまだ十六なの?そっか、後二年は待たないといけないのか…残念。」

「ジェフ!」

「こど、こど、子供は、大事よね!」

「姫様!落ち着いて!まだ早いから!まだ時間あるから!」

「じゃあ、ジャンが婚約すればいいだろ?」

「「は?」」

「お、お、俺は、そんな、きゅ、急に「ダメよ、ジャンは。私、速攻振られちゃったから。」」

「「え?」」

「え?」

「俺って姫様振ったことあった?」

「一番最初に速攻振ったでしょう、無理って。」

「あ…」

「じゃあ、やっぱ俺だ。」

「リーダーの事は置いといて、とにかくお兄様が急にやる気になってるから、お見合いさせられるかな…面倒だな…」

「お見合い⁉︎」

「うん、なんかいつ変身するか分からないからって。」

「二十歳じゃなかったの?」

「今回の事で早まる可能性もあるかもって。」

「私も相手がいたら安心出来るしね。」

「そう…ですか…」

「俺、候補に入れてね。」

「一応、言っとく。ジェフの事情話して大丈夫なの?」

「俺は良いけど、国としてはどうなんだろ?」

「ランバートに…聞いてみる。」

「ジャン、どうしたの?具合悪くなっちゃったの?」

「いや、大丈夫、です。」

「どうしたの?さっきまでの勢いはどうした?」


「俺、ランバート様の所へ行ってきます。」

そう言うとジャンは行ってしまった。

「アイツも素直じゃないな。」

「え?何、リーダー?」

「いや、なんでもないよ。」




このリーダーの仰天発言に、これからてんやわんやの大騒ぎになるなんてこの時の私は思ってなかった。












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