番なんていません、本当です!

jun

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リーダーに会った後、子供達の所へ行った。

しばらく会えなかったので、お菓子を持って行くと、

「お姉ちゃん!」

と大喜びしてくれた。

リアムとアダムは、

「姫様、なんか体調悪かったって聞いたから心配してた。もう大丈夫なの…ですか?」

「フフ、お勉強すすんでるのね、偉いわ、リアム。」

「まだ慣れないけど、字は少し書けるようになった…です。」

「そうなのね、アダムは?」

「僕も少し本を読めるようになりました。」

「まあ、凄いじゃない!アダムも偉いわ。
お母さんの様子はどう?」

「母さんは食事もしっかり取れるようになったからどんどん元気になった…です。」

「そう、良かったわ。今は休んでるの?
ご挨拶してもいい?」

「はい、大丈夫です。」

リアムの言葉遣いはまだまだだけど、アダムは言葉遣いがよくなった。
頑張っているのだろう。

お母さんのお部屋に入ると、ベッドではなくソファに座り、裁縫をしていた。

「体調は大丈夫ですか?」
と聞くと、

「メアリー様、わざわざお越し下さって申し訳ございません。身体はメアリー様や皆様のおかげで、随分楽になりました。
こうして裁縫が出来るようにまでなりました。子供達にも良くして頂いて、このご恩は一生かけてお返し致します。」

と私に頭を下げた。

「いいえ、リアムとアダムがいなかったら、私は殺されていたかもしれません。
私の方が助けられたのです。
ですから、頭を上げてください、お母さん。」

「とんでもございません。このような育ちのものに勿体ないお言葉です。」

「お母さん、というかお母さんとお呼びするのも変ですから、お名前をお聞きしてもいいですか?」

「私はエミリーと申します。」

「じゃあエミリーさんとお呼びしますね。」

「いえ、そんな、エミリーとお呼び下さい。」

「じゃあ、エミリー、少しこれからの話しをしましょう。
リアムとアダムが今勉強しているのは知っているわね。」

「はい。」

「ここで文字の読み書きをしっかり覚えてもらいましょう。
アンとダンはとにかく健康に何でも食べてよく眠る、エミリーもよ、先ずは身体をしっかり回復させなくちゃ。
だからリアとアダムには勉強、そして言葉遣いとマナーも出来たら良いけど、それはおいおいって事で。
それでも、きっとあなた達は気を使ってしまうでしょう?
だから、エミリーが元気になったら何か仕事をしてもらおうかなと思っているんだけど、エミリーは何が得意?」

「私は裁縫くらいしか…」

「あら、お裁縫!刺繍とかは?」

「少しは…子供達の服は私が作っております。」

「本当に⁉︎凄いわ、お針子さんになれるわ!そうね…何か今まで作ったもの、何でも良いわ、何かある?」

「ハンカチに刺繍をした物があります。」

「見せてもらえるかな?」

「はい。これです。」

ポケットから出したハンカチを見せてくれた。

「え?これ?凄い、売り物みたい!」

それは緑の糸で蔦で縁取るように刺繍され、所々に小さな赤い実も刺繍された凝ったデザインの物だった。

「エミリー、とっても素敵!私のハンカチにも刺繍して欲しい!」

「そんな、私のような者がメアリー様のハンカチになど…」

「ううん、お世辞なしで言ってるの。本当に素敵なの。だから、体調が良い時は刺繍してくれる?
もっと体調が良くなったら、今度はクッションカバーやドレスも良いわね!」

「ハンカチくらいなら構いませんが、そんなドレスなんて私には勿体ない事です。」

「まあまあ、そのうちね!」

「メアリー様、本当にありがとうございます。」

リアムとアダムはエミリーの近くで黙って聞いていた。

お母さんの刺繍が褒められて嬉しそうだ。

「メアリー様、ありがとう。」

「メアリー様、ありがとうございます。」

「良いの良いの、その代わりお勉強頑張るのよ!アンとダンに教えられるようにね。」

「「はい!」」



うん、良い返事だ。





その後は、庭でアンとダンと一緒に追いかけっこやかくれんぼをして、クロエにめちゃめちゃ怒られた…。












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