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しおりを挟む「お兄様…集団見合い・・・とは?」
「メアリー、集団見合いはたくさんの男達と会話し、自分の結婚相手を探す場だ。」
「そんな事知ってますよ!何でそうなったと聞いてるの!」
「いやな、手っ取り早くメアリーを好いてくれる人が一人位いるかなと思って。」
「一人・・・一人くらい・・・私って…そんなに結婚相手として見てもらえないの…。
そんなに魅力がなかったんだ・・・。
だから男友達すら出来なかったんだ…。
ウサギだからかなぁ…。
やっぱりヒョウとかだったらよかったのかなあ…。
猫科なら良かったんだなぁ…。
それか犬?犬は人気だよなぁ…尻尾、フサフサだもの…。
ウサギは丸っこくて、撫でにくいし、耳は長いし…。
胸も人並みしかないし…。
挙句にカツオ節齧ってるから、生臭いのかなぁ…。
前歯が大きいのがだめなのかぁ…
生まれ持ったものはどうしようもないもの…。
お母様…お兄様は私がウサギなのをこんなにも馬鹿にしています。
でも、私に魅力がないのが悪いんですね…。
何十人とお見合いしても、私を好きになってくれる人は一人もいないと言ってるも同然なのに、敢えてそんなお見合いをしろだなんて…。
他国の王太子に言われたら、その気もない人達も断れないから出ないといけないの分かっていて、そんな親睦会を開こうとするなんて、妹を何だと思っているのでしょう、お母様…。
私は悲し過ぎて涙も出ません…。」
「待て待て、メアリー、何を言ってる!
誰もそんな事言ってないだろ!
メアリーは可愛いに決まってる!
耳ピーンとなってるぞ、怒ってるのか?」
「怒っていますよ!お兄様は分かっていません!
そんな出来レースみたいなお見合い、お世辞言われて喜ぶ私とでも思っていたのですか?
みんな、友達にはなれても、誰が好んで私と婚約すると言うのです!
そんな人がいたら、とっくに仲良しの一人でも出来ています!
笑われてこいと言うなら、笑われましょう!
どんとこいですわ!」
「分かった、分かったから、怒るな!」
「私はそんなものには出ません!
私だって、分かってますよ、王女というアドバンテージがあるのに、未だに求婚者はいませんからね!唯一婚約しようと言ってくれたのはリーダーだけよ!」
「メアリー・・・リーダーって誰だ…」
「リーダーはジャンの義理の弟よ!」
「え?そうなのか?」
「ジョージ、そこはデリケートな所だから、ちょっと食いつかないで!」
「どういう事?ジャンのお父様なら公爵家だろ?」
「その…色々あるんだ…」
「ダメなのか?」
「そのな、その弟、メアリーを誘拐しようとして、一緒に崖から落ちたんだ。」
「何?何と言った?ジャンの弟がメアリーを攫ったのか?公爵家は敵なのか!」
「違くてだなぁ…その…子供の頃に攫われた父上の隠し子なんだ…。」
「は?」
「だからデリケートって言っただろ。」
「冗談じゃなくて?」
「こんな事冗談で言えないよ…」
「たまたまメアリーを誘拐したのが、ショーヤ様の隠し子だったの?」
「俺も知らなかったんだ。もちろん父上もな。極秘に産んだらしい。それを支援してたのが、ジャンの父親のラテリア公爵だ。」
「それで養子にってわけか…。しかし、よく生きてたな。」
「たった三歳で森の奥に捨てられたんだそうだ。育ての親の猟師が見つけて育ててくれたらしい。」
「マジか…」
「まあ、俺も急に弟が出来て驚いてはいるけど、嫌ではないし。
でもナタリーにはまだ言ってないんだ。」
「なんで?」
「ほら、アレが知ったらヤバいだろ。」
「あーーアレか…」
「それこそメアリーと婚約させて俺んとこに来たら良いんじゃないの?」
「お前、良いの?」
「お前の弟で、ジャンの弟なんだろ?なんか問題ある?」
「ないけど…。」
「じゃあ、メアリー、婚約する?」
「ハアーーーー私の気持ちは無視か!
まあ、嫌いじゃないけど…。」
「とりあえず婚約しとけば好きになるかもだろ?」
「まあ、分かんないけど…」
「待って、ジョージ、ジャンに一度相談しよ!だから、急がないで、お願い!」
「まあ複雑な立場みたいだけど、一度話してみたいなその元誘拐犯。」
「そういう言い方しないでほしい!私をリーダーは助けてくれたんだよ!」
「分かったから、いつまでも怒るな。」
そうして、集団お見合いはなくなった、
と思っていたのに、気付けば、親睦会という名のお茶会に列席していた。
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