番なんていません、本当です!

jun

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謎の令息と私

集団見合いという名の親睦会がとりあえず中止になった事は良かったのだが、何故か安心出来ない。

そして、とにかくリーダーに会わせろと五月蝿いので医務室にお兄様、ラン兄様、ジャン、グレンと美形に囲まれ、向かっている。

歩いていると、端に寄り、皆んながお辞儀をしているが、通り過ぎると、

「キャーーーー!」

と歓声が上がる。

そりゃあこれだけの美形が勢揃いだものね~。
その真ん中に私・・・。

うーーん、早く行こう!

「メアリー、何故そんなに急ぐ?お前は骨格が治ったばかりだ、激しい運動は控えろ。
あんなにバキバキしたんだ、関節外れるぞ。」

「やめて、お兄様!思い出すから!」

「だってお前、あんな未知の生物のような動きした後だぞ、気をつけろ!」

「もうーーーーお兄様なんて大っ嫌い、女心が分からない男なんて髪の毛全部抜けてしまえばいいのよーーー」
と走って医務室に向かった。
医務室に入ると、
「リーダーーーーー、お兄様が私を未知の生物だってバカにするのよ、酷い、酷過ぎる!」

「おいおい、何言ってんだか分かんねえよ、落ち着け、な。」

「今ここに来るから、美形軍団が!」

「は?」

バーーーン。

とドアを開けたお兄様。
なんて品も礼儀もないんだろう!

「お兄様!お母様に私言いますから!お兄様は、誰が寝ているのかも分からない医務室をノックもせずに開けたと!」

「お前が走って行くからだろ!絶対言うなよ!」

「お前が悪いよ、ジョージ。済まないね、ジェフ。」

驚いて固まるリーダーに、
「ジェフ、こちらはランバート王太子、最初に入ってきたのが、プルーム王国の王太子ジョージ様で、姫様のお兄様だ。」

「あ・・・お初に…お目にかかります…ジェフです…」

「挨拶に来よう来ようと思ってなかなか来れなかった。怪我も良くなってきてるね。
メアリーを助けてくれてありがとう。
君が弟かぁ~弟と言っても数ヶ月僕が上なだけなんだけどね。なかなかに男前だ。」

「あの・・俺…」

「まあ突然兄だと言われても困るよね。
とにかく一度会いたかったんだ。会えて良かった。」

「次俺ね。俺はメアリーの兄でプルーム王国の一応王太子だ。
妹を助けてくれてありがとう。
それで、えーーと、ジェフ君だったかな?
ジェフ君は恋人とかいるのかな?」

「いえ、恋人はいません…」

「あ、そう、いないの!そう、良かった!」

「あ、あのジョージ様、どうしてジェフの恋人の有無を確認したのですか?」

「フフーン、秘密だ!さあ、怪我人には休息が大事だ、帰るぞ!」

「ジェフ、今度ゆっくり父上にジェフのお母様の話しをしてやってはくれないか?きっと喜ぶから。」

「はい…ありがとうございます。」

お兄様とラン兄様とグレンが出て行った。

「あれ?ジャンは行かないの?」

「姫様一人に出来ないでしょ!」

「あ、そうか。」

「あの、姫様…ひょっとしてジェフと婚約したりするの?」

「あ~確かにお兄様はリーダーを狙ってるっぽいわね…」

「そう、なんだ…」

「集団見合いは無くなったけど、確かに今回の事で不安になったよ…あんな恐ろしい生き物になりたくないよ…。」

「ジェフでもいいなら俺でも良くない?」

「だってジェフは無理って言ってたじゃん、無理強いは出来ないよ。」

「いや、俺もそろそろ婚約者を決めなきゃならないんだ。良い機会だと思う。
俺も立候補する!」

「待て!俺なら婿に行けるし、継承権も関係なくなるから都合が良い。
姫様の事も気に入ってるし。」

「え⁉︎どうした⁉︎そんな急に気を遣わなくてもいいから!それとも何?王族に興味出た?」

「「違う!」」

「俺は本気だ。」

「俺も本気だ!ランバートとジョージ様に言ってくる!」

「お前、ずるいぞ、抜け駆けは無しだ!」

「俺もお前も婚約“可”だって言ってくる!」

「ジャン?どうしたの?何で急に?待ってよ、ジャン!護衛はーーーー。」

リーダーが、
「姫様、マジで血筋は良いらしいから、俺、オススメだよ。」とアピールを始めたので、医務室を飛び出した。
離宮までダッシュしていたら、お兄様とジャンが追いかけてきた。

「キャーーーーー!」と叫んで逃げたら、更にスピードを上げたお兄様に捕まった。

「ライオンに追いかけられる恐怖を知らないでしょーーーーー!」と怒鳴ったら、

「一人ウロウロするな!」

「誰もいなかったんだもの!」

「ジャンを待ってれば良かったんだ!
それより朗報だ。1カ月後、ジェフのお披露目会をやる。お前も出席だ。パートナーはお前。」

「は?」

「ジェフのフォローしてやれ。お前が見つけてきたんだ、面倒見てやれ。もちろん、ジャンは兄貴だから出席するから。その他大勢の貴族令息もな!」

「あ・・・集団見合い…」

「ジェフのお披露目会だ。」

「・・・・分かりました。」

「そんな訳でよろしく。俺も出席するから!」

悪い顔をした兄は、「またな~」と言って帰って行った。
絶対お母様に手紙書いてやる!

リーダーの傷も化膿する事もなかったので、ほとんど治った。
その後はとりあえず姿勢と挨拶と笑顔の特訓をリーダーは毎日こなした。
持って生まれた血が王族だからか、スマートにそれらをやりこなすリーダーは、髪を整え、きちんとした服装を着こなす、立派な貴族令息だ。

そして、お披露目当日、突如現れたラテリア公爵家の次男ジェフ・ラテリアとパートナーの私は、注目の的になっている。

お披露目だと思っていたのは私だけ。

そして、この会場にいる女性は私だけ。

どゆこと?

ラン兄様といる、お兄様に目を向けると、
ニヤっと笑っている。


騙された…。
これ集団見合いだ…。
微妙な人数なうえ、ジャンの家かと思えば、グレンの家だし、ジェフは謎の令息で家名を呼ばれなかった。

入場した後、ジェフをジャンが回収し、私のパートナーは顔見知りの白騎士達が横に付いた。

そして、次から次へと男性と挨拶を交わし、雑談をした。
意外と、
「実はメアリー様とお話ししてみたかったのです。これからはお声をかけさせて頂いてもよろしいですか?」
と言ってくれる方が多かった。

そして、一人、とっても話の合う男前がいた。
ラン兄様の側近、ユーリ・ボクトー侯爵令息。
子ウサギだった私を撫でたくて悶えまくっていたユーリ様とはあまり離した事はなかったが、話すと驚くほど楽しい。



一気に婚約者候補に名乗りあげた…かも。














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