【完結】可愛い女の子との甘い結婚生活を夢見ていたのに嫁に来たのはクールな男だった

cyan

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アルマ

王都へ

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 この辺境から王都までは馬車で7日かかる。
 本当は馬で駆けて行きたいところだが、途中の街で宿に泊まって、金を落とすのも貴族の務めだからな。


 俺は最初に泊まる街の宿に着いて唖然とした。
 俺とヴィーが同室で予約されていたからだ。

「……ヴィー、すまん。俺たちは結婚しているから同室にされていた」
「私は構いませんよ。あ、でもアルマ様は嫌ですよね……」
「いや、そんなことはない。」
「アルマ様がお嫌なら私はソファーで寝るので大丈夫ですよ」
「それはダメだ。何もしないから一緒に寝よう」
「はい」

 同衾すると言っておいて、何もしていないと言えるのだろうか?
 分からない。



「アルマ様……手を、繋いで寝てもいいですか?」
「あ、あぁ」
「嬉しいです」

 嬉しいのか。
 俺たちはいつものように触れるだけのキスをすると、手を繋いで寝た。



 はぁ、温かいな。ここの宿のベッドは寝心地がいい。
 そんなことを思いながら眠い目を擦りながら目を開けると、なんと俺はヴィーを抱きしめて寝ていた。

 !!!!!

 俺が起きてその状態のまま固まっていると、間も無くヴィーも起きた。


「す、すまない」
「謝ることなど何もありませんよ。私たちは結婚しているのですから」
「そ、そうだな」

「もう少しだけ……」

 そう言うと、ヴィーは俺の胸筋の谷間に顔を埋めてきた。

 ヴィー、それは男の俺の胸筋であって女性の胸ではないぞ?
 それでも、そうやって甘えてくれることが嬉しくて、俺はヴィーをきつく抱きしめた。


 その体は全然柔らかくないし、触れているところも引き締まった背筋だが、なんだか温かい気持ちが湧き上がってくるから不思議なものだ。

 起き上がると、いつも綺麗に前髪を真上に立ち上げているヴィーの髪が額にかかっていた。前髪が下りていると雰囲気が違うんだな。少し幼く見える気がした。


 それから王都までの街の泊まる宿は全て、俺とヴィーが同室となっており、俺は結局毎日ヴィーを抱きしめて寝ていた。
 おかしいな。寝る時は手を繋いで寝ているはずなのだが、起きると必ず俺はヴィーを抱きしめているんだ。
 それ以上は何もしていないし、ヴィーも嫌がっている様子はない。
 むしろ少し嬉しそうに柔らかい表情を見せるが、大丈夫だろうか?



「何事もなければ昼過ぎには王都に着くと思う」
「はい」
「3日ほど余裕があるが、一緒に街を見て回るか?」
「いいのですか?」
「あぁ。もちろん」

 王都なので護衛を3名つけて王都の街を歩く。
 おそらく護衛をつけるより、俺とヴィー2人だけの方が強いし安全だろうが、貴族なので仕方ない。ヴィーもそれを分かっているのか、何も言わず従ってくれた。
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