うみのくるしみ

「私にとって書くことは夢だった」
「俺にとって書くことは逃げだった」
「僕にとって書くことはただの趣味だった」

 創作者に、そして読者に今問いかける。

 あなたにとって「書くこと」ってなんですか?

 好きなことを好きなんだと、それを貫くのが夢なんだと、そう心が叫ぶ。

 自分の現実と理想への遠さ。その距離は何光年と離れているかもしれないけれど、この筆は私だけの宇宙を描き出す。

 ◇◆◇

 小説家志望である高校二年生の「私」――水上詩織。
 スランプが続いていたある日、直木賞を同じ高校生が受賞したというニュースを知り、詩織の心は折れてしまっていた。そんな、夢を捨て失意のうちにあった詩織の学校に、ある日転入生がやってくる。なんと、その転入生こそ、「天才高校生作家」澄谷海斗、その人であったのだが……。

「水上さんも、書く人だったんだね」
 ――あなただけには、知られたくなかったのに。
  
 作家になる夢を捨てた文芸部の女子高校生と、書くことを愛せない男子高校生作家。

 詩織は夢見ることを取り戻せるのか。
 天才作家・澄谷が転校してきた理由とは。
 二人はそれぞれ持つ壁を乗り越えることができるのか。

 あなたにとって、「書く」とはなんですか――?

 小さな山間の街を舞台に語られる、モノカキ青春譚。
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