幼女公爵令嬢、魔王城に連行される

けろ

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第42話 作戦決行 

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 私の提案した作戦に最後まで不安そうにしていたガウェイン。
 その様子を見ていたシグマは「これだけの隠蔽を施す魔物だ、そうでもしないと出てこないだろう」と言う。
 確かに、達人であるシグマやかなりの手練れであるニャルラの気配察知をものともしない魔物の仕業なのだ。
 このままでは一生この結界の中を彷徨う羽目になることは容易に理解できる。

 そういうわけで、私とガウェインとワタアメをこの場に残すことに決定した。
 細かい手筈を確認したのち、シグマはガウェインに私を託す。
 そして、自然に見える演技を混ぜて二人はそれぞれ「あるはずのない魔法陣」を探しに行ったのだった。
 彼らは遠慮なしの全開パワーで飛び立っていったので、瞬く間に視界から消えていく。

「いったい、どこまで驚かせるのよあの親子は……」

 目の前から突然消えたように思える加速は、非戦闘員の私から見ると瞬間移動にしか見えないのだった。
 私がシグマ達の能力に呆れている一方、ガウェインは緊張で体を強張らせる。
 いつもの自然体ではなかった。

「お嬢様、俺が必ずお守りします……」

 隣に立つガウェインは、そうやって自分に言い聞かせるように声を出す。
 シグマとニャルラがいなくなった今、戦闘要員はガウェインだけなのだ。
 すなわち、彼が敗北した場合は私も自動的に死亡となる。
 そうなった場合はなんとかワタアメだけでも逃がして、シグマ達に合流させなければならない。
 あれ?でも、結局私が殺されて再び敵が隠れたら詰みかしら?
 シグマ達だけになったら敵はきっと出てこないわよね……。

「まあ、考えても無駄よね」

 こうなってしまった以上、シグマ達が挟み込むまでガウェインに持ちこたえてもらうしかない。
 つまり、現状はガウェイン頼みなのである。

「敵も1体とは限らないわよね……」

 人狼が二人一組で襲い掛かってきたことを考えると、今度の敵も二人以上の可能性が高い。
 そうなると、敵との戦闘は長くとも1分以内に留めておきたい。
 欲を言えば30秒程度でシグマ達と合流したいところだ。
 一対多の戦闘訓練もこなしてきたガウェインではあるが、私を守りながらの戦いではそれ以上に危険度があがる。
 私はすこしでもガウェインが良い状態で戦闘に挑めるように、彼をリラックスさせなければならない。

「ねえガウェイン、アリシアが待ってるから必ず生きて帰りましょうね」

 私は柔らかい笑みを浮かべてガウェインに声をかけた。
 すると、虚を突かれたようにポカーンとしたガウェインは「ええ、そうですね」と少し笑う。
 ガウェインもアリシアや魔王城の事を思い出すことで少し緊張がほぐれたようだった。

 シグマ達がここを去ってからしばらくすると、ガウェインは獣人親子の魔力を探知できなくなったという。
 つまり、二人はこの場から十分に離れたというわけであった。
 彼の話だと、おそらく数km単位でここから離れているという話である。

「ということは、私たちはきちんとバラけたというわけね」

 すぐには戻ってこれない場所までシグマ達が離れたことは、もちろん敵だって承知しているはずだ。
 であるならば、もうそろそろ敵さんが私たちの前に出てきてもおかしくない。
 私はワタアメやガウェインと一緒に、作戦通り敵の出現を待つ。
 もちろん、敵の魔力を感じ取るために集中して待つために現場は静まり返っていた。

 しばらくそのまま待っていると、事態は急変する。
 私の腕の中のワタアメが「もきゅ!!」と一際警戒心高めの声を上げたのだ。
 プルプルと震えるワタアメは周囲の森から隠し切れない殺気を感じるという。
 ワタアメは野生の魔物だったこともあり、索敵の能力はこの中で一番優れているのである。

「近づいているってことね……」

 見えない敵が私たちの近くに存在していることに恐怖する私。
 ガウェインもいつも以上に集中して周囲の気配を探っている。

 森の中に風が吹き、木の葉が擦れる音だけがあたりに響く。
 静寂の中、私たちは気配を探り続けるがなかなか敵は姿を現さなかった。
 そんな中、私が「ワタアメの魔力感知が本当にあってたのかしら」なんて少し気を緩めてしまった時である。
 突然ガウェインが「お嬢様!」と叫び、私を抱えて地面へと勢いよく転がるのであった。

「きゃあ!!」

 その次の瞬間、恐ろしいことに私が立っていた場所には「鋭く尖った岩」が生えていた。
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