前世大賢者のつよかわ幼女、最強ちびっこ冒険者になる!

メルメア

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第3章 幼女、王都へ行く

幼女、手紙を読む

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「これ、シエルは読めたの?」

 私の質問に、シエルは大きく胸を張った。

「そうよ。熱心に研究したの。読めたのは、1年ほど前のことだけどね」

「これが条件になってるってことは、最初に解読した人がいるってことだよね?」

「解読というか……条件にしたのはニノ様よ。ニノ様はたった1人にだけ手紙の内容を教えていて、それが今まで口頭だけ伝わってる。だから答えは、これを読めた学者たちの頭の中にしかない」

 ニノか。
 メリュンと並ぶ女性の七賢人。
 いかにも、アイツがやりそうなことだな。

 手紙は今とも昔とも違う不思議な文字で書かれている。
 2000年前だと、これを読めたのは私とアイツらだけだね。
 研究書類が万が一にも外にバレないよう、私が開発した暗号文字だ。
 まあ、私が開発した文字なら読めなきゃおかしいわけで。

「手紙は七賢人から七賢人へのものだね。メリュン……様からニノ……様宛のものだ」

 ああもう!
 何だって様をつけなきゃいけないの!

「正解だわ……。それで内容は?」

「えっとね……」


 ニノへ

 元気してるー?休暇で私がいなくて寂しいだろー?
 さてさて本題。
 旅先でめちゃくちゃ良きな素材を見つけたの。
 きっと今ニノがやってる研究に役立つはず。
 鮮度が命だからすぐに送るねー!
 多分リスターニャ先輩の家に着くまでは鮮度持つはず!(腐ったらごめん笑)
 私はもーちょい羽伸ばして帰るから、寂しくっても泣くなよー!
 あと、ご飯はちゃんとみんなで食べること。
 家のことは任せたぜっ!バイバーイ!

 メリュンより


 うーん。
 何ともメリュンらしさ全開の手紙だ。
 劇では何か凛々しい救世主らしく描かれていたが、この手紙の方が素の彼女。
 手紙の全てがはっきりと彼女の声で再生されて、とても懐かしい気分になった。

「す、すごいわね。語尾まで完璧だわ。どうして読めたの?」

「ふふふ。まだ手紙は終わりじゃないよ、シエル」

「え?」

「裏意味の方をまだ読んでないじゃん」

「う、裏意味?」

 シエルがきょとんとする。
 どうやらニノは裏意味の方までは伝えていなかったらしい。
 彼女は大雑把な性格だったし、条件の手紙を選ぶ時にその辺にあった手紙を取っただけで、裏意味までは確認しなかったのかも。

「5行目の『鮮度』って意味の文字と、次の行の『鮮度』って意味の文字。形はすごく似てるけど、よく見ると微妙に違うでしょ?」

「言われてみればそうかもしれないけど……人の手で書いたものだし、これくらいは誤差じゃないかしら?」

「ううん。6行目の『鮮度』は、ここから裏意味が始まるよって合図なの。それでその裏意味に合わせて読むと……」


 おい!ニノてめぇ!
 荷造りやってあげるって言うから任せたのに何だよこれ!
 下着が全部ニノのじゃんか!
 薄いし細いしスース―するし……
 こんな変態下着、お前かリスターニャ先輩しか着けないんだよ!
 私が帰ったらどうなるか、覚悟しといてよ!


 口が悪いなぁ。
 あと、人のことを変態呼ばわりするな。
 確かに私とニノは露出多めで、メリュンは清楚系だったけど。

「えっと……本当にそんなことが書いてあるの?」

「書いてある。七賢人と崇められようと、やっぱり人間は人間だね」

「ちょっと理解が追い付かないけど……まあ、条件をクリアしたことは確かだし、研究エリアに入らせてあげるわ。特別にリリスちゃんも」

「ありがとう!」

「ありがとう!」

「それにしても、ミリアちゃんは一体何者?」

「ふっふっふー。意外と、大賢……」

 私が無い胸を張った時、横からリリスが口を挟んできた。

「意外と、大賢者リスターニャ様の生まれ変わりだったりして?」

 おいこら。
 私が言うやつだよ、それは。

「悪い冗談と叱らなきゃいけないんだけど、信じてしまいそうな自分がいるわ」

 そのまま信じてもいいんだけどなぁ。
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