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第5章 幼女、ギルド対抗戦地区大会に参戦する
幼女、シエルと馬車に乗る
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翌朝。
シエルと一緒に馬車に乗りこみ、王都への道を進み始めた。
やはり今回も、前回同様ダラには滞在する予定だ。
あの肉料理をまた食べたいし、タイミングが合えばサナエルにも会いたいところだね。
「ダラに着くまで、丸一日かかるよね?」
「そうね。ゆっくりしててもらっていいわよ」
「前にここを通った時は、3人組の盗賊に襲われてさ~」
「あら、そうだったの? でもミリアちゃんがいたなら、何ともなかったでしょう?」
「うん。リリスとイリナもいたしね」
あの時はあっさり片付いちゃったなぁ。
盗賊たちが弱すぎたってのもあるんだけど。
あの3人組、今はどうなってるんだろうか。
「御者さん、最近はここの辺には盗賊出る?」
「そうですね……。以前に比べれば、確実に数は減っていますね。0ではないですけど、どんどん減少していってる気がします」
「そっか。それは何よりだね」
「ええ。我々としても、お客様に安心して利用していただけるのでありがたいことです」
シエルや御者さんと、とりとめのない話をしながら、馬車はゆったり進んで行く。
道中の昼食は、早起きしてフィナが作ってくれたサンドイッチだ。
「本当に、フィナって料理が上手よね」
サンドイッチをほおばって、シエルが幸せそうな顔で言った。
ふわふわの卵がサンドされていて、酸味のあるソースが良いアクセントになっている。
さすが、『新月の妖精』の料理番長だ。
「この際だし、王都に行ってからの日程を説明しておくわね」
「うん。よろしく」
サンドイッチを食べながら、私はシエルの話に耳を傾ける。
「まずは図書館に来てもらうわ。私の研究室があるあそこね。そこで学者たちの一部と会ってもらうの。ちなみに彼らは、ミリアちゃんの正体について肯定的な立場の人たちよ」
「それなら話しやすそうだね」
「ええ。王都の初日はそれでおしまい。次の日のお昼前から、王宮に招待されてるわ。国王陛下はじめ、第一線級の学者たちが集まることになってる」
「一大事じゃん」
まあ、実際に大賢者の生まれ変わりが来るなんて一大事なんだけど。
それにしても王宮でお昼前に集まるのか……。
豪華な昼食が用意されてそうだね。
緊張よりも楽しみが勝つ。
というか、今さら王に会う程度では緊張しないけど。
「そこには前も言った通り、ミリアちゃんの能力は認めつつも、大賢者様との関わりについては懐疑的って人もいるわ。もちろん国王陛下の手前、無礼な態度は取らないはずだけど」
「ちなみに国王は、私の正体についてどちらの立場なの?」
「現状でいえば、中立というのが正しいかしら。ご自身の目で実際にご覧にならない限り、本物とも偽物とも判断しかねるということらしいわ」
「なるほどね」
はっきり言って、賢い王だ。
もちろん様々な資料から判断を下す能力は必要だけど、百聞は一見に如かず。
自分の目で直接見る機会があるなら、それまでどちらとも判断しないというのは、賢明だと思う。
「まあ、ミリアちゃんなら大丈夫よ」
「うん。任せといてよ」
別に偽物が本物のふりをして、学者や王を騙しに行くわけじゃない。
私が正真正銘の本物なんだ。
何も心配する必要はない。
「う~んっと」
私はサンドイッチを食べきって、大きく伸びをした。
そして、のどかな外の景色を眺めながら呟く。
「今回は王都をちょっとは観光できたりしないかな……」
「ふふふっ。そうなるといいわね」
穏やかに微笑んだシエルと私を乗せて、馬車は進んで行く。
ひとまずは今晩の目的地、ダラへと。
シエルと一緒に馬車に乗りこみ、王都への道を進み始めた。
やはり今回も、前回同様ダラには滞在する予定だ。
あの肉料理をまた食べたいし、タイミングが合えばサナエルにも会いたいところだね。
「ダラに着くまで、丸一日かかるよね?」
「そうね。ゆっくりしててもらっていいわよ」
「前にここを通った時は、3人組の盗賊に襲われてさ~」
「あら、そうだったの? でもミリアちゃんがいたなら、何ともなかったでしょう?」
「うん。リリスとイリナもいたしね」
あの時はあっさり片付いちゃったなぁ。
盗賊たちが弱すぎたってのもあるんだけど。
あの3人組、今はどうなってるんだろうか。
「御者さん、最近はここの辺には盗賊出る?」
「そうですね……。以前に比べれば、確実に数は減っていますね。0ではないですけど、どんどん減少していってる気がします」
「そっか。それは何よりだね」
「ええ。我々としても、お客様に安心して利用していただけるのでありがたいことです」
シエルや御者さんと、とりとめのない話をしながら、馬車はゆったり進んで行く。
道中の昼食は、早起きしてフィナが作ってくれたサンドイッチだ。
「本当に、フィナって料理が上手よね」
サンドイッチをほおばって、シエルが幸せそうな顔で言った。
ふわふわの卵がサンドされていて、酸味のあるソースが良いアクセントになっている。
さすが、『新月の妖精』の料理番長だ。
「この際だし、王都に行ってからの日程を説明しておくわね」
「うん。よろしく」
サンドイッチを食べながら、私はシエルの話に耳を傾ける。
「まずは図書館に来てもらうわ。私の研究室があるあそこね。そこで学者たちの一部と会ってもらうの。ちなみに彼らは、ミリアちゃんの正体について肯定的な立場の人たちよ」
「それなら話しやすそうだね」
「ええ。王都の初日はそれでおしまい。次の日のお昼前から、王宮に招待されてるわ。国王陛下はじめ、第一線級の学者たちが集まることになってる」
「一大事じゃん」
まあ、実際に大賢者の生まれ変わりが来るなんて一大事なんだけど。
それにしても王宮でお昼前に集まるのか……。
豪華な昼食が用意されてそうだね。
緊張よりも楽しみが勝つ。
というか、今さら王に会う程度では緊張しないけど。
「そこには前も言った通り、ミリアちゃんの能力は認めつつも、大賢者様との関わりについては懐疑的って人もいるわ。もちろん国王陛下の手前、無礼な態度は取らないはずだけど」
「ちなみに国王は、私の正体についてどちらの立場なの?」
「現状でいえば、中立というのが正しいかしら。ご自身の目で実際にご覧にならない限り、本物とも偽物とも判断しかねるということらしいわ」
「なるほどね」
はっきり言って、賢い王だ。
もちろん様々な資料から判断を下す能力は必要だけど、百聞は一見に如かず。
自分の目で直接見る機会があるなら、それまでどちらとも判断しないというのは、賢明だと思う。
「まあ、ミリアちゃんなら大丈夫よ」
「うん。任せといてよ」
別に偽物が本物のふりをして、学者や王を騙しに行くわけじゃない。
私が正真正銘の本物なんだ。
何も心配する必要はない。
「う~んっと」
私はサンドイッチを食べきって、大きく伸びをした。
そして、のどかな外の景色を眺めながら呟く。
「今回は王都をちょっとは観光できたりしないかな……」
「ふふふっ。そうなるといいわね」
穏やかに微笑んだシエルと私を乗せて、馬車は進んで行く。
ひとまずは今晩の目的地、ダラへと。
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