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第4章―悲しみの記憶と…――
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しおりを挟む私の手のひらには一枚の金貨があった。たった一枚の金貨だったけど、それがあれば。一ヶ月は食べていけるくらいの価値があった。私は名前も知らない男の子に金貨を一枚貰った。
その時が人生で初めて心から神様に感謝をした。名前も知らない男の子だったけど、私には彼が、慈悲深い天使のように見えた。
その男の子は馬車に乗ると、どこか遠くの方へ行ってしまった。時おりそのことを思い出すと、あの出来事は本当に不思議な出来事だった。
もし再びその子に何処かでまた出会えたら、私はその子にあの時、助けてくれたお礼を言いたい。彼が私にくれたあの金貨は、今でも心の中で大切な思い出になっている。
あの頃の嫌な思い出は全部、忘れたいはずなのに。 なのにその思い出だけは時おり思い出すと懐かしくなる。 この思い出は、私だけの秘密。誰にも言えない私だけの心の思い出――。
走る馬車の中で外の景色を黙って眺めながら、窓をジッと見つめていた。するとお義父様が隣で私に話しかけていることに気がついた。
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