転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

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外伝4 誰かの記憶

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「……ぐ…………」

 目覚ましのアラームが鳴り響いてから約4時間後、少年はうめき声を発しながら起き上がった。

 現在の時刻は昼の12時である。

「……今日の天気を教えて」

 寝起きで半開きになった目を更に細めて問いかける少年。

〈天気:快晴、最高気温:45度、降水確率:0パーセント〉

 すると、付けっぱなしにしていたコンタクトレンズに情報が表示された。

「なるほど……」

 ベッドから這い出して部屋のカーテンを開けると、まばゆい日の光が差し込んでくる。

「………………」

 少年はそれを見て、何も言わずにカーテンを閉めた。

〈絶好のお出かけ日和です〉
「非表示」

 そしてコンタクトレンズの表示を全て消す。

(ゲーム日和ですね)

 少年はあくびをしながらゲーミングPCを起動し、VRゴーグルを装着して『レジェンド・オブ・アレス』のプレイを始めた。

 先日アップデートがあり、ストーリーを最後まで攻略できるようになったばかりなのである。

 プレイしないわけにはいかない。

(いよいよラストダンジョン……!)

 少しだけ心を躍らせながら、キャラクターを操作してラストダンジョンへと乗り込む。

 ――すると、突然長めのムービーが始まり、冒険の舞台となっている星が実はテラフォーミングされた火星であるという衝撃の事実が明かされた。

「へー」

 しかしストーリー自体にはさほど興味がなく、ほとんど読み飛ばしていた少年には何の驚きも感動もない。

 むしろありきたりな設定だと辟易していた。

 おまけに、今まで使用していた魔法や奇跡は、この星全体を漂う無数のナノマシンの働きによって生み出されていたものらしい。

 「ナノマシン万能すぎでは?」

 少年は率直な感想を述べ、ムービーをスキップした。

 正直どうでもいい。

 ――そんな風に文句を言いつつもこのゲームをプレイする理由は、ひとえに無料で遊べるからである。

 少年はただでさえ少ないお小遣いをほぼ全てゲーム関連につぎ込んでいるため、常に金欠気味なのだ。

 従って、購入するゲームはレビューを見てよく吟味する必要がある。

 つまらないゲームにお金を払う余裕はないのだ。

 そんな彼にとって、基本プレイ無料のこういったゲームは、お金を気にせずに遊べるありがたい存在なのである。

 ――それから少年は、特に苦戦することなくラストダンジョンを進んで行き、あっという間にラスボスを撃破した。

「ゲームクリアですね」

 そしてムービーが始まる。

『もうやめてマルスっ! この子は……誰かに愛して欲しかっただけなのっ!』
『…………………………!』
『分かっているわ……。確かに、この子のせいで大勢の人が魔物に殺された。……孤児院の皆も。……それに私だって、もう人には戻れない』
『…………………………』
『おねが――』

 それを躊躇なくスキップすると『ミネルヴァに止めを刺しますか?』という文章と共に、『はい』と『いいえ』の選択肢が表示された。

 少年は最初にカーソルが合っていた『はい』をノータイムで選択する。

 こうして、ラスボスのミネルヴァは無事死亡した。

 彼女が生み出した不死身の魔物達も消滅し、世界に平和が訪れて感動のエンディングが始まる。

「簡単すぎました。星一つです」

 思ったよりも難しくなかったので、余韻に浸る気分にはなれなかった。

 エンドロールが流れ終わる前にVRゴーグルを外して席を立ち、部屋を後にする。

(のどが渇いた……)

 起きてから何も飲んでいなかったので、飲み物を探しにキッチンへ向かったのである。

「………………あれ?」

 ――しかし、驚くべきことに冷蔵庫の中は空だった。

 いつもの如く両親は家に居ないので、自分で近くのコンビニへ飲み物を買いに行くしかないらしい。

 少年は仕方なく長い間使っていなかった帽子を被り、ゲーム機を持って外に出た。

「うわ…………」

 案の定、家の外はありえない暑さである。どう考えてもお出かけ日和ではない。

「暑すぎ……」

 ずっとクーラーの効いた部屋で過ごしていた少年に耐えきれる暑さではなかった。

 少年は早く目的を済ませる為、家から持ってきたゲームをせずに、ただひたすら歩いてコンビニへ向かう。

 しかし、起きてからご飯すら食べていないのですぐに体力が尽きた。

「みず…………」

 ――――もう限界かもしれない。

 朦朧とする意識の中、コンビニ前の横断歩道を渡ろうとしたその時、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。

 自動運転の無人トラックが、一直線にこちらへ向かってきているのである。

 緊急時には自動ブレーキが作動するはずだが、トラックは少年に接近しても一切減速しない。

「え?」

 少年の意識はそこで途切れた。
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