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5章
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しおりを挟むやつらは二手に別れた俺たちに小さく「くそっ」と漏らし、リーダーらしき人が指示を出す。
敵は3人。
俺たちの方に2人、ククスとライルの方に1人、リーダーらしき人はククスとライルを追いかけて行った。
2人引きつけられたのは良かったが、リーダーらしき人が向こうに行ったのは痛い。
まぁ逃げた道を見てそう判断したのだろう。
あんな不安定な道…屋根の上や衝立がわりに立てられた杭の上を平然と普通の道を走るかのように突き進んで行く。
ライルは少し走りにくそうだが初めてじゃないぶんマシのようだ。
それを追いかけるリーダーらしき人も案外平気な様子で走って追いかける。
俺はその様子を目の端で捉え風の精霊にククスやライルには追い風を、敵には向かい風を吹かせてもらう。
ククスやライルは大丈夫だろうか?
信じるしかないが少々不安が残る。
どうゆう理由で俺たちを追いかけているのか知らないが取っ捕まえればいずれ分かることだ。
今はこっちに集中しよう。
追いつきそうで追いつけない、そんなギリギリの距離を保ちつつ俺たちは隠れ家へ向かう。
途中アリサが転びそうになったが手を繋いでいたため、すぐに引き上げられ未然に防げた。
アリサが少し疲れているようにも見えたのでそのまま横抱き…いわゆるお姫様抱っこだ。にし、そのまま走る。
アリサは最初恥ずかしがっていたが、今は大人しく俺の腕の中に収まっている。
そうこうしているうちに、人気のない隠れ家が見えてくる。
ククスとライルはまだ来ていないようだ。
俺はアリサを降ろして振り向きアリサを背中で庇うようにして立ち敵影を捉える。
「はぁはぁ…っ鬼ごっこはお終いかい?」
「そうですね、そろそろ終わりにしましょう。」
息を切らして肩で息をする2人に笑顔を向け右手を上げる。
「「うをっ」」
すると2人が立っていた地面が崩れ2人は穴に落ちる。
土の精霊作!
簡易の落とし穴だ。
「さて、どうしますか…?」
穴を覗き込みこれからどうするかを考える。
穴の深さは落ちた2人の身長2人分だ。
そう簡単には抜け出せまい。
「ぺっくそっ!
何しやがった!」
土を吐きながら言う彼は顔も身体も土だらけだ。
落とし穴に落ちたんだから当然っちゃ当然か。
「何って…落とし穴ですけど?」
それ以外に何かに見えますか?と言いたげな表情で相手を見下ろす。
そう、俺は今、彼らをバカにしているのである。
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