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6章
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しおりを挟むわざと鳥に敵意を向けているやつをジッと見ているとそいつはそんな俺に気付いたのかスッと視線を逸らす。
すぐに鳥に飛び掛かる、ということはなさそうだ。
あまり長い間、防御壁を張っていると鳥の方が何か仕出かしそうなので防御壁を解除する。
鳥は俺の腕と胴の間に頭を滑り込ませ俺を見上げる。
どこでこんなこと覚えてくるんだ…
「そいつ…お前に懐いてるな。」
「まぁ…そうですね…」
否定はしまい。
事実だからな。
そして睨まれている…もの凄く睨まれているぞ。
いったい何なんだ?
「何か?」
「いや…」
敵意を向けられるのならその理由を知りたいと思うのが当然だろ?
歯切れの悪い返事を返され俺は不快感を表すように眉間にしわを寄せる。
「言いたいことがあるならハッキリ言え。」
「チッ…」
「あっおいっ!
連れが悪いな。
俺たちも組むのは今日が初めてであいつのことよくわかってなくて…
とりあえず俺たちは行くよ。
止めてくれてありがとう!」
俺の言葉にやつは舌打ちをし背を向けて森へと入って行く。
他の3人もそいつを追い掛けて森へ入って行く。
いきなり静かになったな。
これから先も一応警戒した方が良さそうだな…
この鳥をこのまま放置してまた同じことが起こっても困るがこのデカイ図体だ。
保護するのも難しそうだ。
ここ2、3日一緒に過ごしたせいかこいつに情が湧いてしまっている自分がいる。
こいつ、行動がいちいち可愛いから仕方ないよな。
「お前がもう少し小さければな。」
俺の言葉に右へ左へと首を傾げたあと、1鳴きして縮んでいく。
ぉおっぉおおお!
なんて便利なやつなんだ!
小さくなった鳥は鴉ほどのサイズになった。
「手のひらサイズにもなったりできるのか?」
「キュ」
できるようだ。
これなら保護するのも簡単そうだ。
森にいるのが1番いいのだろうがまたあんな風に狙われるのも…
それなら寮に連れ帰って放課後森に来る方がいい気がする。
「一緒に来るか?」
「キュッ!
キュキュッ!」
同意、ということで良さそうだ。
嬉しそうに俺の周りをくるくる跳ね回っている。
何かの儀式みたいだな。
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