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6章
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しおりを挟むこのまま連れて帰りたいところだが今この段階で連れて帰るといろいろと厄介…面倒…煩わしい…ことになりそうなのでここはグッと堪えて今日のところは一先ず帰ることにした。
帰ってすぐにツヴァイに報告すると盛大に溜め息をつかれてしまった。
「お前は何を考えてるんだ?」
「ですからさっきもお伝えした通り、あの聖獣を連れて帰りたいと思っています。」
「無責任にもほどがある。
そいつをお前が一生面倒を見るつもりか?
そんなことできないだろう。
人間の勝手で聖獣を振り回すのはやめろ。」
「だからってあの聖獣を放っておけと?
また誰かに危害が加えられないとは限らないでしょう?」
「次があればの話だろう。」
「起きてからでは遅いんです!」
「だからと言って今の段階で許可することは出来ん。」
「ツヴァイの分からず屋!」
「………」
淡々と話すツヴァイについ熱くなってしまった…
言った後にハッとしツヴァイを見ると冷たーい目で俺を見てらっしゃる。
サーッと熱くなった熱が引いていくのが自分でもよくわかる。
ツヴァイは呆れているのか、それとも怒っているのかわからないが今の状況が良くないことだけは俺にもわかる。
こうなったツヴァイは絶対に折れてはくれないだろう。
「ではもし次があったら?
その時は僕があの聖獣を保護することを許可してくれますか?」
「…保護先の1つの候補として考えておく。」
「…あの聖獣が僕に懐いていても、ですか?」
「はぁ…お前には学校もやることもたくさんあるだろう。
あのガキ共のことと言いなんでそうも厄介ごとを引き受けたがる?」
ガキ共とはアリサとライルのことだろうか?
多分そうだよな?
その可能性が高い。
「僕だって厄介ごとはできるだけ避けたいですよ。
でも関わってしまったんです。
仕方ないじゃないですか。
僕には彼らを見捨てるなんて選択肢が見つからないだけです。
強いて言うなら自分のため。
リドやティナに誇れる兄でありたい。
ただそれだけです。」
これは本当だ。
見捨てるなんてできない。
関わったからには多少なりとも情は湧くしそんな彼らを見捨てれば自分の全てを否定しているような気になる。
自分が自分であるため。
人になんと言われようがこうと決めた道を曲げるわけにはいかない。
それに見捨ててしまえば次にリドやティナに会った時、後ろ暗い気持ちで押し潰されそうになる。
そんな自分は嫌だ。
本当にただそれだけ。
ただの自己満足だ。
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