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7章
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しおりを挟む数時間後目を覚ました俺はティナを揺りかごに戻し、みんながまだ寝ているのを確認した後微かに音のするリビングへ向かう。
そこではすでにメルがコーヒー片手に新聞に目を通している。
イリスはキッチンの方で朝食の準備をしているようだ。
「おはようございます。」
「あぁ、ギルおはよう。
相変わらず早いね。」
「朝の鍛錬を毎日しないとなんだか気持ち悪いので…」
「今日くらいは休んでもいいんじゃないか?」
「いえ、これは自分のためなので…
それよりお父様、ツヴァイさんは…?」
そうなのだ。
さっきからツヴァイの姿が見当たらない。
いつもならソファーに足を組んで踏ん反り返っていそうなのにどこを見渡してもいる気配すらない。
「あぁ、夜中に帰ったよ。
今日も仕事は待ってくれないからね。」
「それは…大変そうですね……」
ツヴァイには申し訳ないことをした…
いきなり呼び出して仕事を中断させ、あまつさえ後始末を丸投げして朝食も出さずにそのままとんぼ返り…
メルからしたらイリスお手製の夕食はご馳走したんだ、それで十分だろうと言い出しそうだが…
あまり城を空けておくのも良くないのだろう…
せめてもの俺の気持ちだ、ツヴァイにはたっぷりお土産を買って帰ろう。
取り敢えず朝食までの時間、俺はいつも通り鍛錬をし、朝食ができる頃合いにみんなを起こしに行く。
ククスはうざいほどティナに絡んでいたが俺とライルに阻まれ今では大人しく席についている。
朝食の準備を終えたイリスにティナを預け俺たちは揃って食事する。
興味津々のククスに頼まれ、今日は庭や森の案内をすることになりそうだ。
といっても特に紹介することなどないのだが…
っとその前にメル立会いの元、食後の運動兼リドの力量調査といこう。
俺がいない間どれくらい成長したのか楽しみだ。
全員動きやすい服装に着替え、武器を持って庭の一角に集まる。
元英雄と呼ばれたメルに見てもらえるとあってライルとアリサはそわそわしている。
ククスは…格段気にした様子はなさそうだ。
リドもなぜかそわそわしているが…
視線の先を見れば理由など一目瞭然。
アリサに良いところを見せたいんだな…
いつの間にこんなにませてさまったんだ…
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