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「ラルカ……その、俺…」
「………………ッッ!!」
意識を取り戻したラルカに近付こうとしたら、あからさまに震えて怯えられた。揺らいだ大きな青い目の中には、俺へ対する不信感がハッキリと見て取れる。そんなラルカの様子を目にした俺は、伸ばしかけた手を引っ込め、苦悩を押し潰す様に強く拳を握りしめた。
そうだよな…そう、なるよな。当然だ。
俺はラルカを裏切って、あんな酷いことをしてしまったのだから。
「あっ、あっ、んっ、あ、ああっ!」
「ラルカ…ラルカッ、く……うっ!!」
15歳になったラルカは突然オメガとして覚醒し、発情期の熱に浮かされながら訳も解らず喘いでいた。きっと自分の身に何が起こったのか、自分が何者なのかも解らずに、心の底から困惑し怯えて、そしてきっと助けを求めていたんだろう。
クルト、助けて──と。
俺なら何とかしてくれると。きっと助けてくれると。心からそう、信じて。
「あ―――ッ、あっ、あっ!!」
そんな彼を俺は本能のままに犯し、容赦なく凌辱し尽くした。何も知らない清廉な子供のラルカを、大人の男の醜い欲望で穢してしまったのだ。
しかも、それだけじゃない。
俺はこれまでずっと、ラルカの父であり、兄であり、ただ一人の家族であろうとしてきた。そんな俺にレイプされただけでも、ラルカにとっては酷い裏切り行為だと言うのに、俺は、犯したままの勢いで彼を俺の番にしてしまったのだ。
ラルカの意志などまるで無視し、その白い首に、決して消えぬ刻印を残して。
──10年。
10年もの間、大切に守ってきたのに。純粋にただ、ラルカを幸せにしたくて、ラルカの為に頑張ってきたのに。俺は、たった一瞬の油断で、何もかもをぶち壊しにしてしまった。
無垢な心で慕ってくれていただろうラルカの想いを、10年培ってきた家族としての親愛と信頼を、俺は己の不甲斐なさゆえに全て喪ってしまったのである。
「……悪かった。今、風呂を用意してくる…1人で入れる、か?」
「うん……あの…」
きっと無意識の反応だったんだろう。ラルカは、俺の手に怯えたことに対して、申し訳なさそうな声で謝ってきた。短く1言『ごめん』──と。
「ラルカ………ッ」
俺の前でゆっくりと身を起こしたラルカは、汚れたベッドに全裸のまま座り込むと、再び『ごめん』と小さな声で謝ってくる。けれどそんな彼の目は俺を見ておらず、身体は俺の存在と気配とに怯え、常にはない緊張を帯びていた。
「……………ッ」
カタカタと、小さく震えるラルカの身体。白い裸体には辱めの痕跡が、あちらこちらにくっきりと残されていた。そして、何よりも鮮やかに赤く色づく『華』──白い首筋に薄く血を滲ませた、獣のソレのような俺の噛み痕。
「お前が謝ることなんてねえ……悪いのは、全部俺なんだから」
そう、それこそが俺の罪の証。
決して許されず、消すことも出来ぬ、ラルカを束縛するための枷。
「…………クル…ッ」
ラルカはハッとして何か言いたげに小さな口を開くが、身動ぎした拍子に自身の中から溢れ出した欲望の残滓に、紡ぎかけたその言葉を失くしてしまった。
「あ………あ……あッ!?」
「……………ッッ!!」
いったいどれほど注ぎ込んでしまったのか。華奢で未成熟な少年の身体に、どれだけ無体を強いてしまったのか。ラルカの赤く擦れた後孔から溢れる大量の白濁は、張本人たる俺自身が恥ずかしくなるほどだった。
ああ、なんてことを。俺はなんて酷いことを。
再び胸の内にせり上がってくる罪悪感。その罪深さは我がことながら吐き気をすら催す。
だが、同時にそんなラルカの姿は。
血が滾るくらいに、淫らで。煽情的で。
俺に劣情を催させるものだった。
「クルト……クルト…あっ!」
「……………ッッ」
きっとこれが、俺に課せられた罰。
俺はおそらくこの後何度も、ラルカティアを、ラルカを、俺の大切な家族である少年を、発情期ごとに傷付け、苦しめ、そしてそんな姿を見詰めながら、何度も、何度でも、甘く魅惑的な彼の柔肉を味わい喰らうのだろう。
そうして我に返る度、俺は、永遠に己自身を呪い、憎み続けることになるのだ。
なによりも大切なラルカを、自らのこの手で壊しながら。
『くそっ……くそっ、俺は…!!??』
性懲りもなく沸騰する欲望を必死に堪えて、俺は無言でラルカの部屋を後にした。
己が身に起きた事態に動揺し、不安な想いに苛まれるラルカを、その場に人置き去りにして。助けを求め伸ばされる手を、この手で取ってやることもせずに。
「クルト………ッ!?」
「………………ッッ」
酷いことだと思う。でも、そうでもしなければ、俺は、さらにもっとラルカを悲しませてしまうから。容赦なく不幸の淵に突き落としてしまうから。この身の奥からマグマの様にせり上がってくる、己ではどうしようも出来ぬ欲求と欲望に流されて──
再びラルカを犯してしまうから。
犯してしまいそうだったから。
「くそっ………!!」
改めて感じた恐ろしいほどの『オメガの魅縛』──他性の『雄』を…特にアルファ性の人間を虜にするオメガの『芳香』とその威力に、俺は自分を制御できぬ無力さを再認識させられてしまった。
初めよりだいぶ薄れたとはいえ、未だラルカの身体からほのかに香る『発情期』の匂い。それも勢い娶ってしまった番のソレは、どれだけ微かなものでも俺という『雄』を狂わせてしまうのだろう。
現に廊下を歩く俺の股間は、すでに痛いほど反応してしまっていた。
犯せ。孕ませろ。血を残せ。
抗うことを赦さぬ、種としての本能に呼び覚まされて。
「ラルカ……ラルカ、すまねえ……」
信じていた者に裏切られ、哀しみに顔を歪めていたラルカの姿。きっと思い出す度に心の傷を抉られ、これから先何度も目にすることになるだろう彼の姿を思い浮かべ、俺は俺自身へ怒りをぶつけるように握り締めた拳を壁に叩きつけた。
「………………ッッ!!」
意識を取り戻したラルカに近付こうとしたら、あからさまに震えて怯えられた。揺らいだ大きな青い目の中には、俺へ対する不信感がハッキリと見て取れる。そんなラルカの様子を目にした俺は、伸ばしかけた手を引っ込め、苦悩を押し潰す様に強く拳を握りしめた。
そうだよな…そう、なるよな。当然だ。
俺はラルカを裏切って、あんな酷いことをしてしまったのだから。
「あっ、あっ、んっ、あ、ああっ!」
「ラルカ…ラルカッ、く……うっ!!」
15歳になったラルカは突然オメガとして覚醒し、発情期の熱に浮かされながら訳も解らず喘いでいた。きっと自分の身に何が起こったのか、自分が何者なのかも解らずに、心の底から困惑し怯えて、そしてきっと助けを求めていたんだろう。
クルト、助けて──と。
俺なら何とかしてくれると。きっと助けてくれると。心からそう、信じて。
「あ―――ッ、あっ、あっ!!」
そんな彼を俺は本能のままに犯し、容赦なく凌辱し尽くした。何も知らない清廉な子供のラルカを、大人の男の醜い欲望で穢してしまったのだ。
しかも、それだけじゃない。
俺はこれまでずっと、ラルカの父であり、兄であり、ただ一人の家族であろうとしてきた。そんな俺にレイプされただけでも、ラルカにとっては酷い裏切り行為だと言うのに、俺は、犯したままの勢いで彼を俺の番にしてしまったのだ。
ラルカの意志などまるで無視し、その白い首に、決して消えぬ刻印を残して。
──10年。
10年もの間、大切に守ってきたのに。純粋にただ、ラルカを幸せにしたくて、ラルカの為に頑張ってきたのに。俺は、たった一瞬の油断で、何もかもをぶち壊しにしてしまった。
無垢な心で慕ってくれていただろうラルカの想いを、10年培ってきた家族としての親愛と信頼を、俺は己の不甲斐なさゆえに全て喪ってしまったのである。
「……悪かった。今、風呂を用意してくる…1人で入れる、か?」
「うん……あの…」
きっと無意識の反応だったんだろう。ラルカは、俺の手に怯えたことに対して、申し訳なさそうな声で謝ってきた。短く1言『ごめん』──と。
「ラルカ………ッ」
俺の前でゆっくりと身を起こしたラルカは、汚れたベッドに全裸のまま座り込むと、再び『ごめん』と小さな声で謝ってくる。けれどそんな彼の目は俺を見ておらず、身体は俺の存在と気配とに怯え、常にはない緊張を帯びていた。
「……………ッ」
カタカタと、小さく震えるラルカの身体。白い裸体には辱めの痕跡が、あちらこちらにくっきりと残されていた。そして、何よりも鮮やかに赤く色づく『華』──白い首筋に薄く血を滲ませた、獣のソレのような俺の噛み痕。
「お前が謝ることなんてねえ……悪いのは、全部俺なんだから」
そう、それこそが俺の罪の証。
決して許されず、消すことも出来ぬ、ラルカを束縛するための枷。
「…………クル…ッ」
ラルカはハッとして何か言いたげに小さな口を開くが、身動ぎした拍子に自身の中から溢れ出した欲望の残滓に、紡ぎかけたその言葉を失くしてしまった。
「あ………あ……あッ!?」
「……………ッッ!!」
いったいどれほど注ぎ込んでしまったのか。華奢で未成熟な少年の身体に、どれだけ無体を強いてしまったのか。ラルカの赤く擦れた後孔から溢れる大量の白濁は、張本人たる俺自身が恥ずかしくなるほどだった。
ああ、なんてことを。俺はなんて酷いことを。
再び胸の内にせり上がってくる罪悪感。その罪深さは我がことながら吐き気をすら催す。
だが、同時にそんなラルカの姿は。
血が滾るくらいに、淫らで。煽情的で。
俺に劣情を催させるものだった。
「クルト……クルト…あっ!」
「……………ッッ」
きっとこれが、俺に課せられた罰。
俺はおそらくこの後何度も、ラルカティアを、ラルカを、俺の大切な家族である少年を、発情期ごとに傷付け、苦しめ、そしてそんな姿を見詰めながら、何度も、何度でも、甘く魅惑的な彼の柔肉を味わい喰らうのだろう。
そうして我に返る度、俺は、永遠に己自身を呪い、憎み続けることになるのだ。
なによりも大切なラルカを、自らのこの手で壊しながら。
『くそっ……くそっ、俺は…!!??』
性懲りもなく沸騰する欲望を必死に堪えて、俺は無言でラルカの部屋を後にした。
己が身に起きた事態に動揺し、不安な想いに苛まれるラルカを、その場に人置き去りにして。助けを求め伸ばされる手を、この手で取ってやることもせずに。
「クルト………ッ!?」
「………………ッッ」
酷いことだと思う。でも、そうでもしなければ、俺は、さらにもっとラルカを悲しませてしまうから。容赦なく不幸の淵に突き落としてしまうから。この身の奥からマグマの様にせり上がってくる、己ではどうしようも出来ぬ欲求と欲望に流されて──
再びラルカを犯してしまうから。
犯してしまいそうだったから。
「くそっ………!!」
改めて感じた恐ろしいほどの『オメガの魅縛』──他性の『雄』を…特にアルファ性の人間を虜にするオメガの『芳香』とその威力に、俺は自分を制御できぬ無力さを再認識させられてしまった。
初めよりだいぶ薄れたとはいえ、未だラルカの身体からほのかに香る『発情期』の匂い。それも勢い娶ってしまった番のソレは、どれだけ微かなものでも俺という『雄』を狂わせてしまうのだろう。
現に廊下を歩く俺の股間は、すでに痛いほど反応してしまっていた。
犯せ。孕ませろ。血を残せ。
抗うことを赦さぬ、種としての本能に呼び覚まされて。
「ラルカ……ラルカ、すまねえ……」
信じていた者に裏切られ、哀しみに顔を歪めていたラルカの姿。きっと思い出す度に心の傷を抉られ、これから先何度も目にすることになるだろう彼の姿を思い浮かべ、俺は俺自身へ怒りをぶつけるように握り締めた拳を壁に叩きつけた。
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