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28話 「冒険者」となるには 6
しおりを挟む…シーン…
受職の間に静かな空気が流れている。
先ほどまでは、レシアナさんが何やら一生懸命にタブレットをいじっていたけど、その手も今は、人差し指を画面に向けたまま硬直している。
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【D・S】
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(DS…? DSってなんだ? 任○堂の携帯ゲーム機?
この世界では、アルファベットは"古代文字"という設定だったはずだけど…)
レシアナさんが、突然バッとこちらを向くと、多少ひきつった笑顔で話し出す。
「技術職に【錬金術師】と【薬師】が提示されてますね。
どちらも、知識の蓄積と修行の必要な大変な職業ですが、やりがいのある職業だと思います。
すぐに収入にはならないと思いますが、損は無いので習得しておいてはいかがでしょうか?」
(…とりあえず"DS"流しやがった!)
「わかりました」
空中のウインドウに指を触れ、2つの職業をタッチする。
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【錬金術師】【薬師】が選択されました。
・現在のあなたの職業は【錬金術師】【薬師】です。
・戦闘職が提示されました。あなたは以下の職業に就く事が出来ます。
【D・S】
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…シーン…
(いや、シーン…じゃなくて!)
「あの…、この【D・S】って、どんな職業ですか?」
「……です」
「は?」
「冒険者ギルドの、集約された情報の中にある、今までの全登録者の職業情報の中に、同じ職業の人は0です」
(…なんかこのくだり、前にもやった記憶が…)
「…たしか、何かの本で読んだ記憶だと、1万年くらい前に世界中を巻き込んだ戦争があったんですよね?」
「…【魔王戦争】ですね。
冒険者ギルドも、全世界で協力体制を整え、戦争の終息に尽力しましたが、沢山の方が亡くなったと記録されています」
「そのさらに1万年前にも世界中を巻き込んだ戦争があったんですよね?」
「【神代の終わり】ですね。
莫大な犠牲者を出しながらも、地上の邪神・悪神は駆逐され、その時に、大神である【太陽の女神 アールビエナ】様から神造魔道具を授かり、それを使って【冒険者ギルド】という組織が構築されたと記録にあります」
「詳しいですね?」
「試験に出ますので」
「で…2万年で0人ですか?」
「神代の間に人々が授かった職業情報が、既に蓄積されていたらしいので、実際は3万年弱、というところではないでしょうか?」
「…さすがにおかしくないですか?」
「そうですね…ひょっとしたら"新しい職業"という事なのかもしれません」
「新しい…ですか?」
「スキルも職業も、世界の移り変わりに合わせて、使われなくなって消えたり、必要に迫られて増える事がある、という神託の記述をどこかでみたような?」
(…これは…もう考え込んでもムダだな)
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【D・S】が選択されました。
・現在のあなたの戦闘職は【なし】ですので、自動的に決定されます。
・現在のあなたの戦闘職は【D・S】です。
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設定を終了します。
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