異世界の裏口

千代子レイ子

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11 商会ではなく商店へ

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 今日は選んだ商会の面接へ訪れようとオリバーと一緒に乗り合い馬車で向かっている。

 でも馬車と言っても引いてるのは馬じゃない。大きな羽のある生き物が羽ばたいて馬の代わりをしているので正式には鳥車だ。

「……羽ばたいてるのに砂煙が発生しない不思議……」
「? あぁ、☆◎△バードのこと? あいつらは羽に魔力を集めて飛んでるからね」

 鳥の正式名称が全く聞き取れなかった。もしかしたらあの発音はこちらでの正しい言語なのかもしれない。そしてその言葉は日本語を主におく花には聞き取れない。

「このまま空を飛ぶとか無いんですか?」
「一様何も運んでなければ木の上くらいまでは飛べるけどそれは緊急時のみだね」
「……馬とかに引っ張らせるとかはないんですか?」
「えっ? 馬? あんな臆病な生き物なんか危なくて使えないよ!」
「臆病……」

 (そういえばここは魔物もいる世界だった。馬も私が知ってる馬とは限らないかも……)

 そんなことを考えていると急に馬車が激しく揺れた。慌ててオリバーにしがみ付いたら、オリバーも花を守るように抱きしめてくれた。

 横転はしなかったものの、激しく揺れたため馬車内は転んだ人や頭をぶつけた人が何人もいた。

「一体何があったんだ!!」

 乗客の1人が怒りながら御者に詰め寄ると、目の前には豪華な馬車があり、どうやら接触事故らしい。

 とりあえず馬車はもう使えなさそうなので皆降りる。するとたまたま隣にいた少年は真っ青な顔をしている。

「どうしたの? どこかぶつけた?」
「さっきの衝撃で魔石が欠けちまった……」

 意味が分からず花が不思議な顔をしていると、オリバーが少年に質問する。

「魔装置の部品か?」
「うん。製麺魔具の魔石交換さ。これじゃ、曲がった麺しか作れねぇ……どうしよう……」
「? 曲がっていたら駄目なの?」
「はぁ?! 麺は真っ直ぐが常識だろ!!」
「何で? 見た目の問題?」
「あんた何言ってんだ? 曲がった麺なんて欠陥品を商売人として出せるかよ!!」

 花は少年の主張がいまいち分からなかった。だって曲がった麺なら汁とも絡みやすくラーメンだってパスタだって色々ある。むしろそれを選ぶ店だって普通にあるから花としては謎常識だ。

「? その主張がよく分からないわ。だって曲がった麺ならソースに絡みやすくなるじゃない」
「なら、そんな料理作ってみろよ!! 口だけ挟む同情なんていらねぇんだよ!」
「ムッ! 本当に出来るもの!!」
「ちょっ、ちょっと、花! 商会行くんじゃないの?」

 売り言葉に買い言葉。何故か花はその少年に付いていき、麺料理を披露することになった。

 少年に案内された場所は商店街の一角で、パスタのような店だった。先程の馬車事故の説明を店主にすると一様確認するために魔石を装置にはめて動かす。

「やっぱり駄目か……」

 麺は花がよく知る『ちぢれ麺』状態だった。

「こんな麺だぞ! これでも出来るってのか!!」
「えぇ。出来るわよ」
「くっ、ならここで作ってみろよ!!」
「いいけど、材料は借りるわよ?」
「いや、その前にあなた達はどなたですか?」

 店主のもっともな質問に少年はこの麺で花が料理出来ると言うので連れてきたと言う。

「バカか! 事故で壊れた魔石の責任をこの人にしてどうする!! 御者にさせるべきだろう!!」
「あっ……」

 魔石の悔しさから本来の事故責任者を無視して花を連れてきたことに少年は気付いた。

「まだ事故で揉めてるだろうから、御者の名前をメモってギルドに行ってこい!!」
「はい!!」

 少年は慌ただしく来た道を戻っていった。

「あんたらも被害者なのに、家の弟子がすまねぇ」
「構いませんよ。それよりその麺で私に料理させてもらえませんか?」
「本当にこの失敗麺でいいのかい?」
「えぇ。むしろそれがいいんです」

 早速、厨房でフライパンを用意し、油、適当な野菜と少量の謎肉(何の肉か分からない)を炒めてる間に麺を茹でる。茹でたら麺をザルに上げて違うフライパンで麺だけを油で炒めて皿に盛る。そして先程の野菜炒めに商会で披露する予定だった片栗粉を水で溶いて入れる。

 仕上げにこの店のオリジナルソース加えて、全体的にソースが馴染むように炒めて麺の上にかけたら、日本で有名な『あんかけ焼きそば』の出来上がり!!

「出来ました! どうぞお召し上がりください」
「これは……確かにいい匂いだ」
「熱いので気を付けて下さいね」

 さて初めての『あんかけ焼きそば』の味はいかがだろうか?

「!! うむ。こりゃ、上手い!! だが、通常の麺でも良くないか?」
「では食べ比べしてみますか?」

 正しい評価をするために花は麺を替えて同じ手順であんかけ焼きそばを作った。

「…………なんてこった……こんなに違うのか……」
「まぁ、好みの問題と言えばそれまでですが、私は曲がった麺も美味しいと分かってもらえればそれでいいです」
「……いや、これは明確に違う。美しくはないが断然こちらの方が旨い!!」

 店主が曲がった麺に納得していると先程の少年が戻って来た。

「親方!! なんか凄くいい匂いが道の向こうからも分かりましたよ!!」
「そうか。だがその前にギルドにはちゃんと行ったんだろうな?」
「はい! ちゃんと賠償金もらえました!」

 店主にお金を渡す少年はチラチラあんかけ焼きそばを気にしている。

「では、食べ比べしてみてくれる?」
「勿論だ!!」

 そうして食べ比べした少年は店主と全く同じ反応だった。ラーメンもちぢれ麺派の花は心なかで同士がもっと増えればいいのにと思った。 
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