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12 芋と男爵商会
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「家の弟子が引き止めて悪かったな。所で何処へ行く予定だったんだ? 遠ければ俺の伝手で鳥車を呼ぶよ」
「えっと、オリバーさん例の商会って遠いの?」
「うーん。微妙距離だなぁ……」
「商会?」
「えぇ。珍しい芋と芋デザートを売って稼ごうかと」
すると店主が「芋?!」と変な顔をした。
そう、店主が変顔と言うか難しい顔をするのはこちらの『芋』がクソ不味いからだ。かぶとパサパサグリーンピースを合わせたような食感で味も独特な臭みがあり、よっぽど空腹でもなければ食べない代物だ。
だから市場でもある意味あまり見かけない。見かける時は作物不足の危機的状況下のみに出現するので、別名『悪魔の種』と呼ばれる。
なので店主も芋と聞いて「何もそんなものを売らなくてもいいのに……」と目で訴えている。
(ふふふ。店主よ! だからこそなのだよ? 地球産のじゃが芋とさつまいもの上手さを知らしめたいのだ! これは芋界の革命なのさ!!)
「ふふ。先程のあんかけ焼きそばに使った粉も芋から作られたものなんですよ?」
「えっ?」
「液体がトロリとした粘着性を持ったでしょ? あれは芋の成分なんです」
「だが芋の味なんて全くしなかったぞ?」
「でしょ? でもあれは間違いなく芋から作られてるんですよ。まぁ、今回は悪魔の種ではない芋からですけどね」
唖然とする店主と弟子は再度あんかけの味を確かめる為に口にし、本当に芋なのかと眉間に皺をよせた。
「他にも甘い芋もあるので商会で売り出したら手にとってくれたら嬉しいです」
「甘い芋?!!」
「はい。それでお菓子も作る予定なので」
すると店主は少し考えた後、花たちにどこの商会に行くつもりなのかを聞いてきた。
「いや何、もし新種の芋を売る予定なら俺の知り合いの商会に良ければ行ってもらいたくてね」
「どういう事ですか?」
「その商会で悪魔の芋を何とかしたくて研究しているやつがいるんだ。飢饉に強い芋を美味しく食べられるようにすれば安い芋で皆幸せになれるからってさ」
「まぁ。素敵な人ですね」
「あぁ。凄くいいやつなんだ。だから新種の芋を売る予定ならあいつの所にも行って欲しくてな」
どうしようか花が考えていると隣のオリバーがその商会の名前を聞いてくれた。
(優しい! 流石オリバーさん! 頼りになります!!)
「アンノン商会だ」
「えっ?」
「あぁ。あの人は本当にいい領主であり商売人だよ」
「? どうしました? オリバーさん?」
「いや、これから行く予定の商会がアンノン商会だったんだよ」
「?!! 何と言う偶然……」
店主はこりゃいいと笑い、鳥車を用意してくれた。
「この手紙も渡してくれ、あんたの面接にも役に立つはずだ」
「ありがとうございます」
「いや、こっちも助かったよ」
こうしてちょっと遅くなったが無事に商会に付くことが出来た。
商会で鳥車事故のことを話し、店主の手紙を渡すと面接をしていた男は顔色を変えて慌ただしく部屋を出ていってしまった。
数分後今度は手紙を持ったまま恰幅のよい貴族男性が興奮気味に部屋に入ってくる。
「新種の芋だって?! どんなものなんだい?!! み、見せてくれ!! 頼む!!」
まるで新しい玩具を見たい子供のように目をキラキラさせて、男爵は面接よりも芋をねだってくる。
若干勢いに引きながらも花はじゃが芋とさつまいもをテーブルに置いた。
「こ、これが新種の芋……」
男爵は秘宝を手にしたように芋を掲げながら感動している。
「栽培方法は? 味は? 種は?」
ぐいぐい花に近付いて新種の芋についてあれこれ質問されるので少し驚いていると、急に目の前にオリバーが現れた。
「落ち着いて下さい男爵。女性との距離が近すぎますよ」
「おっと、これはすまない。つい新種の芋を前に興奮してしまった!」
(ふぅ。助かりました。オリバーさん)
それからは落ち着いてやり取りが出来た。勿論面接は合格。すんなり商会に入り、あれこれ芋について説明もした。
「はぁ。この新種のじゃが芋はなんて旨いんだ……」
何個か持参した芋を簡単なじゃがバターとさつまいもバターにして御披露目すると男爵はその味に感動していた。
(男爵が男爵芋を食べてるってなんかシュール……)
そんなくだらない事を考えていたら、急にキッチンの扉が開いた。
「甘い匂いがする! お菓子食べたい!!」
「坊っちゃん! 今はお客様がいらっしゃるから開けたら駄目ですよ!!」
男爵の息子と思われる可愛らしい子供とそれを止める護衛が入ってきた。
「?!! へ、へルマン?!」
「えっ? あっ、オリバーじゃねぇか?!! 何でここにいるんだ?!」
「それはこっちの台詞だ! お前辺境に嫁さんと行くってパーティーを抜けたじゃないか!」
「? あぁ!! そういやそうだっな!!」
どうやらオリバーの知り合いらしい護衛は訳ありのようだ。
「えっと、オリバーさん例の商会って遠いの?」
「うーん。微妙距離だなぁ……」
「商会?」
「えぇ。珍しい芋と芋デザートを売って稼ごうかと」
すると店主が「芋?!」と変な顔をした。
そう、店主が変顔と言うか難しい顔をするのはこちらの『芋』がクソ不味いからだ。かぶとパサパサグリーンピースを合わせたような食感で味も独特な臭みがあり、よっぽど空腹でもなければ食べない代物だ。
だから市場でもある意味あまり見かけない。見かける時は作物不足の危機的状況下のみに出現するので、別名『悪魔の種』と呼ばれる。
なので店主も芋と聞いて「何もそんなものを売らなくてもいいのに……」と目で訴えている。
(ふふふ。店主よ! だからこそなのだよ? 地球産のじゃが芋とさつまいもの上手さを知らしめたいのだ! これは芋界の革命なのさ!!)
「ふふ。先程のあんかけ焼きそばに使った粉も芋から作られたものなんですよ?」
「えっ?」
「液体がトロリとした粘着性を持ったでしょ? あれは芋の成分なんです」
「だが芋の味なんて全くしなかったぞ?」
「でしょ? でもあれは間違いなく芋から作られてるんですよ。まぁ、今回は悪魔の種ではない芋からですけどね」
唖然とする店主と弟子は再度あんかけの味を確かめる為に口にし、本当に芋なのかと眉間に皺をよせた。
「他にも甘い芋もあるので商会で売り出したら手にとってくれたら嬉しいです」
「甘い芋?!!」
「はい。それでお菓子も作る予定なので」
すると店主は少し考えた後、花たちにどこの商会に行くつもりなのかを聞いてきた。
「いや何、もし新種の芋を売る予定なら俺の知り合いの商会に良ければ行ってもらいたくてね」
「どういう事ですか?」
「その商会で悪魔の芋を何とかしたくて研究しているやつがいるんだ。飢饉に強い芋を美味しく食べられるようにすれば安い芋で皆幸せになれるからってさ」
「まぁ。素敵な人ですね」
「あぁ。凄くいいやつなんだ。だから新種の芋を売る予定ならあいつの所にも行って欲しくてな」
どうしようか花が考えていると隣のオリバーがその商会の名前を聞いてくれた。
(優しい! 流石オリバーさん! 頼りになります!!)
「アンノン商会だ」
「えっ?」
「あぁ。あの人は本当にいい領主であり商売人だよ」
「? どうしました? オリバーさん?」
「いや、これから行く予定の商会がアンノン商会だったんだよ」
「?!! 何と言う偶然……」
店主はこりゃいいと笑い、鳥車を用意してくれた。
「この手紙も渡してくれ、あんたの面接にも役に立つはずだ」
「ありがとうございます」
「いや、こっちも助かったよ」
こうしてちょっと遅くなったが無事に商会に付くことが出来た。
商会で鳥車事故のことを話し、店主の手紙を渡すと面接をしていた男は顔色を変えて慌ただしく部屋を出ていってしまった。
数分後今度は手紙を持ったまま恰幅のよい貴族男性が興奮気味に部屋に入ってくる。
「新種の芋だって?! どんなものなんだい?!! み、見せてくれ!! 頼む!!」
まるで新しい玩具を見たい子供のように目をキラキラさせて、男爵は面接よりも芋をねだってくる。
若干勢いに引きながらも花はじゃが芋とさつまいもをテーブルに置いた。
「こ、これが新種の芋……」
男爵は秘宝を手にしたように芋を掲げながら感動している。
「栽培方法は? 味は? 種は?」
ぐいぐい花に近付いて新種の芋についてあれこれ質問されるので少し驚いていると、急に目の前にオリバーが現れた。
「落ち着いて下さい男爵。女性との距離が近すぎますよ」
「おっと、これはすまない。つい新種の芋を前に興奮してしまった!」
(ふぅ。助かりました。オリバーさん)
それからは落ち着いてやり取りが出来た。勿論面接は合格。すんなり商会に入り、あれこれ芋について説明もした。
「はぁ。この新種のじゃが芋はなんて旨いんだ……」
何個か持参した芋を簡単なじゃがバターとさつまいもバターにして御披露目すると男爵はその味に感動していた。
(男爵が男爵芋を食べてるってなんかシュール……)
そんなくだらない事を考えていたら、急にキッチンの扉が開いた。
「甘い匂いがする! お菓子食べたい!!」
「坊っちゃん! 今はお客様がいらっしゃるから開けたら駄目ですよ!!」
男爵の息子と思われる可愛らしい子供とそれを止める護衛が入ってきた。
「?!! へ、へルマン?!」
「えっ? あっ、オリバーじゃねぇか?!! 何でここにいるんだ?!」
「それはこっちの台詞だ! お前辺境に嫁さんと行くってパーティーを抜けたじゃないか!」
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どうやらオリバーの知り合いらしい護衛は訳ありのようだ。
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