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13 悪魔の種と地球産の芋
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「まっ、細かい話はまた今度な! それより坊っちゃん、部屋を出ましょう」
「やっ!」
どうしても美味しい匂いの元に行きたい息子は駄々をこねる。
「ふふ。この甘い匂いはお芋ですけど食べますか?」
「えっ? お芋?!!」
「へっ? 芋?!!」
芋と言うキーワードに青ざめて固まる2人。きっと『悪魔の種』を思い出して嫌な記憶が出てきたのだろう。
「ぷっ、あはははは!! お前は悪魔の種が大嫌いだからな!」
「お、お芋ならいらない!!」
「そうか、この芋は甘くて美味しいがな!」
「嘘だ! お芋はパサパサして美味しくないもん!」
「……でも坊っちゃん、ここには悪魔の種はありませんよ? 旦那様、芋とは悪魔の種ではない別のものなんですか?」
護衛のへルマンがテーブルを見つめながら主人の男爵に質問した。すると待ってましたとばかりに男爵は私が持ってきた新種の芋について熱弁し始めてしまう。
(オタクに趣味を語らせるとは……結構命知らずだなへルマンさん……)
地雷に食い付いたへルマンを他所に息子は新種の芋こと、さつまいもバターが匂いの元だと気が付いたらしい。
「……本当にお芋? 良い匂いするのに?」
「試しに少し食べてみますか? 甘くて美味しいですよ?」
「…………」
芋と言う名前に抵抗を感じているが確かに甘い香りはするのでどうしようかと真剣に考えていた。
(よっぽど悪魔の種が嫌いなんだろうなぁ……父親はのめり込むほど研究しているに……)
「駄目でしたら吐き出してもいいですよ……」
小声で後押しすれば小さく頷き、さつまいもバターを恐る恐る口にした。
「?!!!! えっ?」
ひと口噛ったさつまいもバターが予想外に甘くて、悪魔の種とは似ても似つかない芋に息子は混乱してしまう。
「……これはお芋じゃないよ!」
「えっ?」
「だってこれは甘くてホクホクして美味しいもん! それに美味しい匂いもしたから違うよ!!」
どや顔で息子は主張するが一様それも芋なんだよ。と伝えたいけど一心不乱に食べてる姿見たら可愛くてどうでもよくなった。
「おや、お前もその芋が気に入ったのかい?」
「ちちうえ! これは芋じゃないよ! だって甘くてホクホクするもん!」
「はっはっはっ!! そうだな! 悪魔の種とは味が違うもんな!」
男爵芋……いや、芋男爵はそれからもじゃが芋とさつまいもについて色々質問してきて、流石に専門家ではないので後日じゃが芋とさつまいもの本を借りて男爵の要望に答える日々となった。
「花殿! 貴女はこちらの字がまだ上手く書けないと聞いた。だがどうしてもわしはその本が欲しい。すまんがこのへルマンをつけるからどうかその内容を写させてくれ!!」
「えっ? かなりの量になりますけど……」
「構わん! その間の費用は勿論払う! 頼む花殿!!」
「それは構いませんが、オリバーさんでもいいのでは?」
花はちらっとオリバーに目をやると突然の指名にビックリする。
「お、俺?!」
「? オリバーさん字書けますよね?」
「まぁ……書けるけど……」
「ならオリバーさんと2人で取りかかりますよ。気心も知れてますから」
「分かった。では君も手伝ってくれたまえ」
「はい!」
こうしてオリバーと花の2人でじゃが芋とさつまいもの本を書き写す事になった。
「ねぇ、オリバーさん文字だけじゃなくて写真……絵も追加した方がいいかな?」
「ん? あぁ、そうだね。でもここまで精密に描ける人いるかなぁ……」
「あっ、そこは大丈夫!任せて!」
「えっ? 花描けるの?!!」
「ううん。知り合いに頼むから大丈夫って話しだよ!」
(パソコンで写真取り込めばいいからね。後は切って貼り付ければいいのでそこまで大変じゃないの。ごめんねオリバーさん……)
少しの罪悪感を心にオリバーの隣で朗読する花は、たまに専門用語や難しい漢字をちゃんと伝える為、久しぶりに辞書を片手に置いていた。
「なんかこう言う仕事は学生時代に戻ったみたいで懐かしい気持ちになるよ」
「そうなんだ。オリバーさん真面目に学生してたんだね」
「花酷い! 自分で言うのもなんだけど結構優良学生だったぞ!」
オリバーは上位冒険者だ。なので貴族や商人の護衛なども多くなる。するとそれなりに求められるものも多くなり、読み書きは勿論、マナーなど最低限な事が出来ないといくら強くとも上位にはなれない仕組みだ。
「ふふ、オリバーさん文武両道だったんだ。なら学生時代かなりモテたんじゃない?」
「ぶんぶりょうどう? よく分かんないけど、別にモテやしないよ」
「またまたご謙遜を!」
「俺は親が一瞬男爵だったけどほぼ平民だから女性には見向きもされなかったよ。それに顔も普通だしね」
「……あの、今更だけどオリバーさんはどこの学校を卒業したの?」
「? 聖王都学園たけど?」
花は思い出していた。確かアルベルトがこの国で一番頭の良い学園が『聖王都学園』だと。貴族平民関係無く実力主義の難関校。つまり…………
……オリバーはこの世界のオックスフォード大学出身者でした……
「やっ!」
どうしても美味しい匂いの元に行きたい息子は駄々をこねる。
「ふふ。この甘い匂いはお芋ですけど食べますか?」
「えっ? お芋?!!」
「へっ? 芋?!!」
芋と言うキーワードに青ざめて固まる2人。きっと『悪魔の種』を思い出して嫌な記憶が出てきたのだろう。
「ぷっ、あはははは!! お前は悪魔の種が大嫌いだからな!」
「お、お芋ならいらない!!」
「そうか、この芋は甘くて美味しいがな!」
「嘘だ! お芋はパサパサして美味しくないもん!」
「……でも坊っちゃん、ここには悪魔の種はありませんよ? 旦那様、芋とは悪魔の種ではない別のものなんですか?」
護衛のへルマンがテーブルを見つめながら主人の男爵に質問した。すると待ってましたとばかりに男爵は私が持ってきた新種の芋について熱弁し始めてしまう。
(オタクに趣味を語らせるとは……結構命知らずだなへルマンさん……)
地雷に食い付いたへルマンを他所に息子は新種の芋こと、さつまいもバターが匂いの元だと気が付いたらしい。
「……本当にお芋? 良い匂いするのに?」
「試しに少し食べてみますか? 甘くて美味しいですよ?」
「…………」
芋と言う名前に抵抗を感じているが確かに甘い香りはするのでどうしようかと真剣に考えていた。
(よっぽど悪魔の種が嫌いなんだろうなぁ……父親はのめり込むほど研究しているに……)
「駄目でしたら吐き出してもいいですよ……」
小声で後押しすれば小さく頷き、さつまいもバターを恐る恐る口にした。
「?!!!! えっ?」
ひと口噛ったさつまいもバターが予想外に甘くて、悪魔の種とは似ても似つかない芋に息子は混乱してしまう。
「……これはお芋じゃないよ!」
「えっ?」
「だってこれは甘くてホクホクして美味しいもん! それに美味しい匂いもしたから違うよ!!」
どや顔で息子は主張するが一様それも芋なんだよ。と伝えたいけど一心不乱に食べてる姿見たら可愛くてどうでもよくなった。
「おや、お前もその芋が気に入ったのかい?」
「ちちうえ! これは芋じゃないよ! だって甘くてホクホクするもん!」
「はっはっはっ!! そうだな! 悪魔の種とは味が違うもんな!」
男爵芋……いや、芋男爵はそれからもじゃが芋とさつまいもについて色々質問してきて、流石に専門家ではないので後日じゃが芋とさつまいもの本を借りて男爵の要望に答える日々となった。
「花殿! 貴女はこちらの字がまだ上手く書けないと聞いた。だがどうしてもわしはその本が欲しい。すまんがこのへルマンをつけるからどうかその内容を写させてくれ!!」
「えっ? かなりの量になりますけど……」
「構わん! その間の費用は勿論払う! 頼む花殿!!」
「それは構いませんが、オリバーさんでもいいのでは?」
花はちらっとオリバーに目をやると突然の指名にビックリする。
「お、俺?!」
「? オリバーさん字書けますよね?」
「まぁ……書けるけど……」
「ならオリバーさんと2人で取りかかりますよ。気心も知れてますから」
「分かった。では君も手伝ってくれたまえ」
「はい!」
こうしてオリバーと花の2人でじゃが芋とさつまいもの本を書き写す事になった。
「ねぇ、オリバーさん文字だけじゃなくて写真……絵も追加した方がいいかな?」
「ん? あぁ、そうだね。でもここまで精密に描ける人いるかなぁ……」
「あっ、そこは大丈夫!任せて!」
「えっ? 花描けるの?!!」
「ううん。知り合いに頼むから大丈夫って話しだよ!」
(パソコンで写真取り込めばいいからね。後は切って貼り付ければいいのでそこまで大変じゃないの。ごめんねオリバーさん……)
少しの罪悪感を心にオリバーの隣で朗読する花は、たまに専門用語や難しい漢字をちゃんと伝える為、久しぶりに辞書を片手に置いていた。
「なんかこう言う仕事は学生時代に戻ったみたいで懐かしい気持ちになるよ」
「そうなんだ。オリバーさん真面目に学生してたんだね」
「花酷い! 自分で言うのもなんだけど結構優良学生だったぞ!」
オリバーは上位冒険者だ。なので貴族や商人の護衛なども多くなる。するとそれなりに求められるものも多くなり、読み書きは勿論、マナーなど最低限な事が出来ないといくら強くとも上位にはなれない仕組みだ。
「ふふ、オリバーさん文武両道だったんだ。なら学生時代かなりモテたんじゃない?」
「ぶんぶりょうどう? よく分かんないけど、別にモテやしないよ」
「またまたご謙遜を!」
「俺は親が一瞬男爵だったけどほぼ平民だから女性には見向きもされなかったよ。それに顔も普通だしね」
「……あの、今更だけどオリバーさんはどこの学校を卒業したの?」
「? 聖王都学園たけど?」
花は思い出していた。確かアルベルトがこの国で一番頭の良い学園が『聖王都学園』だと。貴族平民関係無く実力主義の難関校。つまり…………
……オリバーはこの世界のオックスフォード大学出身者でした……
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