異世界の裏口

千代子レイ子

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14 オリバーの恋

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「……メチャクチャ頭良いんですね……」
「? そう? まぁ平民としては良い所を出れたから就職には困らなかったよ」
「城の騎手とかは目指さなかったんですか?」
「城の騎士は基本貴族出身者じゃないと中々受からないんだよ。まぁ辺境なら別だけど俺、寒いの苦手だから候補にはなかったよ」
「それでギルドの冒険者?」
「うん。頭使うより身体動かす方が好きだからね」

 どんなに頭の良い所を出ても城関係の騎手は、やはり身分がないと見栄え重視の貴族は側に置きたくないんだろう。所詮ブランド力しか見ていない。

「……別にオリバーさんの仕事を馬鹿にする訳じゃないけど、騎手なら実力を見て欲しいです。絶対オリバーさん活躍出来たはずだもの!」
「花?」
「なんか悔しい。こんなに頭良くって体つきだって申し分ないのに! ここの筋肉とか凄いもの!」
「ちょっ、は、花?!!」

 花は悔しくてオリバーの腕の筋肉を触ってその凄さを誰かに教えたかった。

「……は、花は、その……俺の筋肉好きなの?」
「はい。好きですよ。オリバーさんが頑張ってる証ですから……あっ、ごめんなさい! 勝手にさわさわしちゃった!」

 花は慌ててオリバーの腕から手を離した。

「いや、その、嫌じゃないの?」
「? 何が?」
「俺の筋肉触るの……」
「? いいえ。好きですよ。男の人らしくて格好いいじゃないですか」
「?!! 格好いい?! でも俺普通の顔だし!!」

 オリバーは真っ赤な顔を花に向けて真剣に問いただしてくる。

「そうですか? オリバーさん素敵なお顔をしてますよ。」
「えっ? 俺三白眼で結構怖いって昔から言われてたけど?」
「その人の好みの問題なので何とも言えませんけど、少なくとも私はオリバーさんのお顔好きですけどねぇ」
「こ、好みなの?!!」
「? えぇ。笑顔が特に素敵ですよ」
「……花……」

 (もしかしたらオリバーさん顔にコンプレックスを持ってるのかな? 小さい頃酷いこと言われたとか……それなら私が少しでも克服の手伝いをしたいな。こんなにいい人なんだもの。自信をもってもらいたい! あなたは優良物件なんだから!!)

 
 その日から何故か上の空になるオリバーを心配しつつも、「オリバーさん格好いいですよ」「オリバーさんは素敵です」「オリバーさんと一緒にいると安心します」と会うたび元気付ける花。

 しかしその度に真っ赤になって挙動不審になるオリバー。最近では庭に咲いている花を見てはため息を吐いている始末だ。

「…………乙女かな?……はっ!!」

 オリバーのその様子や仕草に花はピンときた!

 ……これはオリバーが誰かに恋煩いしているなと……。

「そう言うことか……落ち込んでるとかコンプレックスじゃなくて恋煩いか……なるほどそれは不安になるよね」

 花はその日からオリバーの恋を俄然応援したくなった。




「……花……」
「? どうしました?」
「実はギルドから緊急の仕事が入ったんだ。前にミー君を助けてくれた聖職者がいたでしょ? 彼女からの仕事なんだ」
「!! それは行って下さい! ミー君のお礼も兼ねて!」
「ありがとう。だから俺の代わりにへルマンを呼んでおいた。男爵にも伝えてある」
「分かりました。ではオリバーさん気を付けて行ってきてくださいね」
「うん。行ってきます」
「はい。行ってらしゃい」

 花が笑顔で小さく手を振るとオリバーは嬉しそうに微笑み上機嫌で部屋を出ていった。

「……もしかしてオリバーさんの好きな人って、あの聖職者さん?!! それなら邪魔しないように今後応援しなきゃね!!」

 オリバーの片思いする相手がまさかミー君を救ってくれた聖職者様だとは盲点だった。確かにエミリー様は美女だけど役職はたぶん教会関係者だし何より貴族だ。確率は確かに低い。失恋に近い想いを抱いていても納得出来る。

「そっかぁ。確かにエミリー様だと美女過ぎるし、貴族じゃ自信なくなっちゃうよねぇ……分かるわぁ……」
「何が分かるんで?」
「わぁ!!!」

 1人納得している花の背後からへルマンが声をかけてきた。

「脅かさないで下さい!!」
「いやー、すいません! 一様ノックはしたんですけどね」
「……オリバーさんから話は聞いてます」
「では、改めまして! ここで護衛をしておりますへルマンです。元冒険者でしたのでオリバーとはその時に知り合いました」
「そうですか。私は佐藤花です。花とお呼び下さい」
「………………」
「? どうかしましたか?」
「あっ、いえ。よろしくお願いいたします」
「はい。こちらこそよろしくお願いいたします」

 こうしてへルマンが代筆役となった。

「子守り……いえ、息子さんの護衛は大丈夫なんですか?」
「はい。主人からの命令でもありますので」

 ニッコリと笑うへルマンの裏に男爵の並々ならぬこの本への執着が垣間見れて少し怖くなった花である。
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