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しおりを挟むそんな感傷に浸る間もなく数日後、花は領地の城にマリーとメリーを伴って呼ばれた。
花は城に着て行くドレスが無くカメリアに泣きつくと着物を着ていけばいいと言われ、成人式にお婆ちゃん(前世カメリア)が買ってくれたやつを着ていくことにした。
「花ちゃん、帯留めはどこ?」
「えっと確かここに……」
わちゃわちゃしながらも着付は勿論カメリアがしてくれた。
花は久しぶりの着物に嬉しくなりはしゃいでいると、オリバーとルーベンスがそれを見て固まっていた。
「花凄い! 綺麗だよ!」
「本当?」
「……うん。異国のお姫様みたい……」
「嬉しい! なんか照れちゃうなぁ。えへへ」
「この簪も懐かしいねぇ」
「うん、お気に入りだから」
綺麗に着飾った花を女性陣たちは各々褒め称えるので、軽い化粧はしているものの頬を染める花は初々しかった。
「じゃ、マリー、メリー、行こうか」
「うん! お城楽しみ!!」
「……でもちょっと怖い……」
「じゃ、マリーとメリーは手を繋いでようか」
「……うん!」
「いいよ!」
待ってもらっていた御者にお礼を言いながら初めての城に向かう。花はこちらの作法も何も知らないので緊張しながら案内人について行くしかない。
だから花は知らなかった。初めて見る異国のドレス(着物)は城に来ていたお洒落にうるさい貴婦人たちやスクープハンターのメイドたちの目を釘付けにしていたことを……。
「こちらでお待ち下さい」
案内された部屋はとても美しい客室だった。ソファーにマリーたちが座るとメイドは優雅にお茶を用意してくれる。
それはまるで高級ホテルのような対応で花は流石王宮だと感心ししながらも体は硬直していた。
暫くすると扉の向こうが何やら騒がしくなり、マリーたちと不思議がっているとその声の主が父親に抱かれて現れた。
「!! ひっく、は、はにゃー?!! はにゃー!!!」
「!! ミー……ミシェル様?!!」
「わーん!! はにゃー!!、マーちゃん! メーちゃん!!」
「ミー君!!!」
王弟がミー君を降ろすとマリーとメリーはすぐさま駆け寄り小さなミー君を抱きしめていた。
「はぁ。すまない……。城に着いて少し目を覚ましたまでは良かったんだ。ミシェルの母親も無事を確かめられて泣いて感謝をしていたよ」
「無事に再会出来ましたこと心よりお喜び申し上げます」
「あぁ、ありがとう。だがね、ミシェルを湯浴みして、いざ寝る時間になると君たちを恋しがって一晩中大泣きしてしまってね。今朝もひきつけを起こすじゃないかと思うほど泣いて困り果ててしまったよ」
まさか実の両親より花たちを恋しがるとは思わず、なんともいえない気持ちになる。でも最近は確かにマリーもメリーもとても静かだったので寂しかったに違いない。
「ひっく、うっく、は、はにゃー……」
両手を広げて花に抱っこをねだるミー君を優しく抱き上げるといつものように甘え始める。花はミー君が落ち着くようにゆっくり撫でてあげるとそのまま大人しくなった。
「ミシェルは君をとても気に入っているようだね……」
少し寂しそうに微笑む王弟に花はどうしたらいいのか分からない。
「ミー君はマリーとも仲良しよ! いつも一緒に遊んでるもの! ねー、ミー君!」
マリーが負けじと王弟に反論し、ミー君の同意を得ようと聞いてくる。すると花の腕の中でミー君は小さく頷いた。
「……メリーも、ミー君と遊ぶの好きよ……」
対抗意識かメリーも王弟をチラチラ見ながら答える。
「そうか。うちの息子は大人気なのだな」
「? ミー君はねマリーたちの弟なの! だからお姉さんのマリーがミー君を守るのよ。家族だから!」
「……ミー君は可愛い弟。メリーも大好きだから守る……」
王弟の前で家族だと爆弾発言をかます2人に、ミー君を抱っこしながら花は気絶しそうだった。だが花の思いとは裏腹に王弟はマリーたちの言葉にいたく感動し、また嬉し涙を流していた。
「……妻と息子が事件に遭い、半年近く息子が行方不明になり、絶望が広がる中で家族と言ってくれる優しい子供たちに会えた奇跡……花令嬢……本当に感謝する……」
叱責を受けなかったのは幸いだったが、泣いて感謝されるのもまた困る。周りの護衛騎士やメイドたちは一見普通に見えるが、何人か涙目になってる方がチラホラ目に映っていたので……。
その後落ち着いたミー君はマリーたちと一緒に遊び、いつもの風景がそこにはあった。
花は王弟が妻にも会って欲しいと子供たちが遊んでる隙に王弟妃に会うことになり、またまた緊張しながら廊下を歩いてゆく。
「まぁ、素敵な貴女が私の息子を助けてくれたのね。本当に感謝しても足りくらいだわ。ありがとう」
「い、いえ! と、当然の事をしたまでです!!」
まだベッドの住人でもある王弟妃は、まさに天姿国色に相応しい美女で、そりゃ王弟も愛妻家になるのも頷けるほどだった。
「メークイン男爵家の子供たちも、うちの息子を弟だと思って大切に守ってくれていたよ。再開の時は抱きしめて泣いてくれたほどだ」
「まぁ、そんなに別れを惜しんでくれたのね」
「あぁ、今は3人で楽しく遊んでいるよ。だから君も早く元気にならないとね」
「えぇ、そうね。あの時、あの子を逃がして本当に良かったわ。こんな素晴らしい人たちに会えたんだもの」
「そうさ、君は間違ってなかったんだよ。君の判断が息子を救い、家族と呼べるほどの味方を作ってくれたんだ」
王弟の言葉に王弟妃は涙を流し、2人は抱きしめ合った。
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